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[社説]安哲秀財団、新しい寄付文化の転機に

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/517704.html記事登録:2012/02/06 19:05
 安哲秀(アンチョル・ス)ソウル大の融合科学技術大学院院長が昨日、自分が所有するアン・チョルス研究所の持ち株の半分を提供した公益財団の素案を明らかにした。ITを基盤に水平的な分配を通じて社会的な機会の格差を減らすことをつくすということだ。  安院長は "分配は多くを持つ人が少しか持たない人に恩恵を施すのではなく、社会から受けた利益を再び戻す水平的な概念でなければならない"として、雇用の創出、教育支援、世代間の人材奉仕を重点的に推進するという。
 安院長は昨年、安哲秀研究所の持ち株を提供するとして、我々の社会の基幹的な問題は価値の混乱と資源の偏重した配分であり、その根本には教育が位置していると明らかにした。公益財団が新しい寄付文化により、いっそう多くの参加と意味のある変化をわき起こすことを望む。公益財団に政治的な解釈を付け加える人々もいるが、寄付自体だけでも何より十分に意味があって貴重なことだ。安院長は自分で語った通り、社会の肯定的な発展のためにどのような役割を果たせばいいか限りなく悩んできた人であるだけに、その延長線上で判断すればいい。
 インターネットやソーシャルネットワークを通じて寄付者が受恵者のさまざまな要求を把握して、受恵者も寄付に能動的に参加して、時間と場所に制限されることなく選択的に寄付が行われるようにするという特徴もある。実際に外国のキーバーやコジスなどは、ソーシャルネットワーク技術を社会活動に組み合わせて、100年以上活動した団体を超える成果をあげているというから期待できよう。安院長が財団設立と寄付により、本人の役割は限定して多様な分野の人々で構成された理事会が財団を運営するといった点も新鮮だ。財団側の計画の通り公益法人から始めて、誠実な公益法人として基盤固めができれば、所得の80%以上を直接公益な目的に使い、寄付金の運用の透明性と独立性が保障されるだろう。
 最近になって我々の社会でも寄付文化が広がっている。しかしギャラップの2010年の世界の寄付の調査によると、153ヶ国中で81位の経済規模に比べて、非常に低い数値だった。しかも我が国の個人寄付者のイメージは、市場で長年もやしを売って集めたお金を寄付するお年寄りのような感じだ。財閥の会長らの私財の寄付は社会的な物議をかもしたことによる免罪符の道具にすぎなかったし、巨額の寄付は企業のお金でなされる場合が多かった。今や富裕層が新しい寄付文化の創造にもっと積極的にならなければならない。そのためには寄付をうがった見方をしない成熟した雰囲気も必要だ。
原文: 訳T.W