原文入力:2010-03-09午前10:41:31(1739字)
←チョン・ソック選任論説委員
報道機関と資本のわい曲された関係を今や公論化すべき時になったようだ。資本の無差別攻勢により言論の自発的服従が内面化することによって、資本に対する言論の監視・牽制機能が無力化しているという指摘が相次いでいるためだ。このまま行けば言論は読者に敬遠され、資本は国内外消費者の巨大な不買運動に直面しかねない。
言論が資本に屈服し沈黙すれば、どんなことが起きるかは最近の‘トヨタ事態’を見ればよくわかる。国内で翻訳・出版された<トヨタの闇>はトヨタが途方もない広告費を注ぎ込み言論を口止めする実状を赤裸々に見せてくれる。トヨタの広告費に首輪をかまされている報道機関らはトヨタにとって悪い記事は自発的に縮小し脱落させた。その結果、トヨタ自動車の重大な欠陥は是正されず永らく隠蔽され結局今のような方式で一度に溢れでたということだ。広告をエサに言論にクツワをはめたトヨタは結果的に途方もない金を使いながら破滅を自ら招来した格好になった。
国内資本権力の象徴である三星は、不幸にもトヨタとあまりにも似た道を歩いている。最近出版されたキム・ヨンチョル弁護士の<三星を考える>を巡る国内言論の反応は一つの事例に過ぎない。三星は莫大な広告費を武器に、いくつかの進歩言論を除く大多数言論を事実上平定した。今更、特定記事と関連して圧力を加えたり要請をしなくとも、言論自らが三星批判記事は最初から書かなかったり縮小し、三星の機嫌を取る記事は先を争って大きくする状況に達した。日本の報道機関とトヨタの関係が韓国報道機関と三星の間でそっくり再現されているわけだ。
三星はこれまでに浴びせた広告費がいよいよ結実を見ているとし満足がっているだろうか。もしこういう状況を楽しんでいるならば、それこそが三星の最大危機だ。牽制を受けない権力は結局腐敗することになっており、終局には破滅の道を歩むことになる。目先のニンジンに目が見えない言論もそれが‘麻薬’であることを知らなければならない。先ずは三星の機嫌を取ることにより会社の経営収支は良くなるかも知れないが、そのうちに言論は信頼を失い読者はますます遠ざかる。読者のいない言論は長期的に生存し難い。今、報道機関と資本は死へ向かう甘いキスに陶酔している。
どのようにしなければならないのだろうか。三星が先に苦言を謙虚に受け入れる姿勢を示さなければならない。言論を自分の意向のままに動かそうとするのは欲ばりすぎだ。苦言の中には健全な批判だけでなく、意図を持った陰湿な攻撃性非難も少なくないだろう。だとしても、今のように批判の声自体を最初から出てこれないようにするのは三星にとってむしろ毒だ。たとえ国内言論は口止めできたとしても外国言論はどうだろうか。トヨタも日本の言論を馴致させることには成功したが、今回の事態に見るように米国の批判世論はどうしようもなかった。
言論が広告を意識せずに三星を自由に批判することを期待するのは、現在では不可能に見える。<ハンギョレ>や<京郷新聞>等、いくつかの進歩言論が損害を甘受しつつ かろうじて声を出しているものの、資本の言論掌握を制御するには力不足だ。結局、言論全体が連帯して資本牽制機能を蘇らせようとする努力を不断にしていく他はない。その過程で三星から比較的自由な大型報道機関の先導的役割が何より重要だ。それが窮極的に三星を生かし言論全体が共に暮らすという共感を広めていくだろう。
言論を手中に握ろうとする資本の貪欲と生存競争に追いやられている言論自身が大きな障害物だ。だが今のまま進めば、遠からず三星も窮地に陥り言論も拠って立つ場所を失うことが明らかなのに、どうすればよいだろうか。報道機関と資本が今とは異なる‘持続可能な共生の道’を探す真剣な悩みを始めなければならない時だ。
チョン・ソック選任論説委員 twin86@hani.co.kr
原文: https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/408783.html 訳J.S