「ソンワンジョン・リスト」捜査がなかなか前に進まない。特別捜査チーム(チーム長ムン・ムイル検事長)は、李完九(イ・ワング)前首相召喚(14日)と瑞山奨学財団の家宅捜索(15日)から2週間近く、目立った動きを見せていない。メディアの大々的な照明を受けていた初期とは異なり、一種の調整期に入った様子だが、この期間が長くなるにつれ、「縮小志向の捜査戦略ではないか」という指摘が出てくる。
■親朴3人には資金追跡も行わない
27日、検察関係者たちの言葉を総合すると、捜査チームはホン・ジュンピョ慶尚南道知事と李前首相を除く“リストの人物”の6人の口座をはじめとする資金追跡を行わなかった。捜査チームは、キム・ギチュン、ホ・テヨル、イ・ビョンギ前・現職大統領府秘書室長の場合は、ソン・ワンジョン前京南企業会長の主張が事実であっても、時効が過ぎているか、渡した金品の規模と状況が特定されていなかったという理由で、事実上捜査対象から外したことが分かった。結局、ホン・ムンジョン議員、ソ・ビョンス釜山市長、ユ・ジョンボク仁川市長など、2012年セヌリ党の大統領選挙キャンプで活動した“親朴”3人が主な捜査対象になるが、収賄・政治資金捜査の基礎とされる口座の追跡が行われていないのだ。
2012年大統領選挙当時、ホン議員は、組織総括本部長として党組織全般を管理し、ソ市長とユ市長は、それぞれ党務調整本部長と職能総括本部長を務め、選挙組織と資金を管理した。ソン前会長は、生前のインタビューで「大統領選挙の時ホン(ムンジョン)本部長に2億ウォン(約2227万円)程度の現金を渡した」とし「この人も自分が使ったわけがない。大統領選挙に使ったはずだ」と話した。特別捜査経験が豊富なある弁護士は「特別捜査は口座追跡から始めるものだが、まだ京南企業側だけにしがみついているのは不思議なことだ」と指摘した。
■1カ月前に陳述を確保したのに召喚先送り
捜査チームは、大統領選挙資金と関連した陳述と手がかりを確保したにもかかわらず、捜査に消極的な姿を見せていることで、問題になっている。検察はすでに1カ月前に前京南企業副社長のハン氏から「大統領選挙当時、ソン前会長の事務室で朴槿恵(パク・クネ)キャンプの関係者キム氏に2億ウォンを直接渡した」という趣旨の陳述を確保したと伝えられている。しかし、捜査チームは、ハン前副社長が指摘したキム氏を召喚していない。検察関係者は、「すぐに呼んで訊いたとしても、否定されたら、どうしようもないのではないか。否定できない証拠を確保するまで時間が必要だ」と話した。
しかし、マスコミの報道を通じて既に陳述内容が知られている中で、(召喚が)遅れると、証拠隠滅や口裏合わせの可能性が高くなり兼ねない。また、捜査チームは最近、瑞山奨学財団の家宅捜索を通じて新たな裏金の存在を捉えたことが分かった。捜査チームは、「リスト」に名前が載った人たちにお金が渡された可能性がある時期などを検討し、ソン前会長の動線と比較するなど、“事前作業”を行っているだけだと伝えられた。
■ソン前会長側には厳しい捜査
リストの中の人物たちに対する捜査には消極的な捜査チームが、ソン前会長側には対照的な姿を見せている。捜査チームはパク・ジュンホ前京南企業常務とイ・ヨンギ前京南企業部長を証拠隠滅の疑いで拘束起訴した。ハン前副社長とキム氏、ヨ氏など、他の京南企業関係者も随時呼んで調査を行っている。捜査チームは2人を拘束する前から「捜査に対する非協力を超える妨害および証拠隠滅行為は厳しく処断する」と強調した。京南企業の家宅捜索はこれまで3回行われた。
しかし、捜査チームは、ホン知事の側近たちが、ホン知事にお金を渡したとされるユン元京南企業副社長を懐柔しようとした疑惑と関連して「ホン知事が関与した部分を見つからなかった」とし、ホン知事を在宅起訴する方針だ。
捜査に進展が見られないという指摘について、捜査チーム関係者は「供与者側の証拠資料を通じ、資金を渡した当時の状況を最大限に復元するのが収賄捜査の基本だ。疑惑が提起された当事者を下手に召喚するよりも、京南企業側の調査に力を入れるのが当たり前の手順」だと述べた。
韓国語原文入力: 2015-05-27 19:39