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米国 デフォルト事態に陥れば公務員・軍人の給与が途切れ金利も上昇

原文入力:2011/07/31 21:22(1411字)
イ・ポニョン記者

世界経済での地位が揺れ‘ドル覇権’墜落に加速度
2008年型‘信用収縮’再現の可能性…実物経済にも打撃

米国をデフォルト(債務不履行)状態に陥れるなという世論の圧迫にもかかわらず、民主・共和両党の‘チキンゲーム’が破局直前まできた。<ニューヨーク タイムズ>が30日、記事のタイトルで「米国人はワシントンが狂ったと言っている」とまでしたことは、負債限度増額交渉を眺める心がどれほど急迫し絶望的かを雄弁に語っている。

米国が経験したことのないデフォルトは多方面に副作用を及ぼすことが確実だ。 まず相当部分を借入金で解決している公務員・軍人給与、社会保障給与などが途切れたり縮小される恐れがある。政府事業の中断は米国人らに直接的苦痛を与えることはないが、月給が途切れるということは深刻な問題だ。米国債が最高信用度を意味するトリプルA(AAA)等級から降格されれば現在10年満期債権基準で2%台の国債収益率は上昇することが明らかだ。それはさらに多額の利子を支払わなければ資金調達できないということであり、借入依存度が高い米国の国家財政は一層苦しくなる。米国政府は年間利子だけで2500億ドル(約263兆ウォン)を支払っている。また、国債収益率が上昇すれば住宅担保貸出、自動車分割払い、学資金貸出など、その他の金利にも上昇圧力を加えることになる。

世界経済での米国の地位も挑戦を受けることになる。信用度面で鉄壁を誇った米国国債の‘神話’が崩れるということは米国国債やドルの魅力を落とすと予想される。 現在の米国国債の半分程度は外国が保有しているが、安全性に問題のある資産には以前のように投資家が集まらないだろう。そこでドルの価値はさらに下落し‘ドル覇権’の墜落に加速度がつく展望だ。

こういう大小の問題を別にして、経済専門家たちが最も懸念する点は信用収縮の再発可能性だ。不安定化した経済主体たちが債権回収に熱を上げ貸出を引き締める現象がドミノのように続けば、2008年のリーマンブラザーズ破産時のような信用収縮につながるということだ。 ウォールストリートの12金融会社の最高経営者が先週バラク・オバマ大統領に共同書簡を送り "深刻な憂慮" を伝えたのもこういう記憶のためだ。

米国中心に戻った世界金融市場にも自然に暗雲が立ち込めるものと見られる。 米国政府が債権の元金や利子を適時に支給できなければ、信用等級を‘選択的デフォルト’へ降格すると警告した信用評価会社S&Pは 「一旦‘選択的デフォルト’状況に陥れば、各国中央銀行が金融システムを継続的に機能させても世界金融市場は全般的に大きな打撃を受けるだろう」と主張した。こういう信用梗塞はまもなく需要減少と企業活動の萎縮につながり実物経済にも悪影響を与えかねないというのが相当数の専門家たちの予想だ。2次世界大戦後140回も債務限度を増やしてきた米国議会が今回は泥仕合で時間を浪費していることに米国だけでなく世界が不安感を感じざるを得ない所以だ。 イ・ポニョン記者 ebon@hani.co.kr

原文: https://www.hani.co.kr/arti/international/america/489834.html 訳J.S