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[パク・ノジャ コラム] 貧困の時代

原文入力:2009-08-17午後09:34:56
←パク・ノジャ ノルウェー,オスロ国立大教授・韓国学

韓国の支配者らが“先進化”を持ち出す度に、北韓の支配者らが語る“強盛大国”を思い出す。北韓のような東北アジアの最貧国が“強盛大国”を語るというのは欺瞞的プロパガンダに過ぎないが、韓国保守主義者らの“先進化”もこれと違うことがない。“先進化”に対するバラ色の話の中で、多くの韓国人たちは貧困と不安のドロ沼に順次陥る。もちろん平均世帯の月間所得の半分も稼げない絶対貧困層はまだ11%を越えず、低所得層は約26%,赤字世帯は29%程度だけだと言う。しかし、貧困化の傾向はきっと“最下層” 25~30%の韓国人だけの問題と見るのは誤った判断だ。

1ヶ月に200万~250万ウォン程度の“悪くない所得”を上げ、貧困統計に捕えられない名目上の中産層にしても、いつ切られるかも知れない非正規職や企業型マートとの競争で押しやられている町内の商店主人である可能性はより一層高まっている。雇用不安が深刻化され双龍自動車解雇者に対する残酷な弾圧で新たな“構造調整”キャンペーンに青信号が点り、市場では大企業の独占化傾向で零細業者の連続倒産が続く中で、高成長時代の中産層は順次的に新興貧困層に再編されて行く。所得基準で見てまだ国内世帯の58%程度が中産層というが、今のまま中産層の比重が毎年約1%ずつ減っていくならば、15~20年後の韓国は“先進国”どころかブラジルのような貧困層と準貧困層が多数を占める南米型社会になるだろう。今日の専任教授の子供が研究教授職を転々とする生涯博士級非正規職となり、今日の正規職工場労働者の子供が生涯各種臨時職と契約職以上にはなりえない“永久的アルバイト生”になる確率が高いというのが現在の大韓民国だ。

1970年代中盤以前まで多数の絶対貧困の象徴が春窮期だとすれば、低成長時代の多数の相対貧困層の象徴は赤字通帳と現代版高利貸である貸付業者の“ローン”、そして押しよせる各種社会的保険料と未来に対する絶え間のない不安,ストレス,自殺衝動などだろう。「自分がいつ切られるだろうか」,「自分たちが老いればどうやって暮らさなければならないだろうか」,「ローン状況が急迫してきたがチンピラたちが私たちの家族を脅かさないだろうか」と、いつも恐れに震える人々が出産をする意欲より自殺をしてしまう衝動をはるかに強く感じるならば、世界最低の出産率と世界最大の自殺率は今後も“一流国家大韓民国”の商標として残り続けるだろう。もちろん全体の個人保有株式の73%を所有しているこの国の“上位1%”や全体不動産の78%を持っている“上位10%”は永遠の不安の生き地獄を体験することはないだろう。これらの大事な子供たちは幼稚園の頃には米国だろうが中国だろうが“高い国”に渡って行き“オレンジ”の現地発音を習わないならば、自社高など国内“貴族学校”を卒業し授業料が2000万~3000万ウォンにもなる首都圏の“最高名門大”に通うだろう。新しい“貴族”と“平民”,“賎民”らの居住地域と生活コース,食べ物と文化などが徹底して差別化され、彼らの子供たちは互いに接する機会すら多くないだろう。

私たちが少しずつ、一歩一歩、団結力のある“国民”も“階級”もなく、破片化された個人たちと固着された身分、永久化された不安だけがある社会になって行くということを、その犠牲者となる多数の韓国人は果たして分かっているのか? でなければ土建と輸出が全てを解決することだとまだ信じているのか? この信頼がどれほど純真だったのか、近い未来が私たちにまもなく見せるだろう。

パク・ノジャ ノルウェー,オスロ国立大教授・韓国学

原文: https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/371720.html 訳J.S