日本で40%を越える驚異的な視聴率を記録したドラマ<半沢直樹>(10部作)の最後の場面。主人公の半沢は自身の権力を利用してあらゆる悪行を犯した職場の上司 小和田 明に自身が加えられた苦痛に対する復讐の意味で土下座をさせる。 大和田は恥辱に脚をぶるぶる震わせて、結局半沢の前に跪いてしまう。 本来この場面は原作にはなかったが、ドラマでは劇的な効果のために追加したと言う。
これに対する反応は爆発的だった。 第7回で半沢が大和田に土下座する時の瞬間視聴率は34.5%だったが、職場の上司である大和田が跪くこの場面の視聴率は何と46.2%を記録したのだ。 <半沢直樹>だけでなく、先月28日に封切りした映画<謝罪の王様>にもこのような土下座場面がしばしば登場し、少なからぬ社会的反響を呼んでいる。
今、日本では‘土下座’を巡って社会的な論議が熱い。土下座は、人が謝罪の意向を明らかにするために他人の前で跪き頭を床に当てる行為を意味する。 当初これは江戸時代に大名行列が通る時、庶民が地面にうつ伏せて頭を下げることに由来したが、最近では過ちを犯した相手にこれを要求することが増え大きな社会問題になっているということだ。
日本NHK放送は8日‘クローズアップ現代’を通じて‘氾濫する土下座’に対して診断を試みた。 放送によれば日本人たちが公式的な記者会見の席上で土下座しながら謝罪したのは、1996年に発生した薬害エイズ事件(誤って処理された血液製剤を作り患者をエイズ(HIV)に感染させた事件)が最初だ。 以後2000年代に入り社会的に大きな物議をかもした会社の経営陣が謝罪の意味で公的な席で土下座することが社会慣行のように固定化してしまった。 放送に出演した森達也 監督(明治大学特任教授)はこれについて「日本社会の不況が長期化する中で人々が心の余裕を失い非寛容な社会になった証拠」という分析を出した。 日本社会で際立っている自己責任主義が競争激化という最近の社会の雰囲気とかみ合わさって土下座という社会病理的現象が広がっているという分析もある。
それによって多くの所で土下座被害事件が続出している。 放送は地下鉄の駅で改札をきちんとしなかった顧客を呼び止めたために路上で20分も土下座を強要された地下鉄職員、ささいな過ちで土下座させられた店員の事情などを紹介した。 この放送に出現したおよそ30代の男性は「ささいな過ちを犯した後、上司に土下座を要求されて会社をやめようかとも考えたが、子供と妻の顔が思い浮かべ結局これに屈服してしまった」という経験談を述べている。 それだけではなく相手が土下座する場面を携帯電話等で撮影しインターネットに載せる事件もしばしば発生している。
しかし、むやみに土下座を要求することは法的に処罰を受けうる犯罪行為だ。 <毎日新聞>は8日、北海道で前日購入したタオルケットに穴があいていたという理由で、店の店員2人に土下座をさせ、この場面をインターネットに載せた女性(43)が強要罪で逮捕されたと報道した。 このニュースを見た日本のあるネチズンは「土下座はする人も受ける人も、なぜか後味が悪い行為だ」 「互いに広い気持ちで許す心を持たなければならない」という反応を示した。
東京/キル・ユンヒョン特派員 charisma@hani.co.kr