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ギリシャ‘福祉国家の夢’苦い悲劇に

原文入力:2010-05-03午後10:32:15(1653字)
ギリシャ 救済金融招いたパパンドレウの悲哀
独立・民主化をリードしたエリート家門 3代が総理6回歴任
左派背負い執権後 改革失踪…既得権層に振り回される

イ・ポニョン記者

←ヨーロッパ連合と国際通貨基金の救済金融を受けるためにとった超緊縮政策により国民の激烈な反対デモと辞任要求に直面したケオルギオス パパンドレウ ギリシャ総理が3日執務室を出ている。 アテネ/ロイター連合ニュース

パパンドレウ一族がギリシャを危機に追いやったのか、ギリシャがパパンドゥレウ家門に悲運を抱かせたのか?

ケオルギオス パパンドレウ ギリシャ総理は昨年10月の総選挙勝利後、公共部門の賃金引上など財政支出拡大を公言した。一部では緊縮の必要性を提起したが景気低迷期には積極的財政政策が必要だと主張した。ギリシャをデンマーク型福祉国家にするという抱負だった。中道左派の汎ギリシャ社会主義運動を率いながら国際左派政党の集いである社会主義インターナショナル議長まで務めた総理らしい方向提示だった。

しかし、就任早々国家負債が予想よりはるかに多いことが明らかになり、彼の公約は不渡り危機に陥り始めた。そして去る1日、彼はヨーロッパ連合(EU)と国際通貨基金(IMF)の救済金融1100億ユーロ(約163兆ウォン)を受けることにしたというテレビ演説に出た。福祉国家の夢は消え、公共部門賃金凍結と年金削減、増税、雇用柔軟化などの不安がギリシャを襲っている。

パパンドレウ総理の執権には社会民主主義政策に対する支持も一役買ったが、3代目の天下りエリート政治家に対する期待も含まれていた。だが、今や彼は伝統的支持層にも見捨てられる状況に置かれた。

パパンドレウ総理と名前が同じ彼の祖父は3度にわたり(1944~45,63,64~65年)総理を歴任した。独立と民主化に大きな役割を果たした彼の祖父は1967年の軍事クーデターで自宅軟禁され亡くなった。パパンドレウ総理の父親アンドレアス パパンドレウも2回(1981~89,93~96年)総理を歴任した。3代にかけて6回目の総理を引き受けたわけだ。選挙の時にパパンドレウ総理支持者らは「アンドレアスは生きている」と叫んだ。それほどにこの家門はギリシャの現在に借りがあるわけだ。

パパンドレウ総理としては政権に就き 間もないために、政府倉庫を放漫に運用したという非難から当面は免れることができる。彼は保守野党のシン民主党の5年半の統治が国家財政を亡ぼしたとし責任を転嫁した。だが、彼も‘一族の責任’からは自由になることが容易ではない。特に論議が多いことは、アンドレアス パパンドレウの執権期だ。アンドレアスは米軍撤収と北大西洋条約機構(NATO)脱退、生産手段社会化など非同盟・進歩路線を前面に掲げ執権したが、親米路線を捨てずに急進的社会改革にも着手しなかった。これに対し現実主義路線という評価もある。だが、この時期の不良企業廉価売却、ばらまき政策、腐敗構造温存などが今日のギリシャに負担となり戻っているという分析が出ている。ドイツなどが当初ギリシャ支援に難色を示したのは、‘金を湯水のように使うギリシャ人’たちを助けることに税金を使うことはできないという有権者の反発が作用した。

アンドレアスに諮問をしたジェームズ ペトロス ピンヘムトン ニューヨーク州立大教授は<アルジャジーラ>インターネット版寄稿でパパンドレウ一族の統治を "ギリシャの悲劇的ピエロ劇" とこき降ろした。代々民族主義と社会民主主義価値を掲げ執権したが、強大国と既得権層の利益を守る結果だけを産んだということだ。

イ・ポニョン記者 ebon@hani.co.kr

原文: https://www.hani.co.kr/arti/international/globaleconomy/419036.html 訳J.S