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[社説]ICBMに加え「核実験準備」の北朝鮮、東アジアでの軍事的緊張を憂慮する

登録:2022-05-26 03:01 修正:2022-05-26 08:44
北朝鮮が軍創建を記念する4月25日の軍事パレードで登場させた新型ICBM「火星17」。25日朝、北朝鮮は同ICBMを含む3発の弾道ミサイルの発射実験を実施したと推定される/朝鮮中央通信・聯合ニュース

 韓日歴訪を通じて「対中包囲網」を強化した米国のジョー・バイデン大統領が帰国する飛行機の中にいた25日朝、北朝鮮は大陸間弾道ミサイル(ICBM)を含む3発のミサイルを発射した。前日には中国とロシアの軍用機が韓国防空識別圏(KADIZ)に進入し、武力示威を行った。韓米日と朝中ロが各分野で鋭く対立し、軍事的対峙にまで突き進むことが懸念される。

 北朝鮮は韓米のミサイル防衛網の無力化を狙ったかのように、東海(トンヘ)上に新型ICBM「火星17型」と短距離弾道ミサイルを立て続けに発射した。尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領は国家安全保障会議(NSC)を開催し、「拡大抑止の実行力の実質的な措置を履行せよ」と指示し、韓米は弾道ミサイルの実射で共同対応する一方、高官級の拡大抑止戦略協議体(EDSCG)の開催に向けた協議も開始した。

 北朝鮮による発射は、何よりも韓米首脳会談で打ち出された対北朝鮮強硬策に対する反発とみられる。今月21日の韓米首脳会談は、韓米合同演習の拡大、米軍戦略資産の展開など対北朝鮮強硬策を打ち出しただけで、北朝鮮を対話へと導く措置はまったくみられなかった。北朝鮮も「力には力」で対抗して核・ミサイル戦力の強化を続けることで、朝鮮半島の緊張は高まり続ける可能性が高い。大統領室のこの日の発表によると、北朝鮮は豊渓里(プンゲリ)の核実験場などで、7回目の核実験の準備に向けて核起爆装置の作動試験を行っている。

 北朝鮮の動きが米国主導のインド太平洋戦略に対抗する中国とロシアの動きと連動しているという点で、状況はより一層深刻だ。バイデン大統領が4泊5日の歴訪中、韓日両国との同盟を強化し、インド太平洋経済枠組み(IPEF)を正式に発足させ、クアッド(Quad)首脳会合で重層的な中国包囲網を形成したことに対し、中国は非難を強めてきた。クアッド首脳会合が行われた24日、中国がロシアとともに戦闘機を動員して行ったKADIZへの進入などの武力示威は、東アジアが軍事的対峙の新たな秩序の中へと陥りつつあるという陰鬱なシグナルだ。

 挑発に対応するとともに、緊張を管理し対話の出口を見出せるよう、政策のバランスを取ることが切実に求められている。韓米同盟にすべてをかけ、対北朝鮮強硬策と「中国牽制」の道のみを行けば、朝鮮半島の平和を守り北朝鮮核問題を解決する道は遠のく。北朝鮮は、経済難にコロナ禍までもが重なった中、核とミサイルの開発に執着することでは問題は決して解決できないということを、一日も早く悟るべきだ。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/1044392.html韓国語原文入力:2022-05-25 18:30
訳D.K

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