ナム・ジェジュン「40年の公職生活の中で最悪の失態…
大統領府の予算なので大統領に返した」
イ・ビョンギ「服を買うのに使ったとは想像できず
舌を噛んで死んでも賄賂を渡したのではない」
イ・ビョンホ「大統領の指示に院長は従わなければ…
定期的に支援してきており問題ないと聞いた」
朴槿恵(パク・クネ)前大統領に国家情報院特殊活動費を上納した疑いで裁判に付された国情院長3人が、法廷で口を開いた。13日に行われた被告人尋問で3人の院長は、朴前大統領に特活費を渡した事実は認めたが、「慣行」や「国情院に含まれた大統領府の予算を国政運営のために渡しただけ」だとし、決して賄賂ではないと強調した。
ソウル中央地裁刑事32部(裁判長ソン・チャンホ)は、この日午前10時からナム・ジェジュン、イ・ビョンギ、イ・ビョンホ元国情院長の被告人尋問を行った。ナム・ジェジュン元院長は「特活費は政府省庁の予算であり、国情院予算を大統領府が使っていると思った」とし、2013年3月~2014年4月まで毎月5000万ウォン(約500万円)ずつ、計8億ウォンを渡した事実自体は認めた。ナム元院長は「慎重に検討しなかったのは40年の公職生活の中で最悪の失態であり、深く反省している。惨たんたる思いだ」とし、不適切だったと述べた。
だが、ナム元院長は「大統領府の予算を国情院の予算に含めて編成したと見て、合法的だと思った。大統領府の予算なので大統領に返すものだと考えた。国政運営に使われると思ったのであり、決して個人的な出世のために渡したのではない」とし、賄賂容疑などは強く否定した。朴前大統領から特活費支援を要求されたこともないと主張した。ナム元院長は「大統領に(金を)渡すと言っておきながら忘れてしまい督促される国情院長が大韓民国にいるだろうか。特活費について大統領と話を交わしたことはない」と話した。
ナム元院長に続いて国情院長に就任したイ・ビョンギ元国情院長は、「就任後、特活費についてイ・ホンス当時企調室長から報告を受け、二倍の1億ウォン(1千万円)の交付を指示した」と認めた。二倍に増額した理由について、イ・ビョンギ元院長は「朴前大統領は、金の問題にははっきりしているようだと思った。イ・ホンス室長に大統領府の事情を尋ねたら、ゆとりはなさそうだというので、企業に手を出させないよう、余裕のある金があるならもっと渡そうと思った」と説明した。イ・ビョンギ元院長は「増額する時も、イ・ホンス室長から大統領府の予算支援は前の院長時代から行われていたので、特に問題ないと聞いた」と話した。イ・ビョンギ元院長は2014年7月~2015年2月まで毎月1億ウォンずつ、計8億ウォンを朴前大統領に渡した容疑で裁判を受けている。
イ・ビョンギ元院長はこの金の性格について、「国情院のために渡したではなく、大統領の国政遂行のための支援として渡した。一番聞きたくないのが賄賂という言葉だが、何のために大統領に賄賂を渡すのか」と述べた。さらに「国情院長をしながら大統領との単独面談を一度もできず、1億増額してもありがとうという電話の1本も受けたことはなかった。国政運営のために使うならいくらでも釈明できるだろうと思ったが、着る服を買うのに使ったとはまったく想像もできなかった」とし、「舌を噛み切って死んでも賄賂を渡したわけではない」と強調した。イ元院長は「賄賂ではないが、写真を撮られることをわかっていながら子どもや孫がいるのにこの席に囚人服を着て出ているのは、反省しているという意味だ」と付け加えた。
イ・ビョンギ元院長はチェ・ギョンファン当時企画財政部長官(現自由韓国党国会議員)に1億ウォンを渡したと認めた。イ・ビョンギ元院長は「NLL(北方限界線)対話録事件やコメント事件など騒がしい時期だったが、予算をうまく練ってくれてありがたく思い、激励のためだった。昨年末に大統領が企画財政部にピザを送ったような次元だった。企財部と業務協力をよくしておけば業務進行も円滑だと思った」と話した。さらに、チョ・ユンソン元政務首席などに毎月500万ウォン(約50万円)ずつ支給したのも、「大統領府勤務をしたことがあるが予算がないので少し支援した。善意で渡したのだがまるでものすごい賄賂のようになってしまい、非常に自己恥辱感を感じ、むだに金を渡して苦労させており、強く胸を痛めている」とイ・ビョンギ元院長は話した。
最後に被告人尋問を受けたイ・ビョンホ前国情院長も、朴前大統領に特活費を渡した事実は認めたが、賄賂や横領、国庫損失ではなく、大統領の指示に従わなければならなかったと主張した。イ・ビョンホ前院長は「赴任して前の院長の時から定期的に支援してきたと報告を受け、問題はないと思った。私たちは帝王的大統領中心制で、予算について指示があれば現実的に院長は従うしかない」と述べた。さらに「国情院長は安保の総責任者である大統領を信頼しなければならないと思う。大統領が安保と国政のためにちゃんと使うと思った」と、イ・ビョンホ前院長は話した。イ・ビョンギ元国情院長の後任に任命されたイ・ビョンホ前国情院長は、2015年3月から2016年9月まで計21億ウォン(2億1千万円)を朴前大統領に与えた疑いなどで起訴された。
イ・ビョンホ前国情院長は1億ウォンずつ渡していた特活費を2016年9月に2億ウォンに増やした理由について「大統領が資金が必要だという伝言を受けて決定した。お金をかけて点数を取るという考えは夢にも思ったことはない」と明らかにした。ただし、収賄容疑は強く否定した。イ・ビョンホ前国情院長は「この問題に関してとても安易に対処し、実に残念で惨たんたる思いだ」と述べながらも、「賄賂を渡したことになるとは夢にも思わなかったし、大統領に国情院長が賄賂を渡さなければならない理由も動機も意思もない」と話した。