朝鮮人強制動員が大規模になされた新潟県の佐渡金山のユネスコ世界遺産登載が、来年には困難な状況になった。日本政府が提出した推薦書に不備があり、ユネスコの審査がなされずにいるためだ。
末松信介文部科学相は28日、記者団に会い「ユネスコ事務局から(2月1日に提出した)推薦書の一部に不充分な点があるとの判断が出た」として、来年の登載は「難しい状況」と述べた。「推薦書を再び提出する他はない。9月末までに暫定推薦書を提出し、来年2月1日までには正式に出す」と述べ、ユネスコがどこを充分でないと指摘したかは説明しなかった。推薦書の提出が1年遅れ、佐渡金山の登載決定も2024年6~7月頃に延期されることになった。
末松文部科学相はこうした事実を岸田文雄首相に報告した。NHKは「岸田首相は『まことに遺憾ながらやむをえない』と述べ、登録の実現に向けて新潟県などと連携して全力で取り組むよう指示した」と伝えた。
これに先立って共同通信は、ユネスコが佐渡金山の範囲を示す書類に不備な点があるとし、推薦書を民間諮問機構である国際記念物遺跡協議会(ICOMOS・イコモス)に渡さなかったと報道した。ユネスコの登録過程によると、推薦書を3月1日までにイコモスに送り、4月から書類審査と現地調査を進める筈だった。
韓国と日本の政府は、それぞれタスクフォース(TF)を作り、佐渡金山のユネスコ登載問題に対応している。韓国外交部は、佐渡金山の世界遺産登載について「日本政府が韓国人強制労働のつらい歴史を無視して『佐渡金山』を世界遺産に搭載推進するのを決めたことに対し、深い失望と共に抗議の意を表わす」と明らかにした状態だ。日本政府は、1467年から1989年(廃鉱)という佐渡金山の歴史全体のうち、江戸時代(1603~1867年)に評価期間を狭め、この時期になされた伝統的手工業方式の金生産体制だけに限定し推進する構想だ。朝鮮人強制動員が集中的になされた1939~1942年は除外した。