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[社説]ろうそくデモから3年、最高裁が“政経癒着”を断罪

登録:2019-08-30 07:40 修正:2019-08-30 09:08
朴槿恵前大統領、イ・ジェヨン副会長、チェ・スンシル氏の原審差し戻し
経営権継承、不正請託、馬の賄賂性認定
政治報復論・経営危機論はもう止めるべき
29日午後、ソウル瑞草区の最高裁(大法院)で開かれた朴槿恵前大統領、チェ・スンシル氏、イ・ジェヨンサムスン電子副会長が関与した「国政壟断」事件上告審で、キム・ミョンス最高裁長官が判決を下して//ハンギョレ新聞社

 朴槿恵(パク・クネ)前大統領とサムスン電子のイ・ジェヨン副会長、チェ・スンシル氏に対する上告審で、韓国最高裁(大法院)が政経癒着を審判した。最高裁の全体合議体は29日、彼らの原審をそれぞれ一部差し戻し、争点になっていた経営権継承のための不正な請託があったと判断した。ろうそくデモから3年を経て国政壟断自体を否定しようとする動きが強まる中で、最高裁が「大韓民国で最大の政治権力と経済権力」の癒着の違法性を明確にしたという点で意味が大きい。

 賄賂授受と供与関係に絡んだ朴前大統領とチェ氏、イ副会長の疑惑はコインの両面だが、これまで下級審の判断は大きく交錯していた。朴前大統領、チェ氏の二審裁判は、包括的懸案として「経営権継承作業が存在した」と認め、不正な請託の対象と判断した。個別懸案についても「黙示的請託」が認められるとした。一方、イ副会長の二審裁判では、サムスン物産・第一毛織の合併でイ副会長に有利な影響を及ぼす効果があったことは認めながらも、これを全て有罪とは見ず、“有銭無罪”(金持ち優遇)判決という批判を受けていた。

 この日、最高裁は「不正な請託は黙示的な意志表示でも可能であり、請託の対象である職務行為の内容が具体的である必要もない」とし、サムスンの韓国冬季スポーツ英才センターに対する支援金を大統領職務との見返り関係がある賄賂(第三者贈収賄罪)と判断した。見返りを望む賄賂供与事件ではなく最高政治権力者による強迫事件とみた二審裁判に重大な誤りがあったことを明確にしたのだ。

 サムスン側が所有権を渡さなかったため賄賂から外された馬3頭に対しても、最高裁はイ副会長の二審判決を覆した。たとえ所有権がサムスンにあっても、実質的な使用・処分権限がチェ氏にあることに両側の意志の合意があったと見られるため、馬の購入代金を賄賂とみるべきだという趣旨だ。

 これによって、朴前大統領は賄賂疑惑と異なる公訴事実を合わせて量刑を判決したのが違法だという法理的な理由で、イ副会長はチェ氏側に渡した賄賂額と横領額が二審の時よりも増えるという理由などで、二審裁判を再び受けることになった。イ副会長は冬季スポーツ英才センターへの16億ウォンと馬への34億ウォンが全て賄賂と認定され、賄賂供与額が50億ウォンを越えることになり、再び執行猶予を受けることは難しくなった。朴前大統領もまた、賄賂疑惑に対する分離宣告がなされた場合、量刑がさらに重くなる可能性が高い。

 事必帰正(すべての過ちは必ず正しい道理に帰する)だ。何の懸案もないのに大統領が強迫したので数十億ウォンをそのまま渡したというイ副会長側の主張や二審裁判所の論理は、誰か見ても常識に外れたものだった。第一毛織とサムスン物産の合併成功は大統領府の民情・政策企画首席室や公正取引委、国民年金公団などの政府機関が総動員されたようなものだ。現在捜査が進行中であるサムソン・バイオロジクス事件でも、サムスンがイ副会長に有利な「第一毛織の価値を膨らませる」ために粉飾決済をはじめとする違法行為を行ったことは一つひとつ明らかになっている。それでもイ副会長側は違法を認めることどころか「自分は知らなかった」と言い張り、朴前大統領やチェ氏は「政治的報復」という主張ばかり繰り返してきた。

 イ副会長とサムスン側はこれまで、国民の血と汗が込められた国民年金基金が被った損害についてまともに謝ったこともない。そうしておいてこの日「今後私たちは過去の過ちを繰り返さないよう企業本来の役割を忠実に果たす」とあいまいに謝り、「ますます不確実性が高まる経済環境の中で、サムスンが危機を克服し国家経済に尽くせるよう多くの助けと声援をお願いする」という立場を示したことは不適切に思える。景気低迷や韓日貿易戦争のような状況の中で、また伝家の宝刀のように「経営危機論」を持ち出す考えはしないよう望む。

 かつて選挙で選出された最高指導者であった朴前大統領が、引き続き裁判を拒否するのもまた見苦しい。国民の前で謝罪しても足りないのに「政治報復主張」を持ち出し、保守勢力が赦免を要求するのは、1600万のろうそくデモの市民に対する欺瞞であり裏切りである。これ以上歴史を逆戻りさせてはいけない。それが過去3年の教訓だ。再び進められる二審で厳正な判決が下されるように願う。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/907727.html韓国語原文入力:2019-08-29 18:57
訳T.W

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