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「テロ犯に死刑を」…ロシアで「死刑制度復活」の声高まる

登録:2024-03-29 06:07 修正:2024-03-29 06:33
27日(現地時間)、検問するロシア警察。モスクワテロ事件以後、検問や検査が強化されている=サンクトペテルブルク/EPA・聯合ニュース

 モスクワ郊外で起きたコンサートホールでのテロで143人が死亡した事件後、ロシアで事実上廃止された死刑制度を復活を求める声が高まっている。

 前ロシア大統領のドミトリー・メドベージェフ安全保障理事会副議長はテロ発生3日後の25日(現地時刻)、ソーシャルメディアに「テロ犯を殺す必要があるのか」と自問した後、「必要だ。死刑にすべきだ」と書いた。さらに、今回のテロに関与した人々や、資金を提供して支援した人を含め、全員の命を奪わなければならないとも主張した。

 ロシアは28年間死刑を執行していない事実上の死刑制度廃止国だが、死刑制度の復活をめぐる議論が絶えない。政府諮問機関である「市民の部屋」の関係者リディア・ミキバ氏は現地メディアに「死刑制度を終わらせたのは現代ロシア歴史の重要な進展」だとし、「野蛮の時代に戻りたくないなら、皆が立ち止まって深く考えてみる必要がある」として、反対の立場を示した。

 ウラジーミル・プーチン大統領は、まだこのような論議について言及していない。プーチン大統領はこれまで数回にわたり国内外で西側に亡命した内部告発者や政敵などを何のはばかりもなく暗殺したという批判を受けてきたが、死刑制度については反対の立場を明らかにしてきた。2002年には「私がいる限りロシアにこれ以上死刑制度はないだろう」と述べており、2007年にも「死刑は分別のないことで、生産的でもない」と語った。2022年には自身の考えに「変わりがない」として、死刑反対の意思を改めて確認した。

 これと関連してロシアのドミトリー・ペスコフ大統領府報道官は現地メディアに「私たちは現在この問題について議論していない」と述べた。

 ロシアはプーチン大統領の前任者であるボリス・エリツィン大統領時代の1996年、国際人権機構の欧州評議会(CE)に加盟する際、「直ちに死刑執行を中止し、3年内に死刑制度を廃止する」と約束した。死刑制度廃止の約束はロシア議会が欧州人権条約(ECHR)の批准に同意しなかったことで守られなかったが、死刑執行の中止は約束通り続いている。

 1999年には憲法裁判所が「ロシア全域に陪審裁判が導入されるまで、死刑判決は下せない」という判断したうえ、陪審制が定着した後の2009年には「国民が10年以上死刑執行中止に慣れているため、CEの規定により死刑執行中止を維持せよ」と決定した。

 ロシアは2022年2月のウクライナ侵略後、CEから追い出された。このため、ロシアで死刑執行を中止する当初の根拠だったECHRに縛られる理由が消えた。にもかかわらず、当時バレリー・ジョルキン憲法裁判所所長は「死刑制度の復活は憲法改正事項」だと釘を刺した。

 しかし、一部の政治家たちは、ECHRの拘束力が消えただけに、改憲しなくても死刑制度の復活が可能だと主張している。ロシア下院のビャチェスラフ・ボロディン議長は、「私たちはCEを離れた。そうではないのか」とし、憲法裁が死刑執行の復活を決定できると述べた。

パク・ピョンス先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/europe/1134203.html韓国語原文入力:2024-03-28 11:42
訳H.J

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