本文に移動

"ウォール街占領デモ、今後数年間は続くだろう"

原文入力:2012/01/02 21:35(4544字)

インタビュー‘オキュパイ ウォールストリート’初めて提案したAdbusters編集長のカレー ラスン

←カレー ラスン編集長が自身の事務室で‘ウォール街占領’デモの方向と資本主義の弊害などについて話している。 バンクーバー/クォン・テホ特派員

 昨年下半期に全世界を揺るがした最も大きな動きは "我々は99%だ" という叫びに象徴される‘オキュパイ ウォールストリート’(ウォール街占領)デモの拡散だった。 この‘ウォール街占領’という用語とアイデアが米国ではなくカナダに基盤を置く商業主義に反対する雑誌<Adbusters>の編集長カレー ラスン(70)から出てきた点は興味深い。 彼がオンラインに出した提案が米国人、ひいては全人類に響きを与えたのは、‘1%の貪欲’に対する怒りが広範囲だという点を証明すると同時に、市民の力が国境を越えて組織される時代が本格到来したことを知らせたからだ。ソーシャルネットワーク(SNS)とインターネットで連結された地球村のあちこちで広がる事件や提案が即刻に相互を刺激して動く時代という意味だ。 ‘ウォール街占領’デモが "今が始まり" としながら "2012年には新しい形の‘ウォール街占領’デモがずっと続くだろう" と話す彼と先月カナダ、バンクーバーのAdbusters事務室で直接会った。

政界・企業の結託で腐敗
私の提案はスパークを起こしただけ
おそらく今年1月には各大学で
大規模デモが起きるだろう

-‘ウォール街占領’デモが全世界を席巻した。 そうなると予想したか? また、このように急速に広がった理由は何だと見るか?

 "全く予想できなかった。 振り返ってみれば、状況はすでに熟していたし、私の提案はスパークを起こしただけだ。 ほとんどすべての国の政権が企業らとの結託で腐敗している。 ほとんど全世界の若者たちが良い職場を得ることも、学資金借金を返すことも、家を買うことも、両親たちのように暮らすこともできなくなった。 戦わなければ、自分たちの未来は暗鬱にならざるをえないということを彼らが悟った。 この運動がこのように突然爆発できた理由だ。"

-ズコティ公園のデモ隊は‘革命’を叫ぶ。 だが、米国で‘アラブの春’のような革命が起きることにはならないのではないか?

 "そうだ。 だが、エジプトが‘ハード(hard)レジーム チェンジ’を成し遂げたとすれば、米国は‘ソフト レジーム チェンジ’が必要だ。 ワシントンは企業・ロビイスト・政治家たちが結びついている。 これが米国の民主主義だ。 日常生活を見よ。 食べ物、履き物、音楽、ニュース、私たちが享有することの全てのものを2~3ヶの巨大企業が掌握している。 米国は企業が私たちの生活を支配する‘トップダウン’(下向式)企業国家になった。 200年前に米国が出発する時に抱いた下からの‘ボトムアップ’民主主義は潰えた夢となった。"

-ウォール街デモがもう動力を失ったという主張も多い。

 "同意しない。 マイケル・ブルームバーグ ニューヨーク市長が軍事作戦のようにデモ隊を追い出して、この運動の序盤が終わったように見えるかもしれない。 しかし今からが始まりだ。 公園を占拠して、毎日総会を開くことは難しい。 2012年オキュパイの戦場は大学キャンパスになるだろう。 多分(大学が開講する) 1月に各大学で大規模デモが起きると思う。 更に私たちは公園、キャンパスを越えて企業本部を占領するだろう。 私はモハメド・アリの‘蝶々のように飛び蜂のように刺す’という言葉を好む。 いつもそのようにするだろう。 私はこの運動が1968年の運動のように暴動が起きて人が死ぬ、そのような状況に展開することは願わないし、そうなるだろうとも思わない。 しかしこの運動は来年には以前よりさらに興味深く進行されるだろう。"

1968年の運動のように暴動が起きて人が死に…
そうなるだろうとは思わないし、より興味深い形で進行されるだろう

-ある人々は‘ウォール街占領’デモが2012年大統領選挙でバラク・オバマ大統領に利益を与えると言っている。

 "多くの‘オキュパイアー’たちはオバマを好きでない。 私たちをあまりにも大きく失望させた。 私たちは彼を熱情的に支持したが、彼は当選するやいなや次の選挙のためにほとんど全てのことを放棄した。 グアンタナモ収容所は閉鎖しなかったし、イスラエルのパレスチナ侵攻を黙認したし、真の医療保険改革のために戦わなかった。 敵が私たちを失望させるのは仕方ないが、友人が私たちを失望させる時にそれを受け入れることは難しい。 多くの若者が選挙でオバマとミット ロムニーの中から選択をするほかはないならば、結局オバマに票を入れるかもしれない。 しかし前回のような情熱はすでに消えた。"

-それであなたは第3党を提案したのか? あなたが提案する第3党とは進歩党か?

