米国共和党の大統領候補であるドナルド・トランプ前大統領が「なぜ我々が誰かを守らなければならないのか」とし、在韓米軍の存在に対する否定的な見解を示した。在韓米軍に対する韓国の防衛費分担金の大幅な引き上げに向けた意志も強調した。
トランプ前大統領は30日に報道されたタイム誌とのインタビューで、「韓国から米軍を撤退させるのか」という質問に、「私は韓国が我々をきちんと待遇してほしいと思っている」とし、「韓国が在韓米軍4万人に対して事実上何も支払っていなかったため、交渉を進めた」と述べた。さらに「我々は危険な位置に4万人もの兵力を配置している」とし、「私は韓国に、(費用を)支払うべき時だと言った」と語った。
トランプ前大統領はまた、自分の任期中の防衛費分担金交渉について、「我々は基本的に彼ら(韓国)の軍隊のための費用のほとんどを無料で提供してきた。そして彼らは数十億ドルを支払うことで合意した」と述べた。今は自分が大統領ではないため、「彼らは非常に少ない費用を支払うだろう」とし、「聞いたところによると、彼らはバイデン政権と再交渉を行い、ほとんどゼロに等しい過去の水準に金額を戻すことができた」と主張した。5倍引き上げを要求した自分が年間数十億ドルを支払ってもらう約束を取り付けたのに、バイデン政権発足直後の2021年3月に妥結された協定が、その年の場合、韓国の負担は13.9%増の1兆1833億ウォン(約1300億円)とするなど、大きく後退した内容になったと主張したものとみられる。
トランプ前大統領は自分が主張するこのような状況について、「理解に苦しむ」とし、「なぜ我々が誰かを守らなければならないのか」、「彼らは非常に豊かな国なのに、なぜ金を出そうとしないのか」と語った。その一方で、自分の任期中に、韓国は最初こそ容易ではなかったが、「楽しく扱える相手」であり、「在韓米軍に数十億ドルを支払うことで合意した」と自慢した。
トランプ前大統領の主張は要するに、米国はほとんど見返りがない状態で在韓米軍を駐留させており、自分が韓国に圧力を加え巨額を負担するようにしたのに、バイデン政権がその成果を白紙にしてしまったというものだ。トランプ前大統領はこのような主張を展開するため、2万8500人規模の在韓米軍を4万人と誇張した。自分が大統領に就任する前は、韓国が「ほとんど何も支払わなかった」ということも偽りと言える。
今回のインタビュー内容は、11月の大統領選挙でトランプ前大統領が勝利を収めた場合、韓国など同盟国に撤退の可能性を武器に大きな負担を求めることを示唆するものだ。トランプ大統領時代の参謀たちは、彼が在韓米軍の撤退に触れたこともあったと、回顧録などで明らかにした。現在、韓米は来年末で終わる第11回防衛費分担特別協定の後続協定に向けた交渉に着手した状態だ。トランプ前大統領の態度からして、交渉後でも分担金の大幅引き上げを要求する可能性もあるものとみられる。
トランプ前大統領は北大西洋条約機構(NATO)の欧州側同盟国に向けても「(適正な防衛費を)払わないなら、自分の力で自分を守らなければならない」という立場も改めて示した。そして、欧州諸国が防衛費を十分に増やさなければ、ロシアの「望み通りに」させると述べ、波紋を呼んだ。
また、すべての輸入品に10%以上の普遍関税を課す計画を示すとともに、一部の中国商品には関税率100%の適用もあり得ると述べた。