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[東京から] 鷹揚さを失った鳩山/チョン・ナムグ

原文入力:2010-03-15午後08:47:52(1589字)

チョン・ナムグ記者

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昨年秋、衆議院選挙を控えて出した日本民主党の公約集を再び開けてみる。表紙を飾った前を真っすぐ凝視している鳩山代表の整った顔が非常に印象的だ。公約集を注意深く読んでみれば、50年以上にわたり長期執権してきた自民党を壊滅させたその力が、決して空から落ちてきたものでないということを改めて確認することができる。民主党の公約と行動様式は大胆な発想の転換に根元を置いている。

彼らは明らかに‘問題’をありのままに表わし、有権者の心を揺さぶるほどの‘ビジョン’を提示した。20年を超えて沈滞を続けている日本に、今一度活力を吹き込むために、その間あえて試みなかったことを行うと言った。焦った有権者たちが失望し鳩山内閣と民主党に対する支持率は急に落込んだとはいえ、彼らの挑戦は今正に始まったばかりだ。

民主党は公約集で対外政策は軽く扱っている。米国と‘緊密で対等な関係’を構築し、アジア外交を強化するという‘外交’公約は一番隅に載っている。こういう公約は‘輸出主導経済’として日本経済が処した限界を、アジア諸国と協力し突破するという発想に根元を置いたものだろう。だが相手がいることで累積した過去が荷物になっているだけに、実現速度を速めることは難しいだろう。

今でも驚くべきなのは民主党公約の核心中で核心である‘子供手当て’導入と‘高校無償化’政策だ。国家借金比率が米国の2倍を越える国で、財源が途方もなくかかるこういう事業を推し進めるというのは極めて強心臓に違いない。2つの政策を実現するのに要する資金は今年3兆3000億円,一人当たり月2万6000円ずつの子供手当てを来年から全額支給すれば一年に何と6兆円(72兆ウォン)がかかる。

鳩山内閣スタート6ヶ月となる16日、日本議会は子供手当てと高校無償化政策関連法案をついに議決する。これら政策は‘普遍福祉’の拡大であり、今の日本が切実に必要とする再分配の実現だ。これは成長が止まり貧富格差が大きくなる過程で気力を失った内需を活性化する呼び水として大きな助けを与えるだろう。‘コンクリート’から‘人’に財源を移すという約束は、この2つの政策で本格的に帆を上げる。

だが民主党のそのような鷹揚さとは全く似合わないことが最近起きている。鳩山総理が朝鮮学校を高校無償化対象から除外する意向を示唆した点だ。朝鮮学校問題は中井洽 拉致問題担当相が2月末に提案し突然浮上した。参議院選挙で民主党の単独過半数獲得が難しくなったことが明らかになった時であった。鳩山総理はなぜ中井大臣の提案を直ちに受けとめたのだろうか? 日本人たちが嫌いな‘北韓’を叩き、票を集めてみようという発想から出たと見る人々が多い。実際こういう動きが選挙で役立つかも知れない。しかし、決して正当ではない。

朝鮮学校は北韓の財政的支援を受けているが、現在学生の半分ほどは‘大韓民国’国籍を持っている。北韓の日本人拉致問題解決手段として利用する対象ではない。民主党の高校無償化公約は、教育を社会が引き受けなければならない課題に引き上げたのだ。日本の340万高校生の中で、2000人にもならない朝鮮学校生だけを例外にするということなのか。

かつて一つの時代を変えた日本の大きな指導者たちは、そのような偏狭な手を使わなかった。政権がスタートしてようやく6ヶ月が過ぎたばかりだ。太陽がまだ中天にも上がっていないのに何をそんなに急ぐのだろうか。
チョン・ナムグ特派員 jeje@hani.co.kr

原文: https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/410249.html 訳J.S