脱北者団体「自由北韓運動連合」が6日午前、北朝鮮にビラ20万枚を散布したことを明らかにした。北朝鮮が強硬対応を公言した北朝鮮へのビラ散布が再開されたことで、「汚物風船」などで北朝鮮が対抗する可能性も大きくなった。韓国政府が9・19南北軍事合意の効力停止で衝突を制御する「安全ピン」を抜いた中、軍事的衝突の危険性が高まっている。
自由北韓運動連合のパク・サンハク代表は同日、大型風船10個を使い「金正恩(キム・ジョンウン)の妄言を糾弾する北朝鮮向けビラ20万枚を散布した」と発表した。同団体は先月10日にもビラ30万枚を飛ばすなどビラ散布活動を行ってきた。これまでビラ散布に敏感に反応してきた北朝鮮は、先月28日から今月2日まで3500個余りの汚物風船を飛ばすことで対抗した。「大韓民国に対するビラ散布はわが人民の表現の自由に当たる」という北朝鮮の主張は、尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権が対北朝鮮ビラ散布を「表現の自由」だとしてほう助している状況を皮肉ったものだ。統一部は同日もビラ散布について「表現の自由の保障という憲法裁判所決定の趣旨を考慮して(この問題に)アプローチしている」と述べた。これに先立ち、憲法裁は昨年9月、南北関係発展法の中で北朝鮮へのビラ散布行為を刑事処罰するようにした条項を「国家刑罰権の過度な行使」だとして違憲とする決定を下した。だが、憲法裁判所はビラ散布禁止そのものについては、「国民の生命と身体の安全を保障し、南北間の緊張を緩和し平和統一を目指さなければならない国家の責務を達成するためのものとして、立法の目的は正当だ」という見解を示した。ただし、刑事処罰までするのは表現の自由を過度に制限するものだと判断したのだ。
政府のほう助は対北朝鮮ビラと汚物風船の悪循環を煽っている。北朝鮮は2日、汚物風船散布の暫定的な中断を宣言しながらも、対北朝鮮ビラが再開された場合「百倍の紙くずと汚物を再び集中散布する」と公言した。韓国政府は南北間の敵対行為を禁止した9・19軍事合意の効力を電撃停止した状態だ。結局、北朝鮮へのビラ散布→汚物風船散布→北朝鮮向け拡声器の再開→軍事的緊張の高まりにつながる可能性が高い。にもかかわらず、尹錫悦大統領はこの日、顕忠日(殉国烈士・戦没者追悼記念日)の追悼の辞で「平和は屈従ではなく力で守るもの」と述べるなど、強硬な態度を貫いている。国民の生命と安全を最優先にしなければならない大統領が、軍事的緊張を煽っているという批判を免れない。強対強の対峙だけに頼ってはならない。尹大統領は危機管理に力を入れなければならない。
韓国語原文有力:2024-06-06 19:04