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[記者手帳] がんばれ! 山本太郎

登録:2020-01-15 02:22 修正:2020-01-15 08:36

 日本のみならず、韓国でもSNSで注目を集めている日本の政治家がいる。結党9カ月の日本の新生政党「れいわ新選組」の山本太郎代表だ。「れいわ新選組」は、「令和時代(日本の年号)」を新たに導く組織という意味だ。

 党代表の山本は院外で活躍している。日本の参議院比例代表選挙は党と個人に投票してそれを合算する方式だが、山本は昨年7月の参議院選挙で全候補者全体中、最多得票を獲得。しかし候補者名簿の3位を選択したため落選した。れいわ新選組は戦略的に比例名簿1、2位を重度障害者に割り当て、彼らが当選した。選挙が終わって山本が選んだのは「街頭質疑応答」だ。ほとんどの政治家が選挙シーズンに派手な街頭演説を行ういっぽう、彼は選挙が終わってから、より本格的に人々との対話に取り組み始めた。北海道、九州、沖縄、東京、大阪、京都など全国を回った。

 これには理由がある。彼は今年46歳(1974年生まれ)。15歳の時から芸能人として生活してきた。彼の人生を変えたきっかけは2011年の東日本大震災。原発の危険性を隠ぺいする日本政府を批判しただけなのに、その後ドラマ出演が取り消され、芸能プロダクションからも追い出された。彼は芸能生活ができなくなると、原発反対運動をしながら1年半にわたって全国を回った。人々と出会い、原発問題だけでなく貧困、非正規労働者、障害者など日本の絶望的状況に目覚めはじめた。「こんな地獄が広がっているとは知らなかった。私はこのような問題に声をあげたこともなければ行動することもなかった。無関心な私がこの地獄のような世の中を作ったんだと思った」。朝日新聞の発行する月刊誌『ジャーナリズム』との最近のインタビューの内容である。彼は現場で日本の姿をありありと見て、政治の世界に足を踏み入れた。2013年の参議院選挙では東京選挙区から出馬し、当選している。

 山本は常に現場で新しい道を探った。昨年9月から12月まで行われた山本の全国ツアーの映像の中でも「涙の演説」は韓国でも有名だ。「人間の価値を生産性で語る世の中、あなたは家の役に立っているか、会社の役に立っているか、社会の役に立っているかという空気の中で、もうみんなボロボロなんですよ。1年間で2万人ぐらい人死んでいるんですよね、自殺で。死にたくなるような世の中やめたいんですよ。この国で一番えらいの誰? 皆さんなんですよ。…だったらやりましょうよ」山本は、こう言いながら子どものように涙を流した。

 人の心を打つ演説だけでなく、山本が持って歩く5万枚のスライドには労働、経済、財政、教育など、彼が取り組みたい政策が盛り込まれている。そして現場で有権者と対話しながら少しずつ修正している。私は全国ツアーの映像をしばしば見るのだが、今は山本よりも現場での反応の方が興味深い。あまり自分の意見を表に出さない日本人が、公共の場で自由に質問する姿が新鮮だ。「山本はいつも国民という単語ではなく、この国に住んでいる人たちと言うが、理由があるのか」「中学生です。今、日本の教育制度は深刻だ。教育公約を聞きたい」「日本が日米関係で自主独立という立場を取るうえで、防衛、外交はどうすれば良いと思うか」「9歳。地球温暖化は人間がコントロールできないほどの臨界点に達しているようだ。どうすればいいか」。彼らは山本と新しい日本を語っていた。

 日本社会が変われば、韓日間の歴史問題も未来志向的に解決できるのではないか。日本社会が強制動員、慰安婦被害を国益ではなく人類の普遍的な人権問題と見るようになるというは夢に過ぎないのだろうか? 山本に質問する日本人を見ると小さな希望がわく。まだ日本社会には山本の政治を「ショー」と見る人が多い。しかし、このような「ショー」なら、続けても悪くはないと思う。応援する。頑張れ! 山本太郎!

//ハンギョレ新聞社

キム・ソヨン統一外交チーム記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/924422.html韓国語原文入力:2020-01-14 18:10
訳D.K