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一時停戦合意を拒んだプーチン「西側の制裁は宣戦布告」…長期戦なるか

登録:2022-03-07 08:09 修正:2022-03-07 08:56
ロシア・ウクライナ、民間人避難のための一時停戦合意が破られ 
マリウポリ市長「水や電気がなく、遺体の回収もできない」 
「6日午後(韓国時間午後7時)、民間人避難再開」 
プーチン大統領「ウクライナ、要求拒否すれば国家性が危うくなる」 
「ロシア、地上軍の大半をウクライナに投入…消耗戦になるだろう」
ウクライナ南東部の都市マリウポリのある病院の窓ガラスが3日の砲撃で壊れている=マリウポリ/AP・聯合ニュース

 ロシアとウクライナが、民間人の避難のために5日(現地時間)に一時停戦することに合意したが、すぐに破られた。ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、西側の制裁は「宣戦布告」に近いと述べ、強力な対応を予告した。先月24日にロシアがウクライナを侵攻してから対立が長引き、長期戦になる状況だ。

 ウクライナ南東部の人口40万の都市マリウポリのバディム・ボイチェンコ市長は5日、「5日連続で電気が切れ、暖房もなく水もまったくない。遺体を回収することもできない」と明らかにした。彼はあるユーチューブチャンネルのインタビューで、「ロシア軍が人道回廊を切断し、生活必需品や医療用品、さらには乳児用食品まで補給を遮断しようとしている」と語った。

 これに先立ち、ロシアとウクライナの交渉団は3日の2回目の会談で、マリウポリとボルノバーハに民間人の避難のための人道回廊を開設するため一時停戦に合意したが、銃声は続き、35万人と予想された民間人の避難もなされていない。ロシア国防省は、合意に従い5日午前から停戦すると宣言したが、午後には「ウクライナが民間人を人間の盾にしたため、一人の民間人も避難通路に抜けだすことができなかった」と主張し、攻撃を再開した。しかし、マリウポリ市議会は「ロシア軍がわれわれの都市と周辺地域に爆撃を加え続けており、市民の避難が遅延している」と主張した。市議会は「6日昼12時(韓国時間午後7時)から9時間の間、民間人の避難を再開する」と明らかにした。

 このようにロシア軍は3日に港湾都市ヘルソンを掌握するなど、ウクライナ南部地域で勢力を拡大している。ロシア軍は北部では相対的に速度は遅いが、首都キエフ(現地読みキーウ)に向かう包囲網を徐々に狭めている。キエフ地域行政庁のトップであるオレクシー・クレバ氏は6日、テレグラムを通じて、キエフ北西約50キロメートルに位置するボロディヤンカがロシア軍の統制に渡ったとして、「ほとんど完全に破壊された。水も電気もない」と伝えた。ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は6日、「ロシア軍のロケットがビニツァの民間空港を完全に破壊した」と明らかにしたと、ロイター通信が報じた。ビニツァはウクライナ中西部に位置する人口37万の都市だ。ロシア軍は、ウクライナ東部に位置する第2都市のハリコフ(現地読みハルキウ)やスームイなど他の都市の民間人地域にも5日に攻撃を続けた。

 ロシアはまた、ウクライナで最大規模のザポリージャ原子力発電所を4日に掌握したのに続き、2番目に大きい原発に近づいたことが報じられた。ゼレンスキー大統領は5日、米国の上院議員とのテレビ電話で、ウクライナ南部のムィコラーイウ州ユズノウクラインスクにある原発が、ロシアの脅威を受けていると述べたと、米国CNN放送が報道した。米国のリンダ・トーマス=グリーンフィールド国連大使も4日、「ロシア軍がウクライナで2番目に大きい原発に32キロメートルまで近づいた。危険が差し迫っている」と明らかにした。ウクライナは原子力発電が全発電量の半分ほどを占めており、原発をロシア軍が掌握すれば、打撃は大きくならざるをえない。

 プーチン大統領は、西側諸国とウクライナに向けて脅迫的な発言をした。彼は「国際女性デー」(8日)を控えた5日、自国の航空会社の女性客室乗務員との会談で、武装解除と中立化の要求を拒否するゼレンスキー政権に対して「ウクライナの国家性の今後の存在を危うくする」と警告した。彼はまた、「現在施行されている(西側のロシアに対する)制裁は、宣戦布告に近い」と述べ、強力な正面対抗の意向を示した。さらに、「ウクライナ作戦は(ロシア)参謀本部が設定した計画とスケジュールのとおりに進められている」とし、ウクライナの武器庫、軍用機、防空ミサイルシステムなどの軍事インフラの除去作業を「ほぼ完了した」と主張した。

 ウクライナに武器や資金、人道主義的な救援物資などを支援してきた西側諸国も、その度合いを高めている。米国のホワイトハウスは、ゼレンスキー大統領の要請を受け、ウクライナにポーランドの戦闘機を支援する案について欧州諸国と協議中だと明らかにした。

 ロシア軍がウクライナの強力な抵抗にあい、燃料や弾薬、食糧の不足に苦しみ、戦争が長引くだろうという見通しはいっそう強まっている。英国の外交安全保障分野のシンクタンクである国際戦略研究所(IISS)の地上戦担当の上級研究員であるベン・バリー准将は、英紙「タイムズ」に「ロシアが地上軍の大部分を(ウクライナに)投入したことがわかっている状況であり、すでに消耗戦に入っているだろう」と述べた。

 国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は6日、「この10日間で150万人を超える難民が、ウクライナから隣接した国々に向かった」とし、「第2次世界大戦後、欧州で最も速い難民増加の危機」だと明らかにした。

ファン・ジュンボム記者、キム・ソヨン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/international_general/1033709.html韓国語原文入力:2022-03-06 21:53
訳M.S

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