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「AI終末論」の裏側で…「AI領土」をめぐる米中の覇権争い

登録:2026-09-23 09:48 修正:2026-09-24 06:48
【パク・ミンヒのチャイナ・パズル】追撃者からライバルへ
13日にインドのニューデリーで開かれた第18回BRICS首脳会議で、中国とインド、ロシア、南アフリカ共和国、イラン、エジプト、インドネシア、ブラジル、アラブ首長国連邦の首脳や高官が記念撮影を行っている=ニューデリー/AFP・聯合ニュース

 13日にインドのニューデリーで開かれたBRICS(ブリックス)首脳会議で、中国の習近平国家主席は「BRICS人工知能(AI)のオープンソースゾーン」を創設すると宣言した。グローバルサウス(新興・開発途上国)において、中国のオープンソースAIを基盤としたモデル開発や人材育成を支援し、味方を増やしていこうとする戦略だ。

 これに先立ち、今年7月にも習近平国家主席は上海で「2026世界人工知能大会(WAIC)」を自ら主宰し、「世界人工知能協力機構(WAICO)」を発足させたが、すでにインドネシア、ブラジルなど29カ国が参加している。これは、米国が昨年12月に発足させ、韓国、日本、オーストラリア、英国、イスラエル、シンガポール、カタール、アラブ首長国連邦などが参加した「パックス・シリカ」(Pax Silica)イニシアチブに対する明らかな挑戦状だった。

 習近平国家主席の「AI同盟」拡大戦略は、24日に予定されているトランプ米大統領とのワシントン首脳会談を控え、綿密に準備された切り札だ。5月に北京で行われた米中首脳会談でもAIが議題に上がっており、トランプ大統領は次回の会談ではAIの「ガードレール」(安全装置)について議論すると述べた。その後、中国はグローバルサウス諸国を中国主導のAIエコシステムに引き込み、影響力を急速に拡大した。どの国がより速く最先端のモデルを開発するかだけでなく、「AI領土」を拡大してより多くのデータを収集し、標準を先取りすることが、AIをめぐる競争の行方を左右することを見抜いたからだ。今やAIは、産業・技術・軍事・情報戦の未来をかけた米中覇権争いの主戦場となっている。

 12日、米アンソロピックの最高経営責任者(CEO)ダリオ・アモデイ氏が、AIが自ら発展する「再帰的自己改善」を通じて人間のコントロールから抜け出すリスクが高まったという「終末論的」な警告を発したのも、中国との競争を意識したものだ。アモデイ氏は、AIをめぐる競争を「民主主義国家」対「専制国家」の対立と捉え、「中国がAI分野で先行することになれば、米国と世界にとって深刻な危険となるだろう」と警告した。

 アモデイ氏の警告に対し、中国は「脅威の物語を流布し、対立と悪意ある競争に明け暮れている」(中国外務省の郭嘉昆報道官)、「米国の『技術右派』が提示した冷戦シナリオ」(「環球時報」)だと強く反発した。中国は直ちに13日、情報機関のトップである陳一新国家安全相による「AIの安全保障上の脅威」に関する文章を公開した。陳氏は「敵対勢力」による中国へのサイバー脅威を警告しつつ、クロード・ミュトスやGPT-5など、米国のAIモデルを名指しした。同氏は、敵対勢力がAIを用いて偽の映像や音声を拡散させ、中国の国家安全保障を脅かしたり、中国の機密情報が流出したりする可能性があると警告した。

 米国はAI分野に限っては中国が追いつくのは難しいと自信をのぞかせていたが、中国の追撃戦略に不意を突かれた。香港中文大学(深センキャンパス)公共政策大学院の黄平教授は9日、「大湾区評論」への寄稿文で、米中のAI競争の構図を3段階に分析した。第1段階(2012~2019年)では、米国企業が深層人工ニューラルネットワークを基盤とした「ディープラーニング」技術の開発を主導し、2016年にグーグル・ディープマインドがAlphaGoを発表することで、AI技術の中核を掌握した。この時期、中国は百度(バイドゥ)、アリババ、テンセントがAI研究所を設立し、追撃の第一歩を踏み出した。

 第2段階(2020~2023年)では、オープンAIのChatGPTを通じて大規模言語モデル(LLM)が爆発的に成長し、ハードウェアにおいてもエヌディビア(NVIDIA)のA100/H100チップが世界の高性能コンピューティング市場を独占するかに見えたことから、米国は技術とハードウェアの両面で中国に対して圧倒的な優位性を示した。同期間、中国はバイドゥの「アーニー・ボット」、アリババの「通義千問」など、独自の汎用AIモデルを開発し、最先端半導体においても、華為技術(ファーウェイ)が米国の制裁を突破して開発した「アセンド910」チップが商用化に入った。重要なのは、先頭を走る米国がコンピューティングパワーと汎用AIの性能向上に天文学的な投資を行う一方で、追随者である中国はコストパフォーマンスの高いモデルを開発し、既存の産業に応用して効率を高める戦略を打ち出したことだ。

 2024年から現在までは第3段階にあたる。第2次トランプ政権が発足した昨年1月、中国のディープシークがコストを画期的に削減しつつも、米国の最新モデルと同等の性能を備えたR-1モデルを公開したことが、重要な分水嶺となった。ハードウェア分野でも、ファーウェイのアセンド910Bチップが、NVIDIAのA100チップの約90%の性能をより低いコストで実現した。中国はまた、AI技術をヒューマノイドロボットに組み込むなど、産業現場での商用化において成果を上げている。中国の専門家たちは、今や米中のAI技術格差が従来の「1世代分」よりもはるかに縮まり、同一の技術世代の中で、性能、コスト、エコシステム、応用能力をめぐって対等な競争を繰り広げる段階にあるとみている。

