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「慰安婦」記録登録への圧力が身から出た錆に…佐渡金山の世界遺産登録めぐり悩む日本

登録:2022-01-20 06:10 修正:2022-01-20 07:15
加盟国が異議申し立てすれば、世界記憶遺産の審査中止 
日本の強い要求でユネスコに導入 
外務省幹部「合意なく佐渡金山を推薦すれば制度がダメになる」
新潟県の「佐渡島の金山」の様子=ホームページより//ハンギョレ新聞社

 日本政府が、朝鮮人の強制動員が大規模に行われた新潟県の「佐渡島の金山」(佐渡金山)のユネスコ世界遺産登録申請を控え、苦しい立場に追い込まれた。日本の「強い要求」で、世界記憶遺産の登録を進める際、他の加盟国の異議申し立てがあれば、審査を中止する制度を昨年新たに導入したからだ。韓国の反対にもかかわらず登録を強行すれば、日本が自分の主張を自ら否定することになる。

 朝日新聞は19日、佐渡鉱山の登録と関連し、「ユネスコは昨年、歴史的な資料を後世に引き継ぐことを目指す『世界の記憶』(旧記憶遺産)で、加盟国が反対すれば登録されない制度を導入した。(中国が推進した)『南京大虐殺の記録』などの登録を受け、日本政府が訴えてきたことを受けたもの」だと報じた。同紙はさらに「日本が(韓国などと)合意なしに(佐渡鉱山をユネスコに)推薦すると、せっかくの制度がダメになってしまう」という外務省幹部の発言を引用し、日本の苦しい立場について説明した。

 日本政府は2015年10月、日本軍が1937年の南京占領後、中国民間人を大量虐殺した「南京大虐殺」関連記録が「世界の記憶」に登録されたことを受け、「日中間で見解の相違がある」とし、「記憶遺産として登録されたことは、中立・公平であるべき国際機関として問題であり、極めて遺憾だ」と強く反発した。さらに2016年に韓国や中国など8カ国14団体が日本軍「慰安婦」記録物について登録申請をすると、ユネスコへの拠出金の支払い停止など「全面的な圧力」を加え、昨年4月、加盟国の異議申し立てがあれば審査を中止し、期限を定めずに当事国間で対話を続けるように制度を変えた。そのため、慰安婦記録の世界の記憶への登録は事実上不可能になった状況だ。

 同制度は「世界の記憶」に関するもので、佐渡金山のような「世界遺産」には適用されない。しかし、ユネスコ韓国委員会のチョン・ジンソン文化チーム長は本紙の取材に対し、「遺産の種類が違うからといって論理が変わるわけではない」とし、「佐渡金山の登録申請を強行した場合、『世界の記憶』の制度の改革を議論する過程で自分たちが主張していた論理に逆行する矛盾に陥る」と指摘した。

世界遺産登録が推進されている三菱鉱業の佐渡鉱山//ハンギョレ新聞社

 外部の視線を気にするあまり、登録申請を見送れば、激しい内部反発が予想される。自民党の保守・右翼議員で構成された「保守団結の会」は18日に会議を開き、日本政府に早期の推薦を求める決議をまとめ、外務省と文化庁に提出した。岸田文雄首相は同日、記者団に対し「登録を実現することが何より大事だ。そのため何が最も効果的なのかをしっかり検討していきたい」と述べた。

 日本政府は来月1日までに佐渡金山の登録推進と関連して最終結論を下し、ユネスコに推薦書を提出しなければならない。来週、外務省が主導する関係省庁会議と閣議を経て、最終結論を下すものとみられる。

東京/キム・ソヨン特派員(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/international/japan/1027975.html韓国語原文入力:2022-01-20 02:30
訳H.J

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