ホワイトハウスは、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が軍首脳部と補佐陣にウクライナの戦況について誤った情報を聞かされてきたと主張した。ホワイトハウスは、このためプーチン大統領と軍首脳部が緊張関係に陥っていると語るなど、クレムリン内部についての敏感な情報を異例にも公開した。
ホワイトハウスのケイト・ベディングフィールド広報部長は、3月30日(現地時間)のブリーフィングで「我々は、ロシア軍の作戦遂行にどれほど誤りがあるのか、制裁によってロシア経済がどれほどの打撃を受けているのかについて、プーチンに誤った情報が報告されていると信じている」とし「これは彼の高位補佐陣が真実を語ることを非常に恐れているため」と述べた。周辺の「イエスマン」たちが思ったように行かない戦況を正確に報告していないため、プーチン大統領の判断にも影響を及ぼしているとの趣旨だ。
ベディングフィールド氏はまた「プーチンはロシア軍に誤導されたと感じており、そのためプーチンと軍首脳部とは緊張関係にあるという情報を入手した」と明かした。同氏はこの情報の入手の経緯は説明しておらず、米情報当局が公開を決めたと説明するにとどまった。そして、これを公開するのはプーチン大統領の「戦略的失敗」を示すためだと述べた。
これと関連して匿名の米高官は、プーチン大統領はロシア国防省に不信感を抱いていると「ザ・ヒル」に語った。この高官は「プーチンは、ロシア軍が(ウクライナに)徴集兵を投入し、彼らを失っていることさえ知らなかった」とし「これは、ロシア大統領へと向かう正確な情報の流れが明らかに瓦解していることを示している」と述べた。
ロシア軍のウクライナ作戦が膠着状態に陥ったことで、プーチン大統領による軍部に対する問責説が提起されている。プーチン大統領に報告する場面が公開された3月11日以降、セルゲイ・ショイグ国防相がしばらく公の場に現われていないことは、このような推測を強化している。ショイグ国防相は18日のあるテレビ番組に姿を現したが、一部のロシアのジャーナリストは11日に撮影された映像だと主張している。ショイグ国防相は24日にもオンライン会議を行っている姿が放映されたが、会議の日付は公開されていない。
米国は、ロシアのウクライナ侵攻開始前から、ロシア政府と軍の動向を積極的に公開してきた。ロシアの侵攻の意図をくじき同盟国を結集させるために、異例の「情報戦」を繰り広げてきたのだ。その中でも今回の情報は、それほど具体的ではないものの、プーチン大統領がどのような形の報告を受け、「情報の失敗」にどのような反応を示しているかなどの、権力中枢のコミュニケーションに関する内容であるだけに、いっそう注目される。米国の情報機関が盗聴や対人情報を通じてクレムリンの内部までのぞき見ているということを意味するからだ。
英国の情報機関である政府通信本部のジェレミー・フレミング部長も、プーチン大統領の補佐陣が「真実を語ることを恐れている」と述べ、米国の情報当局と同じ判断を明らかにしたと「ガーディアン」が報じた。フレミング部長はウクライナにいるロシア軍について「一部の兵力は命令遂行を拒否したり、自分たちの装備を破壊したりしており、誤って味方機を撃墜してもいる」と述べた。
一方、ホワイトハウスによると、米国のジョー・バイデン大統領は同日、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領と1時間ほど電話で会談し、ロシアとの和平交渉の動向や軍事援助の強化について論議した。バイデン大統領はウクライナ政府に5億ドル(約6048億ウォン)を追加で提供することを約束した。