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[コラム]「レゴランド」巻き込んだ権力闘争、そのような政治は必ず失敗する

登録:2022-10-25 02:35 修正:2022-10-25 09:26
レゴランド=パク・スヒョク記者//ハンギョレ新聞社

 第20代大統領選挙で尹錫悦(ユン・ソクヨル)候補の当選が確定した直後の3月11日付のこのコーナーに、私は「馬上で天下が治められましょうか」と題したコラムを書いた。中国の漢を建国した高祖劉邦に対する、彼の参謀の陸賈の言葉をタイトルにしたものだ。陸賈は、権力を勝ち取るために用いたやり方では国をきちんと治めることはできないと劉邦をいさめた。その言葉の通り、尹錫悦次期大統領にも、就任したら前政権と戦うよりも当面の問題に立ち向かってほしいと注文したのだ。無駄な文章になってしまった。尹大統領は依然として過去との戦いに余念がない。国民を苦しめる経済難は日増しに深刻化している。

 チュ・ギョンホ副首相兼企画財政部長官、イ・チャンヨン韓国銀行総裁、キム・ジュヒョン金融委員長、チェ・サンモク大統領室経済首席、イ・ボッキョン金融監督院長が23日の日曜日に一堂に会し、非常マクロ経済金融会議を行った。社債や短期約束手形などによる企業の資金調達市場が極度に不安定化しているためだ。

 社債市場から見てみよう。金融投資協会の集計によると、21日の社債(AA級、3年満期)の金利は年5.736%で、前日より0.148ポイントも上昇した。嵐の中心には韓国電力が発行する韓電債がある。韓電は今年に入ってから21兆8000億ウォン(約2兆2600億円)分を発行している。そのため韓電債の金利は急騰し、過去最高値を更新し続けている。韓電債は信用格付けが最上位のトリプルA(AAA)だが、3年満期の金利が21日には年5.8%台に達した。2009年の世界金融危機での4.5%を大きく上回っている。

 韓電が大規模な債権発行に乗り出したのは、今年に入って大幅な赤字が続いているにもかかわらず、政府がこれといった措置を取っていないからだ。尹錫悦政権は依然として「文在寅(ムン・ジェイン)政権の脱原発政策」を叩いてばかりだ。月城(ウォルソン)1号機ひとつ閉鎖したのが事実上全てである文在寅政権時代の脱原発が、電気料金上昇の要因だと攻撃しているから、本当の原因である燃料価格上昇を電気料金にほとんど反映できずにいるのだ。せめて韓電に迅速な資本増強などを行うべきだが、そのような措置も取っていない。そのような中で、信用が非常に高い韓電債が市中の資金をごっそり持って行ってしまったものだから、信用の低い社債は名刺も出せない状況に置かれている。

 企業手形(CP)市場で爆弾を爆発させたのは、国民の力所属のキム・ジンテ江原道知事だ。江原道はチェ・ムンスン知事時代に江原中島開発公社を通じてレゴランド開発に乗り出し、そのために調達した2050億ウォン(約212億円)の支払いを保証した。ところが6・1地方選挙で新たに当選したキム知事が、9月末に返せないと宣言してしまったのだ。資金調達のために資産流動化企業手形(ABCP)を発行した特殊目的会社は不渡りを出した。この企業手形は証券会社10社、資産運用会社1社が保有している。

 江原道の年間予算は8兆ウォン(約8280億円)台だ。そのような地方自治体が支払いえを保証し、最高の信用格付け(A1)を得た企業手形が不渡りになると考えた投資家は、ほとんどいなかっただろう。キム知事は「(レゴランド開発)事業は不透明だった」とし「不義と不公正を江原道から根絶する」と述べた。大義名分が何であれ、市場の信頼を裏切るような行動が企業手形市場を麻痺させることを全く知らなかったのだろうか。

 地方自治体が支払いを保証して信用を高めた流動化証券は、今年上半期だけで1兆3000億ウォン(約1350億円)分に達する。江原道はレゴランド開発用の2050億ウォンだけでなく、これら全ての流動化証券の信用を危機に陥れた。地方自治体が保証したものでさえ金が受け取れないリスクが高まっている中、建設会社が支払い保証した企業手形の購入を証券会社が避けるのは当然だ。金融委員会が債権市場安定ファンドを再稼動するなどの対策に乗り出したことで、キム知事は21日に「予算を編成し、遅くとも来年1月29日までには江原道が返済する」と述べた。しかし、一度崩れた信頼が回復するまでには少なからぬ時間がかかるだろう。

 権力争奪戦には長けた人々が、問題解決の政治にはそれこそ「能力なし」である場合がある。そのような人々は対立を調整して新たな協力を組織する努力ではなく、敵を名指しして全面対決することをもって政治に代えようとする。そのような政治は必ず失敗する。新自由主義理念を掲げて高所得層と企業に対する減税を推進し、英国債とポンドの価値を暴落させたリズ・トラス英首相が就任45日目にして辞任したのが、まさにそのような例だ。

//ハンギョレ新聞社

チョン・ナムグ|論説委員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/1063857.html韓国語原文入力:2022-10-23 15:45
訳D.K

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