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[社説]教師の「政治的基本権の足かせ」、中途半端に解いた憲法裁判所の決定

登録:2020-04-24 05:40 修正:2020-04-24 09:20
23日午後、ソウル鍾路区の憲法裁判所で裁判官が大審判場に入場している。この日憲法裁判所は、教師の政治団体活動禁止は違憲だが政党活動禁止は合憲との判決を下した/聯合ニュース

 23日、小中高校の教師の政治団体活動を禁止した法律は違憲とした憲法裁判所の判決は、教師の政治的基本権を締め付けた足かせを一部でも解いたという点で、一歩進んだと評価する。しかし、教師の政党活動は引き続き禁止の領域に閉じ込めてしまったのは遺憾なことだ。

 国家公務員法は教師が「政党やその他の政治団体」を結成したりこれに加入することができないように定めている。憲法裁判所はこの中の「その他の政治団体」という部分が曖昧で、過度な規制により教師の政治的表現や結社の自由を侵害すると判断した。憲法裁判所は「民主主義国家において国家構成員のすべての社会的活動は『政治』と関連」しており「『政治団体』と『非政治団体』を区別できる基準も導き出すことはできない」と指摘した。それにも関わらず「政治団体」活動を禁止すれば、教師個人が享受しなければならない基本権が毀損されるということだ。

 これまでセウォル号惨事や歴史教科書国定化などの社会的な関心事に対して教師たちが意見を表明すると、政治的活動という理由で弾圧された事例が数多くある。憲法裁判所が明らかにしたとおり、「政治的中立性」は「多元的な解釈が可能な抽象的な概念」だが、これを悪用して教師個人の表現の自由を押え込んできたわけだ。教師が社会的発言と活動を行えば処罰される非正常がさらに繰り返されてはならない。

 憲法裁判所の決定文は「教員が私人の立場で政治的自由権を行使するようになれば、職務遂行においても教育の政治的中立性を毀損することになるとの論理的または経験的根拠は存在しない」とした。このような論理の流れに沿えば、教師の政党活動も許容するのが自然な結論だ。しかし憲法裁判所は「教育の中立性確保」との既存の論理に戻り、政党活動禁止を合憲と判断した。政治団体の活動禁止は違憲という一歩進んだ論理がより幅広く貫徹されるまでには至らなかった。「公務外の用事のための集団行為」禁止もやはり合憲と決定した。

 国家人権委員会は数回にわたり、教師の政治的中立義務は公職遂行領域にのみ該当することであるため、市民として遂行する政治活動まで禁止してはならないという人権原則を表明した。国連の表現の自由特別報高官や国際労働機構(ILO)などの国際社会も同じ趣旨で、韓国政府に法改正を勧告してきた。基本権の守護を役割とする憲法裁判所が、いまだに人権原則と国際基準において遅れていることが残念だ。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/941804.html韓国語原文入力:2020-04-24 02:44
訳M.S

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