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米ロ軍艦が東シナ海で威嚇航海…中ロ、対米共同戦線を初めて誇示?

登録:2019-06-10 07:12 修正:2019-06-10 11:04
7日、両国の軍艦15メートル距離まで接近…互いに非難 
米ロの戦力が欧州ではなく太平洋で対峙したのは異例 
 
習主席のロシア訪問中に発生…中国に対するロシアの側面支援か 
中ロ、米国に対抗し、「全面的戦略パートナー」宣言
ロシア駆逐艦(左)と米国の巡洋艦が今月7日、東シナ海で衝突直前の危険な航海をしている=米海軍ホームページより//ハンギョレ新聞社

 米国とロシア軍艦が東シナ海で15メートル距離まで接近する危険な航海を行った。偶然にも中国の習近平国家主席のロシア国賓訪問期間中に発生したことで、中国とロシアが太平洋で米国に対抗して共同戦線を張る意思を示したのではないかという分析もある。

 米海軍第7艦隊は7日、フィリピン海とも呼ばれる東シナ海の南東部を航海していた自国の誘導ミサイル巡洋艦チャンセラーズビルに対し、ロシア軍艦が15~30メートルまで距離をつめるなど、威嚇行為をしたと発表した。第7艦隊は、一定の速度で同じ方向に向けて航海するチャンセラーズビル艦の右側にロシア駆逐艦が迫ってきたと明らかにした。米海軍は「(ロシア海軍の)安全性に欠ける行動により、チャンセラーズビル艦は衝突を回避するため、全速力で後進しなければならなかった」と述べた。パトリック・シャナハン米国防長官代行は、ロシアに公式抗議したが、今回のことは「我々の作戦遂行を止められない」と述べた。チャンセラーズビル艦は、日本の横須賀を母港とする米軍第7艦隊区域に配置された空母ロナルド・レーガンと共に航海中だった。

 ロシアは、今回の事態が米軍艦艇に起因すると主張した。タス通信によると、ロシア海軍関係者は「ロシア艦艇が米空母戦団と並行して航海していたところ、米軍巡洋艦が急に方向を変え、ロシア駆逐艦アドミラル・ビノグラドフを横切った」と説明したという。ロシアの太平洋艦隊は、米軍艦艇の行為は容認できないものだと述べた。

 米ロ関係が悪化する中、両国の軍用機は欧州側のバルト海や地中海、黒海の上空で威嚇飛行を行ってきた。米軍は今月4日、地中海上空で自国の海上哨戒機をロシアの戦闘機が3回にわたる接近飛行で、3時間近く威嚇行為をしたと明らかにした。

 しかし、今回の威嚇航海はロシア領土からかなり離れた東シナ海の公海上で発生した。同日は、中国の習近平主席が中国とロシア修交70周年を記念するロシアへの国賓訪問を終える日だった。このため、ロシアが貿易戦争や南シナ海の領有権をめぐり米国と対峙する中国への“協力”の意思を示したのではないかという分析もある。習主席は、ロシア訪問初日の5日、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領と発表した共同声明で、両国関係を「全面的戦略協力パートナー関係」に格上げすると宣言した。中ロ首脳はさらに、米国の一方主義や覇権主義にともに立ち向かうと明らかにした。米軍巡洋艦と衝突危機をもたらしたロシア新型駆逐艦は、ロシア太平洋艦隊の他の艦艇と共に、中国海軍創設70周年を祝うため中国に向かう途中だった。

 ドナルド・トランプ米政府が戦略的なライバルと規定した中国とロシアは、軍事的密着を強化している。ロシアは昨年9月、極東地域で兵力30万人が参加する冷戦終結以来最大の軍事演習を行った。同演習には中国軍約3千人と装備も参加した。今年4月末~5月初めには、中ロ海軍が西海(黄海)で合同演習を実施した。4月にプーチン大統領と北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長がウラジオストクで首脳会談を開いたことにも、極東方面で存在感を誇示しようとするロシアの考えが反映されたと言える。

 プーチン大統領が6日、米日軍事同盟に照準を合わせた発言をしたのも、アジアにおけるロシアの影響力の拡大や米国に対する牽制の強化との関連で捉えることもできる。プーチン大統領は「日本が決められるのか、日本がこの問題でどの程度主権を持っているのか分からない」と述べた。ロシアとの平和条約の締結にと乗り出した日本の決定権に疑問を呈したのだ。彼は日本が千島列島の南端の2島の返還を目指していることについても、安全保障を理由に否定的な立場を示した。ロシアは、米国の同盟国である日本が千島列島に自国を狙った軍事基地を設置する可能性があると主張している。

イ・ボニョン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/international/asiapacific/897142.html韓国語原文入力:2019-06-09 20:31
訳H.J

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