原文入力:2011/08/03 19:11(1907字)
パク・レグン(国家保安法廃止国民連帯執行委員長)
どこかで聞いたことのある名前だった。ワンジェサン(旺載山)? 咸鏡道(ハムギョンド)のどこら辺かにある北朝鮮のキム・イルソン(金日成)革命遺跡であるという親切な新聞記事の説明よりは、普天堡(ポチョンポ)軽音楽団と共に北朝鮮を代表する軽音楽団であり、最近では「涙に濡れた豆満江(トゥマンガン)」や「木浦(モクポ)の涙」のような南の歌を演奏したりもするというインターネットの説明の方がピンと来る。
北朝鮮で人気のある軽音楽団の名前が大韓民国の言論紙上で大々的に挙論されている。 イム・チェジョン前国会議長の補佐官がかかわった大規模地下党組織、“ワンジェサン事件”の報道を通じてである。 ところでこの事件の最初の名称は“一進会”であった。 10年以上も暗躍した地下革命党の事件を徹底して捜査してきたという国家情報院が、組織名も知らないまま事件の捜査からやったという話になる。
事件の報道はものすごい包装がなされているが、報道にあらわれた地下革命党の活動は、何をしたということなのか、あまりにも微々たるものだ。 釈然としない点があちこちにある。 私たちは未だこの組織の綱領も知ることができないし、国家情報院が提示した図表の他には組織の具体的な状況も分からない。 さらにこの事件とかかわって拘束されたり被疑者または参考人として調査を受けた人々はこのような地下革命党事件構成を必死になって否認しているのだから、法廷で証拠として採択されるかどうかも疑問だ。 大部分の事項が国家情報院の一方的な説明以外に何もなく、具体的な証拠が提示されたこともない。 国家保安法事件のたびに繰り返される誇張された事件発表と報道、被疑事実公表の悪習がこの事件にもそのまま現れている。
さらに40人近い事件連累者に対し、手当たり次第にひとまず押収捜索して、ちょっとお茶でも、と言って呼び出しては被疑者尋問調書を作成したこともあったという。 そのような捜査線上に上がった仁川(インチョン)地域の地方自治体長と民主労働党仁川市本部や民主労総仁川地域本部の幹部などの具体的な容疑は、事件発生後一ヶ月になろうというのに何も出て来ず、足踏み状態だ。 さらに民主党の前国会議長補佐官は何をしたということなのか、容疑事実さえ出てきていない。 それでこの事件の未来を現在の時点で診断するならば、過去に大々的な反国家団体と発表されたが結局個人的親北行為という判決の出た一心会事件や、最近裁判所で再審を通じて無罪宣告されたスパイ団事件の、初期の捜査発表時とそっくりだ。
そのうえ、 この事件の捜査を進める過程で 国家情報院は、弁護人の面会を随時制限し、被疑者の弁護人の助力を受ける権利も侵害し、手錠まではめて捜査を行ない、 口汚く罵りながら家族まで調査を受けるかもしれないと言って脅迫した。 また、被疑者家族の面会要請には何か口実をつけては先送りしたあげく、捜査に協力しないから面会させないと言い、さらには面会を要請する家族を参考人または被疑者に仕立てて面会を遮断するようなことまでやった。 そんなに自信のある事件ならば、果たしてこのような反人権的な捜査を行なうだろうか? 物理的な拷問がないだけであって、密室捜査に高圧的な捜査を最大限やっているという被害者とその家族らの訴えが後を絶たず、ついには弁護士協会でさえ国家情報院の捜査慣行に抗議し、弁護団は憲法訴訟と準抗告を提出しているという状況だ。 何か自信がなく不十分な点が多いけれども無理にでも事件を作りあげたい、それで何とか手柄を立てなければという強迫観念にさいなまれている国家情報院と検察の姿から、来年の政治的大会戦を控えて野党勢力と進歩陣営に政治的打撃を与えたいという意欲を読みとることは無理だろうか?
ただでさえ国家保安法自体が自由民主主義の価値に反する悪法であるのに、その上、国家情報院と検察が具体的な証拠もなしに人権侵害をほしいままにしながらでっち上げる事件を、いったい誰が信じることができようか。 私は密室であらゆる人権侵害を行ない作りあげた国家情報院印のワンジェサン(旺載山) 地下革命党は見たくない。 それよりは、ワンジェサン軽音楽団が演奏する「涙に濡れた豆満江」を聞きたい。
原文: 訳A.K