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海外メディア「韓国のハイパーコネクティビティ、ハロウィーン惨事のトラウマ広げた」

登録:2022-11-03 06:39 修正:2022-11-03 07:07
ハロウィーン惨事犠牲者追悼空間が設けられた梨泰院駅1番出口の前に2日、犠牲者を追悼する花などが置かれている/聯合ニュース

 29日夜、ハロウィーン・フェスティバルが行われていたソウルの梨泰院(イテウォン)で惨事が発生した。13万人の人波が押し寄せた極度の混雑の中、人々が折り重なるように倒れて150人余りが死亡した。現場の状況を撮った写真と映像が、わずか数回のクリックで社会全体にすばやくまた広範囲に広がった。韓国の優れたインターネット環境とオンライン空間の特性により、市民は惨事の現場をリアルタイムで目にし、胸を痛め、傷ついた。

 ウォール・ストリート・ジャーナル紙は1日(現地時間)、「韓国人はスマートフォンとハイパーコネクティビティを通じてオンラインで恐ろしい場面を消費し、広げた」とし、「これが(今回の惨事で)より多くの恐怖を作り出した」と報道した。同紙はハロウィーン惨事が市民に事実上「生中継された」とまで指摘した。

 この分析通り、惨事のニュースを初めて知らせたのは既成メディアではなかった。マスコミの報道が出る前に現場の目撃者たちがツイッターなどを通じて現場の惨状を広めた。人々が載せた最初の写真と動画には犠牲者の顔などが鮮明に映っていた。警察官、消防士、平凡な市民が路上で心肺蘇生法(CPR)を施す動画がツイッターで1万回以上「リツイート」された。同紙は「韓国のインターネット速度は世界で最も速く、広範囲なハイパーコネクティビティのため、堅固なデジタル環境が作られた」とし、「ほとんど全員がスマートフォンを持っている」と報じた。

1日午後、梨泰院惨事死亡者の合同焼香所が設けられたソウル広場の片隅に心理支援現場相談所が開設され、案内と相談が行われている=シン・ソヨン記者//ハンギョレ新聞社

 当時の「生々しい」動画を見た大学生のチョン・ヒョンジさん(21)は、ウォール・ストリート・ジャーナルに惨事のニュースを「見たくなかったが、他のソーシャルメディアにもあちこち掲載されていた」とし、「惨事以後、毎日午前4時に目が覚めてしまい、頭がぼんやりしている」と語った。会社員のファン・エスダーさん(36)は「(惨事のニュースを掲載する)ツイッターアカウントのフォローを取り消した」とし、「それがいま私が自分を保てている理由だと思う」と話した。

 専門家たちはオンライン上で見た写真や動画が市民にトラウマを作り出す可能性があると指摘した。韓国トラウマストレス学会のペク・ジョンウ会長(慶熙大学精神健康医学科教授)は「外傷後ストレスは事案に直接関与した人だけに影響を及ぼすわけではない」とし、「予想できなかった場所での悲劇的な死を目撃することは写真と動画を通じたものでも大きなトラウマとストレスを引き起こす恐れがある」と述べた。

 カリフォルニア大学心理学科のアリソン・ホルマン教授も「メディアコンテンツを過度に消費するのはストレスを感じやすくすると共に、より多くのコンテンツを探し求める誘引になりかねない」と指摘した。

 ハロウィーン惨事の状況が映ったオンラインコンテンツが問題になり、主要ソーシャルメディア企業はユーザーたちに注意を呼びかけた。惨事翌日の10月30日、ツイッターコリアは「敏感な掲示物のリツイートは控えていいただきたい。問題のツイートを見つけたら通報してほしい」と明らかにした。カカオとネイバーも公示を通じて惨事関連の掲示物の作成に留意し、犠牲者の身元や確認されていない事実の流布などを自制してほしいと要請した。

チョン・ヘヨン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/international_general/1065411.html韓国語原文入:2022-11-0214:50
訳H.J

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