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[ハンギョレ プリズム] 財閥が財閥になった力/キム・ジンチョル

原文入力:2011/07/10 19:29(1919字)

凡人にはとうてい想像もマネもできない彼らだけのアイデア

←キム・ジンチョル escチーム長

‘財閥たち本当に頭が良い。’最近プリンタの故障修理を頼んで思った。三星電子サービスの‘エンジニア’はプリンタを見るなり蓋を開けて親切に「この部品を交換しなければなりません」と言い切った。分かってみれば、このプリンタは該当部品の頻繁な故障で生産中止されてしまっていた。エンジニアはプリンタをいつ買ったのかと尋ねた。保証期間1年を越せば腹より大きいヘソ水準の部品交換費用を払わなければならないということだった。購入して1年4ヶ月になるプリンタ、故障するならもっと早く故障してくれればと思ったが、運が悪かったと考えた。エンジニアは製品の欠陥を認めながらも保証期間が過ぎているのでどうにもできないとし、恐縮していた。リコールすべき製品をこっそりと生産中止にして、保証期間まで問い詰めさせるアイデアをやり遂げた財閥の頭、どれほど良いのだろうか。

5年前に証券市場を担当していた時も同じようなことを思った。‘財閥たち本当に頭が良い。’自動車を作って売るには運搬は必ず必要、その仕事を請け負った会社は黙って座っていても仕事が転がり込んでくる。グロービスの前身、韓国ロジテックは2001年に現代車グループのチョン・モング、チョン・ウィソン父子の100%出資で設立された。ここまでなら本当に頭が良いとまで感心することではない。開いた口が塞がらないのはその続きがあるからだ。会社は冷めたおかゆを食べるようにスクスクと成長し、いよいよ2005年末に有価証券市場に上場される。株式は額面価以上にどーんと跳ね騰る。このようにしてグロービスの主人は6万3000%(630倍)という天文学的な投資収益率、世界新記録を樹立することになる。黙って座っていてもうまくいく会社を作り、時を合わせて株式を公開し金をかき集めるというアイディア、こうしたことは誰にでもできることではないと考えた。

それはそうだろう。三星であれ現代車であれ、その莫大な富を積みあげるまでには何かがあったのだ。ロトや年金宝くじに当選するように単純に運が良くて資本権力の帝王にされたというのでは何か理に適わないのみならず気分も悪いではないか。凡人にはとうてい想像もできず、よしんば想像できたとしてもあえてマネることはできない、彼らだけの優れたアイデアと果敢な実行力が千年万年子々孫々まで享受できる富の源泉ではないだろうか。それなら庶民の剥奪感は不運に起因したものではなく、激しい誠実さと想像を超越する頭脳を持てないことに起因することを認めざるをえない。

相対的剥奪感から抜け出し楽になった気持ちが先日 こなごなになってしまった。そのような優れたアイデアは主人ではなく小作管理人のものであったということだ。ある財閥グループ系列会社の高位役員まで務めたある人物と夕食を共にした。「グロービスのアイデア本当にすばらしいでしょ? 税金を払わずに事業承継することがどれほど難しいことか。でもグロービスだけじゃなくて。そのアイデアを出した人がいるんだって。その人、会社から途方もなく称賛を受け常勝疾走したんだって。一気にその困難を極める役員席まで簡単に上がったから。」 ‘リコールの代わりに生産中止’も、お忙しい会長様が気を遣ったことではないと思いたい。‘リコールの代わりに生産中止’アイディアを出した三星マンは、少なくとも部署の中では認められているだろう。もちろんグロービス アイデアマンは、はるかにうまく行っているはず。「今どこで何をしているかって? そうだな…。」 彼は言葉を濁した。ずば抜けたアイデアでサラリーマンの夢とも言える大企業役員まで上がり、おかげで北韓ですらうまくいかないという3代世襲が着々と順調に進行しているにも関わらず、彼は今は追い出されたと言った。仕方ないだろう、主人の気持ち次第だろう。

韓国放送のチャン・某記者も目にありありと浮かぶ。民主党盗聴事件の主人公として名指しされた人。入社4年目の記者がそのような途方もないことを自発的に行ったは納得し難い。どうにかして主人に気にいられ成功しようと思うことが、悲しい小作管理人の夢だとしても。しかも韓国放送は財閥グループでも、縁戚マスコミでもないではないか。 nowhere@hani.co.kr

原文: https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/486628.html 訳J.S