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発表から25年たって撤回された「モンサント除草剤論文」【寄稿】

登録:2025-12-17 04:48 修正:2025-12-17 09:58
オ・チョルウ|ハンバッ大学講師(科学技術学)
モンサントの除草剤「ラウンドアップ」と主成分「グリホサート」は人間に重大な健康リスクをもたらさないと結論づけた2000年の論文が発表から25年後の最近、研究倫理違反により撤回された=学術誌「規制毒性学と薬理学」ウェブサイト//ハンギョレ新聞社

 広く使用されている除草剤の成分について人体に重大な健康リスクはもたらさないと結論づけた論文1編が、先日撤回された。2000年に学術誌「規制毒性学と薬理学」(Regulatory Toxicology and Pharmacology)に発表されてから25年を経て迎えた不名誉な退出だった。

 問題の論文は、多国籍企業「モンサント」の除草剤「ラウンドアップ」とその主成分である「グリホサート」の安全性を扱った研究の結果だった。病理学者と毒性学者3人が著者として名を連ね、「現在の使用の条件下では、除草剤のラウンドアップは健康へのリスクとはならない」とする結論を提示した。その後、論文は600回以上引用され、ラウンドアップの安全性を裏付ける主要な根拠として活用された。

 ところが2017年、グリホサート成分が原因で悪性リンパ腫を発症したと主張する被害者が提起した訴訟の過程で、それまで隠されていた事実が発覚した。モンサントの内部文書が公開され、問題の論文に言及したモンサントの役員と従業員の電子メールが白日のもとにさらされたのだ。

 科学誌「サイエンス」と研究不正を監視するブログ「リトラクション・ウォッチ」の報道によると、モンサントは2015年に国際がん研究所(IARC)がグリホサートを「発がん性物質」として認定したことに対抗し、学界の研究者に自社に有利な論文を発表させる戦略を議論した。ある職員は電子メールで「われわれが書いて彼らが編集し、署名だけする手法」で論文を発表しようと提案し、次の言葉を付け加えた。「2000年の論文もその手法で処理したではないか」

 代筆疑惑を提起する強力な証拠が示されたが、論文は撤回されなかった。それでも問題提起は執拗に続いた。科学史学者のナオミ・オレスケス教授らは9月、代筆疑惑が持たれている論文が、引用回数で上位0.1%に属するという権威を維持してきた実態を追跡し、論文として発表した。問題の論文は、学界だけでなく、政策文書やウィキペディアでも影響力を発揮した。

 遅ればせながら論文を掲載した学術誌側が動いた。論文を精査した学術誌の編集委員会は、モンサントの未公開の研究結果にのみ依存して結論を出しており、著者の表示と論文作成の過程が透明性に欠ける点を挙げ、最終的に論文の撤回決定を下した。

 25年は非常に長い時間だった。その間、2015年には国際がん研究所による発がん性物質の指定、2018年には米国裁判所による被害補償判決があったが、この論文は、規制政策においては科学的根拠の一つとして、学界においては権威ある参考文献として、さまざまな論争においては企業の防御の盾として活用されてきた。

 今回の事件は科学の自浄能力を示した事例だ。粘り強い関心と文書の公開、研究者の検証が、最終的に不当な論文の撤回をもたらした。しかし、2017年の発覚後も、その過程がなぜこれほど遅々としていたのかという問いは残る。

 また、この事件は、資本力を持つ企業がいかにして科学論文の発表を通じて科学知識を統制しようとするのかを示す事例でもある。企業が科学的証拠を作り出し、その証拠が改めて企業規制政策を左右するという悪循環を断ち切ることは、決して容易ではない。しかし、批判的な問いかけは投げ続けなければならない。リスク評価研究は誰が支援しているのか、著者の利害関係はどうなのか、結論の異なる研究結果は何を主張しているのか。批判的質問は科学不信を助長するのではなく、むしろ科学への信頼を強化する。

//ハンギョレ新聞社

オ・チョルウ|ハンバッ大学講師(科学技術学) (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/1234885.html韓国語原文入力:2025-12-16 18:48
訳M.S

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