本文に移動

日本円、32年ぶりに1ドル=150円突破…日本の貿易収支は史上最悪

登録:2022-10-20 20:00 修正:2022-10-21 08:25
円相場が心理的マジノ線の「1ドル=150円」を突破した。外国為替業務を行う会社の社員が、円相場の表示された画面を眺めている=東京/ロイター・聯合ニュース

 円相場が心理的マジノ線の「1ドル=150円」を突破した。なかなか止まらない円安の流れに、日本政府が再び為替介入に乗り出すかが焦眉の関心事だ。

 20日午後、東京外国為替市場では円ドル相場が一時150円台まで下がった。1ドルあたりの円相場が150円より値下がりしたのは、「バブル経済」の崩壊が始まった1990年8月以来、32年ぶり。NHKは「米国の中央銀行に当たるFRB=連邦準備制度理事会が大幅な利上げを続けるという観測から、円を売ってより利回りが見込めるドルを買う動きが強まった」と伝えた。

 最近、円安のスピードがかなり速くなっている。円相場は先月1日、24年ぶりに「1ドル=140円台」に突入してから、2カ月足らずで150円に下落した。

 その結果、日本政府が再び為替介入に乗り出すだろうとの見通しが出ている。鈴木俊一財務相はこの日「1ドル=150円」を突破した後、記者団と会い「投機による過剰で急激な変化は容認できない。変動率に注目し、そうした動きがある場合、断固たる対応を取るという従来の考えに何ら変更はない」と話した。鈴木財務相は参議院予算委員会でも「最近のような急速で一方的な円安進行は望ましくない」として「外国為替市場の動向を緊張感を持って注視すると同時に、過剰な変動に対しては今後も適切な対応をする」と牽制に乗り出した。代表的な円安論者である黒田東彦日銀総裁も、前日「最近の急速な円安進行は日本経済にとってマイナスであり、望ましくない」と強く発言した。

 ただし、介入をしてもあまり効果がないことは明らかだ。FRBは来月にも大幅な金利引き上げを断行するとみられ、円安の流れを止める局面への転換は容易でない。米国の金利は上がるが、日本の金利は横ばいで、円を売りドルを買おうとする動きを止めることができない。これに先立って日本の財務省は先月22日、24年ぶりにドルを売り円を買い入れる為替介入に乗り出したが、「効果」は長続きしなかった。日本経済新聞は、1ドル=150円を突破しても円売りが止む可能性が低い状況で、「出口なき円安」の構図を指摘し、「代表的な安全通貨だった円の姿は過去のものとなった」と伝えた。

 約30年ぶりの円安が続いているにもかかわらず、今年4~9月の日本の貿易収支赤字幅は歴代最大規模になった。ウクライナ戦争によるエネルギー価格の高騰と中国経済の不振で輸入増加額が輸出回復分を上回ったためだ。

 日本の財務省は20日、今年上半期(4~9月)の輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は11兆75億円の赤字と集計されたと発表した。これは比較可能な統計がある1979年以来、最大規模だ。これまで6カ月基準で貿易収支が最大赤字を記録したのは、2013年下半期(8兆7600億円の赤字)だった。

 日本の貿易収支を悪化させた最大の原因は、高騰した原油などのエネルギー輸入価格だった。今年4~9月の原油・石炭・天然ガスなどを全て合わせた「鉱物性燃料輸入額」は昨年同期より125.8%も増えた。関心を集めた対中貿易をみると、輸出は新型コロナで底を打った昨年同期より7.4%の回復に止まった。それに対して輸入は25.1%も増加した。

 同時に発表された9月の貿易収支も2兆939億円の赤字で、昨年7月から14カ月間赤字を続けている。日本の貿易収支赤字幅が大きくなり、今年の年間基準でも42年ぶりに初の赤字を記録するだろうという観測が出ている。貿易収支の赤字が続けば、対外信頼度が悪化し、円安圧力がさらに強まることになる。歴代級の円安状況なのに、輸出の急騰による貿易収支の黒字転換もなく赤字が続く「おかしな状況」が固着化している。

東京/キム・ソヨン特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/japan/1063548.html韓国語原文入力:2022-10-20 18:22
訳J.S

関連記事