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[社説]思慮深い対応が必要な米軍事戦略の変化

原文入力:2012/01/06 19:06(1023字)
数日前に発表された米国の新しい軍事戦略の柱は縮小とアジア重視だ。中でも縮小を特に強調している。 史上初めて大統領が直接、国防部に出向いて発表したことから、縮小にともなう軍内部の反発と軍事超大国の地位喪失を心配する世論を意識した対応だ。大統領選挙を控えて強い米国を呼びかける共和党の鷹派に批難材料も与えられない状況でもあった。しかし今後10年間、少なくとも4500億ドルの国防費を削らねばならず、与野党の合意でさらに5000億ドルを減らさねばならなくなりかねない状況で、軍事力の縮小はやむを得ない選択だ。それでも米国はしばらくは圧倒的な軍事強国の地位を維持するだろう。しかし、経済力の衰退が予想される中で軍事力の相対的な弱化は避けられない長期的な傾向としてみるべきだ。これは20余年前の冷戦崩壊の衝撃も免れた東北アジア軍事・安保の枠組みが、第2次大戦後初めて構造変化を始める意味深い兆候でありえる。我々にとっては毒にも薬にもなりうる。既成観念に捕われずに状況の変化を大きい視野で見抜く知恵が必要だ。
 まず中東からアジアへの米国の軍事戦略機軸の移動がアジアに対する米国の軍事費投入の増加を意味するわけではない点を注目しなければならない。現在の米国にはそのような余力はない。米国は違うというが、駐韓・駐日米軍の縮小の可能性まで念頭に置くべきものだ。ならば、このような現実と対アジア軍事戦略強化という目標の格差をいかに穴埋めするのだろうか。アジア重視が中東など他の地域の比重の縮小にともなう相対的な増大だけを意味するのではないなら、米国は同盟国である韓国や日本にその格差を穴埋めするように求める可能性が高い。米国はすでに駐韓米軍の駐留費の韓国分担率を50%に上げてほしいと要求している。
  もちろん米国の軍事戦略の変化による安全保障のほころびを放置してはならないが、過度の負担増大を心配しないわけにはいかない状況だ。そのうえ中国を標的にしたアジア重視が東アジアの軍備競争を触発して私たちがその第一線に立つ事態を招くこともありえる。その場合、私たちは分断の固定化の中で対北朝鮮および対外戦略の両面で、費用と危険負担をさらに抱え込んで、にっちもさっちもいかない状況になる。米国の戦略にあたふたと追従するのはやめて、包括的な南北および韓中関係などの変化を通じて安保を確認しながらも対決よりは共生を模索する発想の転換が必要だ。
原文:https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/513719.html 訳:T.W