米国メディアが情報当局の話などを引用して、北朝鮮には真摯に核・ミサイルプログラムを廃棄する意志がないという趣旨の報道を連日流している。相次ぐ報道の真偽と背景をめぐり、様々な解釈が出ている。
CNNは2日(現地時間)、「国防情報局(DIA)は、金正恩(キム・ジョンウン)北朝鮮国務委員長が現時点では完全な非核化プログラムに参加する意図がないと判断している」と米政府関係者らの言葉を引用して報道した。また国防情報局が、衛星写真、盗聴、人的情報を活用して下した結論に他の情報機関の評価も一致するか判断するために、自分たちの報告書を回覧させていると伝えた。
この報道は、ワシントンポストが先月30日「国防情報局は北朝鮮が朝米首脳会談以後にも核弾頭および関連施設を隠そうとしていると判断している」と報道したのと似ている。ウォールストリートジャーナルは1日、ミドルベリー国際学研究所傘下の非拡散研究センターが最近の衛星写真を分析した結果、北朝鮮の咸興(ハムン)の固体燃料弾道ミサイル工場の外部工事が完成した姿を確認したと明らかにした。
「政府関係者」の引用報道が続くのは、まず行政府内の見解の相違を示すものと見られる。元ホワイトハウス国家安保会議(NSC)関係者は、CNNに「情報当局者は金正恩が善意で行動するとは見ない」 「彼らは、ドナルド・トランプ大統領とポンペオ国務長官が北朝鮮の政権に対する信頼を公開的に宣伝するのに嫌気がさしたのだろう」と話した。トランプ大統領とポンペオ長官の路線に不満を抱く行政府内の強硬派が「金正恩は変わっていない」ことを強調するために情報を流しているという意味だ。
情報の正確性に対する疑問提起もある。ドイツのミサイル専門家マルクス・シラー博士は「咸興ミサイル工場拡張」報道に反論した。彼は、「自由アジア放送」に「衛星写真を見れば、昨年8月に金委員長が訪問したところだ。当時すでに工場を拡張すると言っており、炭素繊維複合材を生産する所として紹介された」として「推進体の筒を作る施設ではありえるが、ミサイル製造工場ではない」と指摘した。
トランプ大統領も3日、こうした記事を「偽ニュース」と非難した。彼はツイッターを通じて「北朝鮮と良い対話が順調に進んでいる。過去8カ月間、ロケット発射も核実験もなかった。全アジアが興奮状態」と主張した。また「偽ニュースを含む野党だけが不平を言っている。私でなければ私たちは北朝鮮と今頃戦争をしているだろう」と述べた。
だが、こうした報道は、逆に6日に北朝鮮に3回目の訪問をするポンペオ長官の交渉力を高める「援護射撃」の性格があり得る。「衛星写真や盗聴ですぐ分かるので、核兵器・核物質・核施設を隠したりするな」という警告効果を与えることができる。デービッド・オルブライト科学国際安保研究所(ISIS)所長は、「自由アジア放送」に「北朝鮮に対する米国政府の警告だろう」と話した。だがCNNは、金委員長が「何をしようが米国はすでに自分を信じられない人間と判断した」と考えるならば、彼が米国に協力する可能性が低下しうると指摘した。