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「終末時計」午前0時まで残り90秒…地球の破滅に最も近づく

登録:2023-01-25 10:16 修正:2023-01-25 13:48
米科学誌、4年で10秒短縮 
1947年の最初の発表以来、午前0時に最も近く 
ウクライナ戦争、気候危機、核の脅威などを挙げ 
世界の指導者のリーダーシップ失敗の責任も指摘
2023年の「終末時計」の調整結果を発表している「ブレティン・オブ・ジ・アトミック・サイエンティスツ」の代表たち=同会報提供//ハンギョレ新聞社

 地球の破滅を警告する「終末時計」(Doomsday Clock)が「午前0時まで残り90秒」となり、4年ぶりに10秒短くなった。

 これにより「終末時計」の針は、初めて設定された1947年以降、午前0時に最も近づいたことになる。午前0時は科学者たちが警告する地球の破滅の時点を象徴する。

 米国の「ブレティン・オブ・ジ・アトミック・サイエンティスツ」(原子力科学者会報)の科学安保委員会は24日(現地時間)、ロシアのウクライナ侵略と核拡散危機の増加を主な理由に、時計の針を調整したと発表した。

 委員会はまた、気候危機と共に新型コロナウイルス感染症のような生物学的脅威、先端技術と関連した危険を緩和するために必要な世界規範と制度の崩壊、国家の支援を受けるフェイク情報や破壊的技術も時計の針の調整の理由に挙げた。

 これに先立って同会報は2020年に、世界的な脅威に対し世界各国政府の機能がまともに作動していないという点を挙げ、時計の針を「残り100秒」として以来、ここ3年間はこの状態を維持してきた。

 同会報は「米国とロシア、中国は本格的な核兵器の現代化プログラムを推進しており、危険な新『第3次核時代』競争のためのテーブルを設けており、南アジアの軍拡競争と北東アジアのミサイル軍拡競争が暗鬱な図を完成させている」と明らかにした。

 また、米国とロシアの最後の核兵器条約である新戦略兵器削減条約(新START)が2026年の満了を控えている点や、中国が2035年までに核兵器を5倍に増やす可能性、北朝鮮の中長距離ミサイル実験の強化、イランのウラン濃縮能力の増大、インドの核兵器現代化の持続などを「第3の核時代」が開かれる事例に挙げた。

 同会報のレイチェル・ブロンソン会長は「残り90秒は、これまでの時間調整の中で終末に最も近い時間であり、私たちは今回の決定を軽く考えていない」とし、「指導者たちが時計の針を戻す能力を最大限発揮できるよう、自らのすべてを注ぎ込むことを求める」と明らかにした。

 潘基文(パン・ギムン)前国連事務総長は「3年前、私は終末時計の針を最後に調整するその場にいた。指導者たちは2020年の警告に注意を払わず、私たちは皆その代償を払い続けている」と述べた。

 ツァヒアギーン・エルベグドルジ元モンゴル大統領は「こんにち我々の世界が直面している様々な危機には、リーダーシップの失敗という共通点がある。平和な共存と持続可能な発展に向けた道に我々を戻しうる国連憲章の精神と価値に根ざした集団的対応が必要だ」と述べた。

 IPCC(気候変動に関する政府間パネル)第6次評価報告書の首席著者であり、同会報の科学安保委員会の一員であるシバン・カルタ博士は「気候危機に対処するためには多国間の管理および協力機構に対する信頼が必要だが、ウクライナ侵略によって生じた地政学的な亀裂が国家間の信頼と世界の協力意志を弱めた」と述べた。

1947年以降の「終末時計」調整の沿革//ハンギョレ新聞社

2000年代に入り、気候危機も主な脅威に

 「終末時計」は1947年、当時の米国とソ連の核兵器競争の危険性を警告するために原子力科学者会報によって作られた。初年度の「残り7分」をはじめとし、昨年まで「残り17分」から「残り100秒」の間を行き来しつつ、地球の危険状態を知らせる警告信号の役割をしてきた。

 針が調整された回数は今回まで合わせて25回であり、前に17回、後ろに8回動かされた。2007年には気候変動が人類滅亡の新たな脅威要因として追加された。

 「終末時計」を運営する原子力科学者会報は、米国の核爆弾開発プログラムであるマンハッタンプロジェクトの参加者をはじめとする核科学者たちが1945年に結成した団体だ。「終末時計」は、同団体の科学安保委員会が10人のノーベル賞受賞者を含む後援委員会と協議して決める。

 76年前の「終末時計」が残り7分から始まったのは、科学的な根拠よりはデザイン上の理由からだった。

 同会報の1947年6月号の表紙に登場した最初の終末時計をデザインしたマーチル・ラングスドルフは、時計の針を0時の「7分前」に設定した理由について、「見た目がよかったから」と語っている。

クァク・ノピル先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/science/future/1076824.html韓国語原文入力:2023-01-25 08:31
訳C.M

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