原文入力:2012/04/06 11:29(2045字)
←クォン・ジェジン法務部長官(右側)が4月3日午前、大統領府で閣僚会議が始まるのを待っている前を李明博大統領が通り過ぎるところ。 大統領府カメラマン団
40年前の米国と比較される韓国の与党・検察・言論
ウォーターゲートは紳士的
バージニアでルーズベルト橋を渡ってワシントンに入るたびに左側に見えるポトマック川辺のウォーターゲート ビルディングを眺めることになる。 政治権力と結びついた不正事件に“ゲート”という単語がつくことになった出発点だ。
2010~12年の韓国の民間人査察と1972~74年の米国の“ウォーターゲート事件”は40年の時差を置いているけれども、よくも似ているものだ。 設置した盗聴器が作動せず再び設置しに行って警備員に捕まった工作員。キム・ジョンイク KBハンマウム代表が個人ブログに大統領風刺動画を載せるやいなや総理室が警察に告発して逆に“査察”していたことを自ら告白した粗雑さからして似ていた。 次いで、「ホワイトハウスは知らなかった」「大統領は知らなかった」(米国ウォーターゲート)と、「大統領府が自ら調査したが何の問題もなかった」(韓国民間人査察)という嘘。さらに、証拠隠蔽と事件懐柔用札束、ホワイトハウスと大統領府発の出所不明の巨額金銭が飛び出してくる。続いて捜査妨害。リチャード・ニクソン大統領は中央情報局(CIA)を動員して連邦捜査局(FBI)の捜査を妨害しようとした。 韓国検察は2年前に事件関係者の大部分を無嫌疑処理した。 元から無能だったのか、無能になることを指示されたのかはまだ分からない。 そうこうするうちに、内部からの良心宣言(マーク フェルト連邦捜査局副局長とチャン・ジンス主務官)により再点火された。
同じなのはここまでだ。 ウォーターゲート事件は共和党行政府が民主党を盗聴しようとした政界内部のことで、民間人査察とは次元が違う。 ウォーターゲートは“未遂”に終わったが、李明博政府の民間人査察は任務を“完遂”した。 事件が発覚するや、米国史上“道徳的に最も指弾を受ける”ニクソン行政府は「民主党政府も盗聴した」といったホワイトハウス発表などはしなかった (盗聴は当時、米政界で少なからず行なわれていたし、民主党政府も盗聴問題から自由ではなかった)。 一方、韓国史上“道徳的に最も完ぺきな”李明博政府は、これ以上避けようのない証拠が出てくるや、その翌日に「盧武鉉政府も査察した」として、警察の“監察”資料を“査察”と混ぜてごった煮を作り上げた。 そうして「うまく対応した」と自評しているというのだから、全く何とも言いようがない。
ウォーターゲート事件は泥棒が起訴されるのに3ヶ月かかった。 司法府も執拗だった。 連邦裁判所判事は泥棒に30年の刑を宣告した。 事件の進行とともにホワイトハウス関係者たちの良心宣言が相次ぐが、米国人の良心が韓国人より格別にしなやかだった訳ではない。 李明博政府の検察は2年が経過し証拠物が一つずつ出てくるたびに、やむをえずゴソゴソ動いて見せ、今頃になって“死即生”とか言っている。それを言う時、気恥ずかしくなかったのだろうか? 共和党は行政府の不道徳が露になるや、ホワイトハウスに背を向けた。 連邦下院の大統領弾劾訴追案は412対3で承認された。 韓国与党は何が飛び出すか分からない。 パク・クネ セヌリ党非常対策委員長は「私も被害者」だと言う。 大統領府の発表と似ている。 自分のことしか考えていないように見える。 民主統合党がパク委員長に「査察の責任を負え」と言うのはちょっとピンと来ない。私でもそうなのだから本人はさぞかしそうだろう。 だが、与党指導者ならば、次期大統領選挙候補者ならば、「私はこの事実を知らなかったが、与党として共に責任を負います。 申し訳ありません」と頭を下げる方が選挙戦略としてもむしろマシでないだろうか?
←クォン・テホ ワシントン特派員
また、ウォーターゲート事件は<ワシントン ポスト>の特ダネだったが、以後<ニューヨーク タイムズ>、<ロサンゼルス タイムズ>等、他の言論も先を争って駆けつけ、ニクソン行政府が降参するほかなかった。 韓国言論はまずは、喧嘩両成敗式焦点ぼかし、それから「ネガティブ選挙はもうやめて、政策選挙を」と言う。 李明博政府はいいねえ。40年前の米国では共和党支持者も怒った。韓国では与党支持者は“結集”するという。いいねえ、MBは。
ウォーターゲート事件は選挙後にも、検察と言論の追跡が続いた。 韓国が40年前の米国よりはマシでなければならないのだが・・・。
クォン・テホ ワシントン特派員 ho@hani.co.kr
原文: https://www.hani.co.kr/arti/SERIES/225/526952.html 訳A.K