「曇ればチャランチャラン、雨が降ればチルンチルン言います。嵐にでもなればウオオンウオオンと牛蛙の鳴き声をたてて、本当に怖いです」
6日午後、忠清南道唐津(タンジン)市貞美(チョンミ)面士冠(サグァン)里のヤンジマウルで会ったアン・ジャンファン氏(70)は、送電線路が恐ろしいと言った。この村は74世帯170人余りが住む農村だ。1キロ余りの貞美路に沿って大小の送電鉄塔が16基も列をなしている。
1997年に新唐津変電所が建てられて以来、士冠里の村の空はくもの巣のように高圧電線が交差し合っている。当時はまだ住民たちも、国家事業だし、鉄塔の敷地は補償を受けて、別に反対とかはなかった。 貞美面には107の鉄塔が建てられ7本の送電線路が開通して、電気が四方八方に逹する交差点となった。
曇りの日はチャランチャラン・雨降ればチルンチルン
嵐になればウオオンウオオン …
「今では音を聞くだけでも本当に怖いです」
送電塔から200メートルの17世帯に癌6人など疾患
唐津に変電所6、鉄塔は526基
市民「政府は20年間私たちを騙してきた」
京畿道区間の地中化に裏切られた思い
市、北唐津変換所建築許可を取り消す
韓電「業務妨害」として 21日法廷で争う
住民が一人二人と倒れていった。 チェ・サングク氏(69・士冠里)は「送電塔から200メートル以内の17世帯のうちキジュン氏、ソンイクのお母さん、チホのお婆さん、チョンスク氏、ウンドン氏、コンムク氏の6人が癌などにかかった」と言った。イ・ウォンソク貞美面開発委員長(57)は「士冠里と臣是(シンシ)里だけでも 42人が癌など重病で死亡したり病気にかかっているし、鉄塔の下の線下地 (上に高圧線が仮設された土地)と周辺の土地は坪当たり2万~3万ウォンにも売れない。鉄塔が建って以来、健康も財産も失った」と言って嘆いた。
ソウル大のアン・ジュンボク教授チームが1999~2003年の全国の154キロワット及び345キロワットの送電線路周辺地域の癌患者に対して実施した疫学調査結果によれば、送電線路近隣地域はその外の地域より胃癌は1.2~1.3倍、肝臓癌は1.3~1.6倍発病率が高かった。 唐津環境運動連合が士冠里で測定した電磁波は最高22mG(ミリガウス)を示した。 スウェーデン 2mG、オランダ 4mG、スイス 10mG など他の国の勧告基準を2~10倍上回る数値だ。韓国の勧告基準は833mGにもなる。 忠南研究院は 2013年忠南地域の送電線路の線下地と残余地(土地収容で一部残った土地)の地価を調査し、少なくとも 389億ウォンの被害があると推算した。
■変換所建築許可の攻防
唐津市と韓国電力公社は21日、北唐津変換所建築許可を取り消した行政措置が正当か否かを巡り法廷攻防を始める。
唐津市が許可を取り消した理由は送電鉄塔の新設を阻むためだ。変換所は発電所で生産された電気を交流から直流に変換する施設だ。市は韓電の変換所予定地が変電所の敷地なので、事実上の変電所建設と判断した。変電所は電気を必要な所に供給する分けつ施設なので、新しい送電線路が必要となり鉄塔の新設が予見されるというわけだ。
訴訟を提起した韓電は、法的条件は取り揃え、地域住民とも合意しており、国家事業なので唐津市が許可を取り消したのは行政を誤り業務を妨害したものだと主張する。 また現在、新唐津変電所~現代製鉄~北唐津変換所の区間に345キロワットの送電線路があって、新しく送電線路を作る計画はないという立場だ。 ただし唐津火力~北唐津変換所区間の予備送電線路計画は、天災地変などで唐津火力~新瑞山(ソサン)変電所~新安城(アンソン)変電所区間の送電線が切れたりすれば首都圏に深刻な停電事態が発生し得るため、そのような事態に備えるものであると主張している。 昨年末現在、唐津には6つの変電所と15本(全長189キロ)の送電線路、526の鉄塔がある。
■ 約束守らず不信を自ら招く
唐津市の白紙化措置の裏には市民の不信がある。これまで国家事業と言いながらも情報を隠したりウソの情報を提供したり、反対すれば電源開発促進法を押し立てて強制執行したケースが多いからだ。イ・ウォンソク委員長は「新唐津変電所工事の当時、土地所有者が 1人最後まで反対したけれども、韓電は土地代を供託して工事を強行した。鉄塔もいつも決まって筆地の境界地点を立地と決めておいて協力的な地主の土地に建てて補償をする手法を使い、反対していた土地所有者に肩透かしを食わせる事が頻繁にあった」と話してくれた 。 唐津火力も初め政府と韓電は6号基までだけと約束したが、あれやこれやの理由を挙げて10号基まで増設した。
唐津参加連帯のリュ・ジョンジュン事務局長は「20年以上騙されてきた結果、市民は政府が今後石門(ソンムン)干拓地に発電所をもっと建てて、変換所は変電所として、予備線路は首都圏に向かう送電線路として使用するだろうと考えている」と伝えた。
特に、韓電が唐津火力~北唐津変換所区間(34キロ)は鉄塔で、変換所~京畿道区間(33キロ)は地中化方式で送電することにすると、「首都圏の市民だけが人なのか」と世論が大きく悪化した。 里長団協議会・市民社会団体等が立ち上げた唐津地域送電線路汎市民対策委員会は先月29日、産業通商資源部長官に書面を送り、送電線路追加建設白紙化▽石炭火力発電所追加建設はしないという約束▽一方的な電源開発促進法、送変電施設周辺地域補償及び支援に関する法(送周法)および電気事業法の改正▽韓電の唐津市長等に対する損害賠償訴訟の即時撤回、などを要求した。
大田(テジョン)経実連(経済正義実践市民連合)のイ・グァンジン葛藤解消センター委員は「国家事業は住民や地方自治体の意見を反映させなければならない。苦情の予想される事業は葛藤影響評価を義務化するなど、制度的補完が必要だ」と指摘した。
韓国語原文入力: 2016-01-10 20:14