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[寄稿]「新階級社会・韓国」の予感

登録:2021-03-24 02:59 修正:2021-03-24 06:49

 過去にこのような時期はなかったように思う。経済は悪化しているのに首都圏の住宅価格はとどまることを知らず上がり続け、借金を重ねてでも住宅を購入できるようにしてほしいという要求が殺到している。雇用は消えるというが、財テクブームは最高潮だ。就職の絶壁の前で「失われた1年」を送ったという青年たちは、顔を合わせれば株と仮想通貨への投資の話を交わす。成金になれなかったら乞食になってしまうという考えが国中を覆っている。

 みなどうしてこのようになってしまったのだろうか。私たちが今、取り返しのつかない新たな階級社会へと足を踏み入れており、誰もがそのことを予感しているからではないだろうか。いま上層階級に入ることができなければ、子孫までもが永遠に取り残されてしまうという焦りのせいではないだろうか。

 最近のいくつかの社会的論争を振り返ってみよう。新たな階級社会を象徴する場面があちこちに見られる。

 第一に、仁川国際空港公社における正社員への転換過程だ。政府は、協力会社所属か派遣職だった労働者を本社に低い処遇で入社させ、雇用不安を軽減しようとした。しかし既存の正社員が「不公正だ」として強く反発した。公共機関への就職を準備していた就活生たちも、「割り込み」だと不満をぶちまけた。

 この論争は逆説的に、公共機関への就職がどれほど大きな特権なのかを全国民に知らしめた。実際のところ、定年が保障され、毎年昇給が保障される公共機関の正社員雇用は、毎年保障された収益率を上げる安全資産と同じだ。低成長時代が到来するわけだから、さらに光り輝く資産だ。公共機関の雇用は単なる雇用ではなく、新たな身分となったのだ。

 第二に、大学入試選考をめぐる問題。自由な活動と経験を通じた学習を奨励するとして導入された新たな入試制度は、不公正批判の対象となった。保護者や生徒たちの間では、決まった科目の勉強だけ頑張って、修能(大学修学能力試験。全国一斉に行われる大学入学試験)の点数さえ取れば大学に行けるようにしてほしいとの声が高まった。

 知識も新たな階級の境界線の要素だ。デジタルへの転換で、境界線はよりいっそう濃くなった。

 いわゆる名門大学の卒業証書は、一種の「知識資格証」となった。知識は立証できないが、卒業証書は立証できる。知識は誰もが得られるため希少性はないが、卒業証書のような資格証は希少性を国が管理してくれさえする。

 第三に、不動産投資の公正性をめぐる問題。怒りに火をつけたのはLHの職員による投機疑惑だったが、すでに不動産は皆にとって焦眉の関心事だった。どの地域が先に開発されるのか、誰が先に分譲を受けるのか、誰がどれだけ融資を受けるのか、誰がどれだけ税金をより多く払うのかについての関心が、極にまで膨張している状態だった。

 不動産の有無こそ、新たな階級の最重要の境界線となりつつある。データからもうかがい知ることができる。韓国の勤労所得の不平等は産業化以降に急速に拡大したものの、ここ数年で目立って縮小しているというのが定説だ。

 しかし、不動産と金融資産から得られる所得においては話が違ってくる。資産に起因する所得不平等はよりいっそう拡大しつつあり、資産は上位10%から1%へと、1%から0.1%へとさらに集中しつつある。このことは、かつてとは違い今はいくら能力があり、努力したとしても、働いて得られる勤労所得では上昇に限界があるということを意味する。

 このような社会においては、人々の関心が公務員試験、入試対策の私教育(塾や習い事)、不動産投資に集まるのは自然なことだ。黙々と働くだけだったり、リスクを甘受して起業したりして、他人のために奉仕するだけの人々が直面する、暗鬱な未来が目に浮かぶからだ。

 どうすればこのような方向性を変えられるだろうか。上層階級になる機会が公正に与えられればいいのか。それは疑問である。勝者と敗者との格差が広がり、勝者の割合が減る社会なら、公正なルールなど、実際は付随的なものとなる。

 「新階級社会」に向かってひた走る韓国社会の行き先を転換することこそ、最も重要な課題だ。住宅や土地から得られる不労所得、学閥による差別、公共機関の壁の内と外の格差をなくすのだ。

 人は風より先に横になり、風より先に起き上がる。世の中の流れに押し流されているように見えるが、流れが変わるという信頼が生じれば、また別の方向へとエネルギーを注ぐようになる。固い意志を持って一貫した方向の風を起こすことを、政府は政策を通じて行わねばならない。

 「結果においては正義が実現するはず」と叫んだ文在寅(ムン・ジェイン)政権の時間はまだ残っている。新たな階級が形成されないようにし、人々がそれを信じられるよう、残されたすべてのエネルギーを注がねばならない。

//ハンギョレ新聞社

イ・ウォンジェ|LAB2050代表 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/987871.html韓国語原文入力:2021-03-23 14:32
訳D.K

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