原文入力:2011/08/10 21:57(1990字)
イ・ジョンエ記者
英国を覆う暴動
財政赤字で福祉縮小…16~24才 20%が働き口なく
"失うものがない" 略奪・放火…警察鎮圧 事態悪化させることも
←英国、ロンドンの西部イルリン地域で9日(現地時間)店員が暴動でつぶれた美容室のガラス窓の向こう側で携帯電話で話をしている。 ロンドン/APニューシス
「政府は今、自分たちが私たちに何を犯しているのかを悟れずにいます。これでは暴動が起きるでしょう!」
英国の騒擾事態が起きるちょうど一週間前の先月31日(現地時間)、英国<ガーディアン>のホームページに上がってきた動画である青年が言った言葉だ。政府の予算縮小計画によりロンドン ヘリンゲイ区議会が地域の青少年センター13ヶ所中8ヶ所の門を閉めた後、放課後に行く所がなくなった子供たちがギャング団に加入し犯罪を犯すことが頻繁になっているという話をしている間に出てきた言葉だ。
29才の青年マーク ダッガンが警察の銃撃により命を失ったことを契機に始まった騒乱が10日(現地時間)まで5日間続くなかで、英国言論は市民を一瞬にして‘暴徒’にした原因が何かを自問している。
犯罪学者ジョン ピツ教授は9日<BBC>放送のインタビューで略奪などの逸脱行為に参加した人々の多数は単純に(雰囲気に)巻きこまれたと指摘した。彼は「(略奪行為を通じて)無力な人々は突然に影響力を持ったように感じることになり、そういう気持ちに陶酔したのだろう」と説明した。特に若者たちが多い理由について暴動が学校が休みの週末に起きたためだと話した。
だが、怒った若者たちの動きを単純な群衆心理だけで片付けてはならないという指摘も出ている。 誰も関心を傾けなかっただけで、動画の中の青年の警告のようにすでに予告されていたということだ。英国でも、隣のギリシャ・スペイン・ポルトガルのように失業率の上昇と緊縮政策による社会福祉サービス縮小により若者たちの不満が爆発直前であったという説明だ。英国の若者たちは昨年11月、政府の大学授業料3倍引上げ案発表の時も一ヶ月間にわたり街頭に出て不満を爆発させた。
英国統計庁の発表によれば、16~24才の失業者数は91万7000人に及ぶことが明らかになった。この年代の若者の20%が仕方なく遊んでいるという話だ。今回の暴動の出発点になったトッテナムが含まれるロンドン ヘリンゲイ区議会は、その渦中に今年の予算を75%も縮小した。若者たちは‘社会から捨てられた’という疎外感に苦しめられている。
ロンドン政経大博士課程のある学生は「(暴動に乗り出した)若者たちが、誰も自分たちに関心を持っていないと感じている」と<アルジャジーラ>放送に語った。こういう指摘は16才の時に学校を卒業して以来、ずっと失業者だというトッテナム居住者ジェイスン(26)の話でも確認できる。彼は<ロイター>通信に「私の友人は全て私のように失業者であり、それで行く所がない。こういう状況から抜け出そうとすれば助けが必要だが、誰も助けてくれる人はいない。集まっていればギャング団の取り扱いを受け、散れば何か怪しいことを準備しているという疑いだけを受ける」と悔しさを爆発させた。
失うもののない怒れる若者たちは、略奪と放火など非行を犯しながら一種のカタルシスを感じていると<ロイター>通信は伝えた。肯定的変化を要求する中東の民主化デモとは異なり、暴力的行為を通じて今まで我慢してきた話でもすっきり言ってみようという虚無主義的指向が見えるということだ。トッテナムのある若者は<NBC>放送のインタビューで「二ヶ月前にロンドン警察庁に2000人を越える黒人が集まって平和デモを行ったが、言論はただの一行も報道しなかった」として「暴動でも起きたからこそ、あなた(記者)が私の話を聞くのではないか」と話した。
英国政府と警察は彼らの不満を把握するのに先立ち、暴動加担者の顔写真を公開し‘厳しい処断’を意気込んでいるだけだ。市民団体‘オキュパイド ロンドン’の活動家クララは「毎日 警察に苦しめられた人々はもはや警察を恐れはしない」として「(厳しい処断が)事態を沈静させるのか、あるいは一層悪化させるかもわからない」と話した。ロンドンのコンサルティング業者AKEのヨーロッパ専門家ルイスタガットも「万一、当局が暴動の背景にある問題を解決しないならば、本当により大きな危機を迎えることになるだろう」と話した。 イ・ジョンエ記者 hongbyul@hani.co.kr
原文: https://www.hani.co.kr/arti/international/europe/491268.html 訳J.S