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自殺率 地域別‘最高4倍 格差’…何が違うのか

原文入力:2012/09/10 22:20(2024字)

 我が国の自殺率(人口10万人当たり自殺者数)は2010年基準31.2人、経済協力開発機構(OECD)会員国の中で最も高い。 高い自殺率に劣らず深刻なのは地域別格差が大きいという点だ。 16ヶの市・道間比較では最高1.5倍、市・郡・区格別比較では4倍の差異が生じた。 自殺が貧困など社会・経済的要因と密接な関連があるためと推定される。

キム・ヤンジュン記者 himtrain@hani.co.kr

自殺率が高い30ヶ所、精神保健センターは9ヶのみ

自殺が少ない30ヶ所の半分に過ぎず
人生満足度が低く老人貧困に比例して
自殺率が高いことが明らかに
専門家 "老人福祉など総合対策を"

 2010年基準 全国基礎自治団体(市・郡・区)別自殺率差が最高4倍にもなることが明らかになった。

 10日国会保健福祉委員会所属キム・ヨンイク民主統合党議員が統計庁資料を基に全国地方自治体別自殺率を比較分析した結果を見れば、広域自治団体(市・道)の場合、ソウルの自殺率(人口10万人当たり自殺者数)が24.3人で最も低い反面、忠南(チュンナム)が36.9人で最も高かった。 基礎自治団体別比較では忠南、鶏龍市(ケリョンシ)が14.5人で最も低かった反面、江原(カンウォン)、洪川郡(ホンチョングン)は59.2人で何と4倍もの差異が生じた。 同じ広域団体の中でも市・郡・区別自殺率の差異は非常に大きかったが、忠南の場合、礼山郡(イェサングン)は58.4人を記録して鶏龍市(ケリョンシ)より4倍も高かった。 今回の資料は地域別に年齢帯別分布が異なる点を勘案して、この差を補正した後に分析したものだ。

 地方自治体別に自殺率に大きな差異が生じるのは、精神保健センター設置など自殺危険性が高い人に対する保護対策の有無や社会的な剥奪感など社会・経済的要因の差異のためと推定される。 実際、今回の分析でも精神保健センターの設置現況により自殺率が異なって現れたが、自殺率が高い30ヶの市・郡・区の精神保健センター設置比率は30%(9ヶ)に過ぎない反面、自殺率が低い30ヶでは63%(19ヶ)と分析された。 精神保健センターは地域住民の精神健康増進と自殺予防、自殺企図者らの社会復帰のために専門的なサービスを提供する機関だ。

 人生に対する低い満足度を含め社会的剥奪程度が激しいほど自殺率が高まるという研究結果もある。 キム・ドンヒョン翰林(ハンリム)大保健大学院教授は 「経済協力開発機構(OECD)の資料を見れば人生の満足度が低いほど自殺率が高まるが、我が国はスロバキアを除いて会員国の中で人生の満足度が最も低い国」と話した。

 また、2005~2009年の自殺率と社会剥奪指標の関連性を研究した結果でも、社会剥奪指標が高い地方自治体であるほど自殺率が高い傾向が見られた。 社会剥奪指標は世帯の所得や学歴が低いほど、住居環境が老朽化するほど、女性世帯主や独居家具であるほど高く現れる。 キム教授は 「特に我が国は老人たちの場合、貧困率が高いほど自殺率が高いことが明らかになる」として 「自殺予防対策をたてる時、うつ病など病気だけに限定せず老後所得保障など老人福祉次元で総合的に接近しなければならない」と話した。

 キム議員は「最近10年近く我が国の自殺率がOECD会員国中で1位を記録しているほど我が国は‘自殺大国’という汚名を濯げずにいる」として「自殺予防法が施行されて5ヶ月が過ぎたが政府は自殺予防基本計画さえ樹立できないほど中途はんぱだ」と批判した。

 自殺率を低くするには過去には自殺率が非常に高かったが最近減少傾向に反転した日本やフィンランドなどの事例を参考にしなければならないという指摘が出ている。 1995年から2000年代初期まで自殺率がOECDの中で最高だった日本は、世界で初めて自殺予防法を制定した後に自殺予防プログラムを通じて自殺企図の再発を防ぐために応急室での自殺企図者に対する支援や自殺企図者および自殺者の遺族に対する支援プログラムを進行中だ。 フィンランドも自殺者に対する‘心理的解剖検査’を通じて自殺者が最近6ヶ月以内に失職、離婚、両親の死亡、破産などを体験して自殺を試みるということを把握した後、危機に置かれた人々に対する支援策を用意して自殺を減らした。 フィンランドや英国ではマスコミが自殺を詳しく描写すれば類似事例が多くなるという点を勘案して、マスコミでも自殺という単語を極度に自制するようキャンペーンなどを進めている。 キム・ヤンジュン医療専門記者 himtrain@hani.co.kr

原文: https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/550997.html 訳J.S