イラン国会傘下の研究所が、ホルムズ海峡の管理権を掌握し、海峡を通過するすべての石油を買い取り、倍の価格で売るという提案を提示した。実現の可能性は低いものの、イランは海峡の管理権確保を既成事実化しつつ、さまざまな活用策を検討しているとみられる。
27日(現地時間)のイランの準国営「タスニム通信」の報道によると、イラン国会研究センターは「ホルムズ海峡主権行使戦略の提案」と題する報告書で、4つの方策を提示した。
1つ目は、ホルムズ海峡の既存の航路の運航を厳格に禁止し、イランのララク島の北を通る航路を唯一の航路に指定すべきだというもの。報告書は、この計画が可能なのは米国・イスラエルとイランの戦争で自国が勝利したからだと主張。イランが終戦交渉の前後で米国に提示した10項目の終戦要求のうち、他のすべての要求を実現させる最重要の要求は「海峡に対する独占的管理の行使」であるとして、海峡の管理権を絶対に確保すべきだという認識を示した。
ペルシャ湾とオマーン湾の権利を沿岸国が確保し、海岸線の長さと軍事的能力に応じて、これらの海の統制力の50%以上をイランが握るとする方策も示された。報告書は、ペルシャ湾に隣接する国以外の海軍艦艇はペルシャ湾に入れないとした。現在はペルシャ湾のバーレーンに米海軍第5艦隊司令部があり、米国の艦艇が停泊しているが、これらの艦艇は撤退すべきだということだ。
ホルムズ海峡の統制力をてこに、ロシア、中国、欧州、インドへと通じる陸路とつなげ、イランを「グローバル物流ハブ」にする構想も展開している。米国に敵対的でイランに友好的な国々を中心とした反米連帯経済体制を作ろうということだ。報告書は「イランは昔から東西の文明を結ぶ橋として認識されてきた」とし、「ホルムズ海峡は莫大な経済的利益だけでなく、このような文明的地位をイランに再び与えうる」と主張している。
海峡を通過するすべての貨物とエネルギーをイランが独占的に買い取り、巨額の「上乗せ金」を付けて販売する仕組みを作ろうとも提案した。例えば、イランが海峡の入口ですべての船舶の石油を市場価格の1バレル110ドルで形式的に購入し、海峡の出口で同じ船舶に200ドルで再販売して差額を得るというふうに運用しようとの説明だ。そして、それを単なる通行料の徴収ではなく「輸入」、「輸出」と呼称すべきだと述べている。これまでイランは原油1バレル当たり1ドルの通行料を課すと主張していたが、これを輸出入にしてしまえば、より多くの収入が得られるというわけだ。4つの方策の中で実現可能性は最も低いが、報告書はこの手法で「原油価格を1バレル当たり250ドルに引き上げることに成功すれば、米国の安全保障構造は内部から崩壊するだろう」と予測している。
一方、イランの新最高指導者モジタバ・ハメネイ師は、30日の「ペルシャ湾の日」に際して発表したメッセージで、「世界的な覇権勢力(米国)の攻撃が屈辱的な敗北に終わったことで、ペルシャ湾とホルムズ海峡の新たな章が開かれつつある」として、「イランはホルムズ海峡の管理において、敵対勢力の利用を遮断する新たな法的規則と管理システムを施行するだろう」と述べた。