 中国のAI戦略は、中国の電気自動車(EV)が世界を席巻する過程に似ている。米国の最先端のクローズドモデルとは異なり、誰でも無料でダウンロードして自分のコンピュータで実行できるオープンソース方式と価格競争力を活用し、グローバルサウスを中心にユーザーを急速に拡大しながら、中国の経済的・地政学的な影響力を広げていく。中国人民大学国際関係学院の翟東升副院長は、昨年9月に「域外月報」への寄稿文の中で、毛沢東の「農村から都市を包囲する戦略」(農村の根拠地を拡大し、最終的に革命の勝利を収めたもの)を活用して、中国は米国を追い越すべきだと主張した。

 翟副院長は、米国は人間の能力を超える超知能AIの開発を目標としているが、収益構造が不透明な高コスト・高リスクの賭けであるため、米国のAIバブルは数年以内に崩壊すると予想する。一方、中国は実際の産業や日常生活にAIを適用して効率を高める実用的な戦略を選択し、リスクを低減させた。翟副院長は「究極的にAI競争の勝敗を分ける決定的な要因は、データと資金の流れだ」とし、「中国と米国を除く中間地帯にいる60億人以上の人口のデータを吸収し、彼らからより多くのキャッシュフローを生み出す主体が、より速く進化して米中技術競争で勝利するだろう」と強調する。したがって、中国は「補助金、金融支援、外交的圧力など、動員可能なあらゆる手段を活用し、可能な限り多くの国が中国のAI技術を採用するよう誘導しなければならない」と強調する。習近平国家主席が今年に入り、中国主導の「AI同盟」を構築しつつあるのは、実際にこうした戦略を実現していくためである。昨年ディープシークのR1、今年ムーンショットのKimi K3が高性能・低コストのオープンソースモデルを公開した後、グローバルサウス諸国はもちろん、米国や韓国でも中国のモデルを活用する企業や個人が急速に増えた。

 米国のAI企業から突如として噴出した危機論は、中国の猛烈な追い上げを今こそ振り切り、AIの標準と主導権を米国が必ず掌握しなければならないという要求だ。国立外交院のキム・ハングォン教授は、「米国はAI競争に限っては中国よりはるかに先を行っていると考えており、米国が確固たる優位を占めている状態で、米国主導による『AI版 核拡散防止条約(NPT)』を主導しようとした。しかし、中国の先端AIによる急速な追い上げは、米国政府や企業に衝撃を与えた」と語った。

 制御されないAI開発競争は、サイバー攻撃、自動化される戦争、生物・化学兵器の拡散などのリスクを高める。核兵器は製造が難しく、実験すれば検知され、相手が核弾頭をどれだけ保有しているかも把握できる。一方、AIは目に見えず、相手がどのような能力を確保しているかは、実際に戦争が勃発するまでは確認できない。同一の技術が軍民両用で使用され得る上、情報戦や認知戦の形で絶えず日常を脅かす。人間よりはるかに速く判断を下す一方で、判断を誤る可能性も高まる。2月、米国がイランの小学校を誤爆したのも、AIが標的を誤って設定した結果だ。AIの誤った判断に基づき、米国がイラン近海で中国の船舶を狙った軍事作戦を準備したものの実行直前に中止して、戦争の危機をかろうじて回避したという報道も出た。人類はすでにAI戦争時代の入り口をくぐった。

 「21世紀の核兵器」に例えられるAIを統制する「AI版 核拡散防止条約」が不可欠だが、その主導権を巡り米中が激しく衝突している。米中双方は、ペースを落とせば相手に後れを取るという恐怖に囚われている。米上院商工科学交通委員会のテッド・クルーズ委員長は、「キラーロボットが登場するのなら、いっそ米国のキラーロボットの方がましだ」と述べた。トランプ大統領はAIの規制論を一蹴し、「我々は、この驚くべき産業の成長をいかなる形でも抑え込むつもりはなく、AI軍を創設する」と述べた。中国も、AIなどの先端技術において、米国の追随者から対等な競争相手になったと自負しており、習近平国家主席と共産党の重要な成果として宣伝している。米国が突然「AI終末論」を持ち出したのは、中国のAIの発展を制限しようとする口実だと非難している。米中ともに、自国第一主義から抜け出すことは難しい。

 人類の未来がかかったAIのルールを、この二つの大国だけに任せてよいのだろうか。世界は傍観者であってはならない。

//ハンギョレ新聞社

パク・ミンヒ | 統一外交チーム先任記者。大学および大学院で中国と中央アジアの歴史を専攻した。2007年から2008年にかけて中国人民大学で国際関係を学んだ後、2009年から2013年までハンギョレの北京特派員として中国各地を回り、取材を行った。統一外交チーム長、国際部長、論説委員を経て、世界と外交について取材・執筆を行っている。『中国という逆説』『中国のジレンマ』『中国をインタビューする』(共著)を執筆し、『見えない中国』『ロングゲーム』などを翻訳した。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/1279130.html韓国語原文入力: 2026-09-22 20:21
訳H.J

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