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引退するルーラ大統領、支持率80%なのに…

原文入力:2010-09-16午前09:00:52(1759字)
南米独立200年-新しいリーダーシップを求めて
①ブラジル‘ルーラ’に学べ
独裁・腐敗の歴史清算し、分配-成長 二兎を捉え…野党大統領選候補も後継自任

イ・ポニョン記者

 "歴史的人物ルーラとセハ、経験ある二人の指導者。"
大統領選挙を1ヶ月余後に控えたブラジルのテレビ政治広告ナレーションだ。この広告の主人公は他でもない野党社会民主党のジョゼ・セハ大統領候補だ。野党候補の選挙キャンペーンに執権与党大統領が堂々と登場したのだ。セハ候補は最初からルイス・イナシオ・ルーラ・ダ・シルヴァ大統領に対する攻撃を断念し、彼と親しく対話する姿をリリースしている。大統領選挙と総選挙を同時に行う今回の選挙ポスターに最も多く登場する人物はやはりルーラだ。ルーラ大統領は過去5回選挙に出たが、今回は3選禁止に縛られ出馬しない。

 

来月3日に予定された大統領選挙を一ヶ月後に控えた今月初め、ブラジル2大都市サンパウロとリオデジャネイロでは選挙熱気が高まっていた。しかし候補の面々と公約に対する関心は後まわしで、退任4ヶ月余りを残した現職大統領の人気が選挙の雰囲気を支配する珍しい現象が広がっていた。8年の任期を終え退場する大統領の支持率80%が作り出した状況だ。

野党候補さえ現大統領の政策継承を掲げることほどルーラの成功を代弁する風景もない。セハ候補は「私がルーラの政策を続ける適任者」として支持率引き上げにありったけの力をふりしぼっている。彼の支持率は与党労働者党のジウマ ホセプ大統領候補の半分程度まで落ちた。誰も彼もがルーラ引き込みに集中する中で、日刊<イスタードゥ ジ サンパウロ>が見るに見かねて「与党候補がそうするのはサーカス水準のショー」と非難するほどだ。一部与党総選挙候補らは自身よりルーラ大統領の顔をより大きく目立たせるポスターを掲げている。

ルーラ大統領の輝かしい成功は、ブラジルという一国家を越え指導者の独裁と腐敗、亡命など否定的遺産で汚された南米政治史を新しく書いたという点で大きく注目されている。彼の人気を‘神聖不可侵’水準にした要因は、堅実な経済成長と貧困解消、そして国家地位高揚などに要約される。1994,98年の大統領選挙でルーラ大統領に続けて勝ったペルナンドゥ エニク カルドジュ前大統領でさえ 「ルーラがまた出るならば誰も彼を敗北させることはできない」と話す。世界8位に浮上したブラジルの国内総生産(GDP)は今年7%を超えて成長すると予想される。ルーラ大統領執権期の2003~2008年に貧困層は43%減り、人口1億9000万人余りの中で、貧困層に属していた3200万人が‘新中産層’に合流した。執権初年度に12.3%だった失業率は6%台に下がった。

数値だけでなく経済の弾力と健全性も大きく改善された。ブラジルも昨年の景気低迷(-0.18%成長)を体験したが、主要国の中で一番最初に沈滞の陰を抜け出した。世界経済が沈滞に陥ればブラジルは「最も遅く陥り、最も早く抜け出す」というルーラ大統領の予言が実現されたのだ。周辺国と共に債務国の代名詞だったブラジルは、昨年国際通貨基金(IMF)に資金を出す債権国に変貌した。南米経済を亡ぼす疫病とも言われたインフレーションの恐怖から解放されたのもルーラ大統領が稼いだ部分だ。

国連安全保障理事会常任理事国の地位確保を推進し、イラン核問題の仲裁に積極的にでるなど米国をはじめとする強大国らと対等な列に立とうとする国際政治舞台での歩みもやはりブラジル人たちに深い印象を与えた。

マリア エルミニア タバリス ジアウメイダ サンパウロ大国際関係研究所長は 「執権労働者党が大統領選挙で勝てば、それはルーラの個人的勝利に他ならない」として「彼は庶民の暮らしを確実に改善する政治を必要とする世界的流れに乗った政治家」と評価した。

サンパウロ、リオデジャネイロ/イ・ポニョン記者 ebon@hani.co.kr

原文: https://www.hani.co.kr/arti/international/america/439978.html 訳J.S