米国が韓国に要求する対米投資の3500億ドルは、今年の韓国の全予算(673.3兆ウォン、約71兆円)の約73%に相当する莫大な金額だ。米国のドナルド・トランプ大統領は9月25日、日本が約束した投資額5500億ドル(約81兆円)と韓国の3500億ドルについて、両国が米国に支払う「前払い金」(upfront)だと説明した。トランプ大統領が、この資金を思いのままに使ってもかまわない「現金」だと理解していることが、改めて確認された。
ある国が別の主権国家にこれほど巨額の資金を払うよう要求できるケースは、事実上、ひとつしかない。戦勝国が敗戦国に要求する「戦争賠償金」だ。
歴史上、最も悪名高い賠償金として記憶される第1次世界大戦の戦争賠償金は、どれほどのものだったのだろうか。賠償額が決まったのは、戦争が終わってから2年が過ぎた1921年4~5月にロンドンで開かれた賠償委員会を通じてだった。連合国は賠償金の総額を1320億金マルクに決め、ドイツが受け入れなければ、西部の工業地帯であるルール地方を占領すると脅した。ただし、あまりにも巨額だったため、毎年20億金マルクと、その年5月以降はドイツの輸出額の26%を合わせた額を37年にわたり分割で賠償するようにした。ドイツは到底支払えない莫大な額だと強く抗議したが、受け入れられなかった。
ドイツが涙をのんで受け入れたこの途方もない賠償金を、現在の価値に換算してみよう。「金マルク」は1873~1914年にドイツ地域で通用した金本位制度に基づく貨幣単位で、2790金マルクが純金1キログラムに相当する価値(1金マルクは純金0.358グラム)を持つ。すなわち、1320億金マルクは純金4万7265トンだ。
これを国民銀行が提供する金価格(9月29日現在、1トロイオンス=3826.0ドル)で換算すると、ドイツが抱え込んだ賠償金は、金の価値だけで計算する場合、約6兆ドルだったことがわかる。ただし、金の価格が最近になって急上昇している点を考慮して、5年前の2020年末の相場を用いると、負担額は3兆ドル前後に下がる。英国やフランスなどは、ドイツにこの額を30年ほどかけて支払わせたが、トランプ大統領は自身の任期中の3年以内に完納するよう要求している。毎年の負担額を考慮すると、第1次世界大戦の敗戦国のドイツに劣らない。怒ったドイツ人は、わずか18年後に第2次世界大戦を引き起こし、全世界を荒廃させることになる。
韓国は米国の同盟国であり、敗戦国ではない。同盟国の心にこれほど強い挫折感と怒りを植え付けてまで米国が得ようとするものは、はたして何なのだろうか。