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[コラム]「中国版太陽政策」の終末を眺めながら

登録:2017-03-16 22:58 修正:2017-03-17 05:47
中国発クルーズ船の済州寄港が全面中断される直前の15日、最後に済州を訪れたクルーズ船から下りた中国人観光客がショッピングを終えクルーズ船に戻っている=ホ・ホジュン記者//ハンギョレ新聞社

 最近4~5年、習近平時代の中国が韓国に対した態度は「中国版太陽政策」ではないだろうか。国際社会からG2接待を受け自らの力を確認した中国が、韓国にあれこれくれたり、なだめすかしながら、決まって笑顔で「ここまでおいで」といいながら精一杯に引き寄せてみた時期ではないか。

 5年前、北京の韓中修交20周年行事に次期執権者に内定した習近平が“飛び入り”参加したことを筆頭に驚くことが多かった。ソウルと済州(チェジュ)には多くの中国人観光客が増えた。中国では韓国映画やドラマが熱い人気を集め、韓国、韓国人、韓国企業に対する好感度が急上昇した。

 だが、韓国がTHAAD(高高度防衛ミサイル)配備を決めたことは、中国版太陽政策の失敗であった。限界を痛感したのだろう。その間、ダメだ、嫌だ、やるなと口がすっぱくなるほど叫んだのに、このままでは中国としても体面が立たない。今年の修交25周年行事は最高級招請どころか、開催すら危ういのではないだろうか? 「遊客ブーム」も、中国での韓流ブームも間もなく遠い過去の話になりそうだ。

 太陽政策が失敗すると北風政策に変わるのは珍しいことではない。韓国が中国貿易で金を稼ぎ、中国を脅かす武器を持ってくるという中国保守の論理は、北朝鮮が南北経済協力で金を稼いで韓国を威嚇する武器を買っていると非難した韓国保守と極めて似ている。ただし、交易規模だけ問い詰めても当時の北朝鮮の韓国依存度よりは、今日の韓国の中国依存度が高いだろう。それだけ衝撃も痛みも大きいだろう。

 今度は私たちが一発やられる番だ。不当であっても仕方がない。将来はさておいても、この段階を終えるためには一発はやられるしかない。それでこそ再び始めることができる。もうやられた? 痛い? そうだ。特に韓国の中国関連産業従事者、中国国内に住む数十万の韓国人同胞(韓人会の推算で80万人、政府資料基準では37万人)、揃って打撃が大きい。また、2012年の大規模反日デモのような状況が起きるのではと不安だ。

 ところで何かおかしい。近ごろ韓国の一部では、まったく痛くないかのように、中国依存度を低めて「市場多角化」を図れば良いという声が聞こえる。中国は必要ない、インドに行こう、東南アジアに行こうなどと得意げに言う。「安保多角化」は夢にも考えない人々が、こうした話は本当に気軽にする。中国事業が事理判断が足りない決定だったか?“彼ら”もついこの前まで中国が浮上するとして背中を押していなかったか? 自分たちは別に問題ないからと彼らは安閑としているのか、韓国に一発食らわせないといけないという中国内の情緒も静まる気配が見えない。

 2012年に攻撃対象だった日本製自動車の所有者や日本食堂の主人は「釣魚島(日本名尖閣諸島)は中国領土」というスローガンを掲げて興奮した中国人デモ隊の“慈悲”を訴えた。一部の日本人は韓国人であるかのように身分を隠したりもしたという。もしかしたら中国に住む、または中国を行き来する韓国人も腹案を用意するかも知れない。名刺に「THAAD反対」と刷り込むか? 危なくなれば、韓国不買運動の動画のように「毛主席万歳」と言おうか? いや、この頃の流行に合わせて「習近平主席万歳」と叫ぼうか? 中国人とTHAADを巡る争いが起これば、全部朴槿恵(パク・クネ)のせいだと、だから追い出したんだと言えば、ひょっとして彼らの気持ちも少しはやわらぎはしないだろうか?

キム・ウェヒョン北京特派員//ハンギョレ新聞社

 天に唾する行為になるかも知れないが、それもみな誰も準備していなかった不安感のためだ。北京の韓国大使館首脳部も「多角化」に言及しているのを見れば何も言えない。北風をそっくり個人に耐えてみろということならば、私たちはそれぞれどうにかして生き残り、良い時期がまた来ることを祈るしかない。おおげさな態度だと非難されようが、痛い痛いと言いながら、少しでもやわらぐことを祈る以外に。

キム・ウェヒョン北京特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/china/786822.html 韓国語原文入力:2017-03-16 18:35
訳J.S(1789字)

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