国家情報院(国情院)が2013年、検察の大統領選挙介入を捜査を阻止するため、ウォン・セフン元国情院長の個人不正を手渡す代わりに、コメント事件の捜査を中止すべきという報告書を作成したことが、28日に確認された。国情院が捜査を妨害するため、捜査機関との“取引”まで計画したのだ。
ハンギョレの取材結果を総合すると、国情院は検察捜査が真っ最中だった2013年4月の捜査もみ消しに向けた戦略の一つとして、ウォン元院長を「スケープゴート」として使う内容の報告書を作成した。検察も体面があるので、ウォン元院長は拘束させるようにしなければならないという趣旨であり、コメント捜査には国情院の存続と政権の命運がかかっているため、個人の不正として処理してほしいという内容も書かれている。国情院はこのような内容の取引の意思を検察側に間接的に打診したようだが、結果的には実現しなかった。
具体的に当時国情院が作成した報告書には「ウォン元院長の個人不正事件と併合して捜査するよう協調することを前提に、ビッグディールを模索しなければならない。組織的介入に飛び火して、職員らが巻き込まれることを遮断しなければならない」という内容などが含まれていた。同様の期間に作成された別の報告書には「ウォン元院長の個人不正を先に公開してしまうと波紋が広がる可能性があり、スケープゴートのカードが消えてしまう」というような内容もあった。ウォン元院長の個人不正に対する捜査が先に始まると検察との取引が難しくなるという意味で、国情院が“ビッグディール・カード”を多角的に検討したことを示している。国情院のこのような“ビッグディールの試み”は今月26日に逮捕・起訴されたソ・チョンホ元2次長と国情院への派遣検事だったチャン・ホジュン元検事長などの公訴状にも一部の内容が含まれた。
捜査の方向を変えようとした国情院のこのような計画に反し、ウォン元院長は結局、国情院法と公職選挙法違反の疑いで2013年6月14日に在宅起訴された。当時捜査チームは、ウォン元院長に国情院法と公職選挙法違反の疑いをすべて適用し、拘束令状を請求する方針を固めたが、ファン・ギョアン当時法務部長官の「選挙法を適用することはできない」との指示により、結局、公職選挙法違反は適用するが拘束令状の請求はしないことで整理された。
以降、ウォン元院長は翌月の7月10日、親交があった建設業者から工事受注の便宜を図ってほしいという請託と共に1億5000万ウォンの金品を受け取った疑いで拘束された。ただし、当時検察関係者は「建設業者の不正は検察が認知して捜査に着手したもので、国情院から出てきたという話は聞いたことがない」と話した。
一方、ソウル中央地検国情院の捜査チーム(チーム長パク・チャンホ2次長)は同日、ソウル拘置所に収監されたウォン元院長を被疑者として呼んで調査した。捜査チームはまた、同日キム・ビョンチャン・ソウル龍山(ヨンサン)警察署長(当時ソウル地方警察庁捜査2係長)を召喚し、当時警察のコメント事件捜査を妨害したかなどを追及した。検察は、当時ソウル地方警察庁の担当情報担当官O氏などを調査する過程で、2012~2013年の警察のコメント事件捜査関連情報を受け取ったという供述を確保したという。