「内乱首魁」被疑者である尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領が15日午前10時33分、ソウル市漢南洞(ハンナムドン)の官邸で逮捕された。違憲・不法な12・3非常戒厳で内乱を引き起こしてから43日後のことだ。特にこの2週間、裁判所が発付した逮捕状の執行を物理的な力の動員で拒否したことで、国全体が極度の混乱と不安定に陥った。遅滞はあったが、逮捕状が法に則り執行されることによって、内乱勢力に対する真の断罪と民主秩序の完全な再建に向けた第一歩を踏み出すことになった。
尹大統領は、有刺鉄線と車の壁で要塞化した官邸に隠れ、法執行機関から逃れようとする卑怯な姿をさらした。警護官を人間の盾として前面に立たせただけでなく、武器を使ってでも自身の逮捕を阻止せよという無責任かつ卑劣な指示さえ与えた。自分の言葉通りに捜査と弾劾審判に堂々と臨むどころか、なんとかして時間を稼ぎ責任を回避しようとする卑しい態度を取り続けた。一国の大統領に相応しい身の振り方はまったく見出せなかった。ついに憲政史上初めて、現職大統領が捜査機関によって逮捕されるという場面を演出した。自業自得だ。
尹大統領は逮捕の瞬間まで「この国では法がすべて崩れた」という居直りの詭弁を繰り返した。弁護団を通じて発表した録画映像では「公捜処(高位公職者犯罪捜査処)には捜査権がなく、逮捕状は無効」だとし、「違法に違法を重ねた違法が強行された」と主張した。しかし、法治を崩したのは尹大統領だ。裁判所が二度も逮捕状を発行し、これに対する異議申立ても棄却したにもかかわらず、被疑者が自分勝手に違法捜査・違法逮捕だと強弁して拒否すること自体、法治を傷つける行為だ。一般の市民であればまったくありえない逮捕状の執行拒否を行い、むしろ自身が「不利益を被った」と強弁するずうずうしさは、もはや驚くことでもない。なんとかして支持層を扇動しようとする強引な主張は、これ以上通用しない。現職大統領が法の名のもとで逮捕されたことこそ、「法の前の平等」という憲法の原則を実現し、法治国家としての力を示したのだ。むしろ、世界の民主主義の歴史に記録されるほどの事例だ。
12・3内乱は憲政を蹂躪(じゅうりん)した最悪の犯罪だ。寛容はありえない。内乱の重要任務に従事したキム・ヨンヒョン前国防部長官と軍・警察の関連者は次々と拘束起訴された。その頂点にいる尹大統領を、彼ら以上により徹底かつ厳正に断罪するのは当然だ。尹大統領が法の網から逃れるためにどんな行為も躊躇しないという事実をこれまで自ら立証してきただけに、拘束捜査は必須だ。
内乱そのものはもちろん、その後に続く内乱犯による法執行機関への拒否で、国の信用はさらに失墜し、経済の不安定性も強まった。内乱事態の早期終息を望む市民が抱く不安とストレスも、並大抵のものではなかった。尹大統領の逮捕は国を正常化する出発点でもある。もう内乱犯を擁護する非理性的な主張で混乱状態を持続させようとする試みは、どこにも居場所はない。民主主義を守ろうとする市民の堅固たる意志は、国会による尹大統領弾劾をけん引したのに続き、公捜処と警察の断固たる法の執行も引き出した。軍と警察が令状執行に協力することになり、強硬派に振り回された警護処まで協力に回った背景にも、やはり市民がいた。今後、内乱首魁に対する本格的な捜査と弾劾審判の過程も市民がしっかり見守るだろう。憲法裁判所と捜査機関は、憲法と法律を守ることに一点の動揺もなく毅然さを示すべきだ。