 “共和党か民主党かを選択するのはコカコーラとペプシコーラの中の一つを選ぶようなものだ。 二つともほとんど全く同じだ。 ‘オキューパイアー’たちの中には‘政治に新鮮な風を吹き込もう’と主張する人々が多い。 彼らの中の一部が第3党を主に主張したりもしている。 第3党は進歩政党だというよりは、進歩と保守を合わせる統合(ハイブリッド)政党にならなければならないだろう。 今は第3党を語ることが単なる夢のように聞こえるかも知れないが、いつか、もしかしたらすぐ明日にでも、その夢が実現されるかも知れない。 経済的苦痛がますます激しくなるならば、第3党の実現もますます早まるだろう。”

-ウォール街占領デモは社会運動の新しい形態を見せた。 全世界の進歩運動はどんな形態で進行されるべきだと見るか?

 “私が若かった時、政治的左派運動という強力な理想主義的生命力を持っていた。 1968年に世の中を変えられると信じたその左派革命が全世界を席巻した。 ところがソ連崩壊以後、その生命力が風船から空気が抜けるように‘シュウー’と消えてしまった。 以後、左派というのは不満を言う人に変わった。 左派は‘チェ、<フォックスニュース>のザマを見ろ’、‘企業の横暴を見ろ’など、常に(行動はせずに)不平だけを言った。 どんなものも正そうとはせずに、途方もなく(社会現象を)分析、分析ばかりしている。

 ところが突然ズコティ公園で事が起きた。 突然、分析から行動へ戻ったのだ。 資本主義の心臓を占領した。 もう金持ち税(ロビンフッド税)を実現しなければならず、腐敗構造を変えるだろう。 去る20年間、私たちは‘死んだ左派の死体から離れなければならない’と言葉だけで言ってきたが、今やそれを行動に移したのだ。 ‘若い血’があったから可能だった。 インターネット文化で育った若者たち、この‘新左派’らは以前の左派とは異なり、以前の左派が持っていなかったインターネットという武器、魔術を持っている。 私はこの運動が来春再び現れるだろうし、今後数年間続くと見る。”

この前までは人々は言った
若者たちは戦えるか
今は誰もが戦うと言い
人々が変わった

-ウォール街占領デモが相当な成果を上げたのは事実だ。 しかし実質的に変わったものはない。

 “いや、世の中は変わった。 1968年にもそのように考えた。 ‘大きな爆発が起きたが、終ると変わったものはない’と。 (ウォール街占領デモ以後にも)資本主義、企業権力、ウォールストリート、ワシントン、すべてそのままだ。 しかし人々が変わった。 戦わなければならないということを悟った。 この前まで人々はこのように話した。‘若者たちは戦うことができるだろうか?’と。 だが、今は誰もが‘私は戦う’と話す。”

-闘争が世の中を変える唯一の方法か?

 “戦いにはいろいろ方法がある。 暴力も闘争の一方法だが、ガンジーの方法も闘争の一種だ。 ロビンフッド税、米国の第3党を始めるような強力で創意的な方法もある。”

バンクーバー/クォン・テホ特派員 ho@hani.co.kr

--------------------------------------------------

こんなに小さなところが世の中を揺さぶったのか…

カナダの住宅街、2階建て家の職員7人が
商業主義に反対する雑誌を製作…
昨年“9月17日ウォール街を占領しよう”
Eメールを送り‘大事件’を触発

 カナダ、バンクーバーにある‘Adbusters’は市内の住宅街に位置していて、事務室は2階建て一般住宅を改造したものだ。 それでAdbustersを初めて訪ねた時、‘こんなに小さな平凡なところが世の中を揺さぶったのか’という思いで大いに慌てた。 職員は計7人だ。 反商業主義を標ぼうして有名広告を捻ってひっくり返すパロディ広告で有名な<Adbusters>は広告なしでひたすら購読料と寄付金で運営されている。

 編集長であるカレー ラスンはエストニアで生まれドイツ避難民収容所で幼い時期を過ごし、オーストラリアで育ち、1960年代に日本で市場調査専門会社を設立し多くの金を稼いだし、1970年にはカナダに移民してバンクーバーでドキュメンタリー映画を製作するなど多様な履歴を持っている。 彼はある日、スーパーマーケットでコインを入れてカートを取り出せるルールに対し、突然消費主義に対する嫌悪感を感じながら1989年<Adbusters>という商業主義広告を批判する隔月刊誌を創刊した。 現在約7万部が発行され、韓国にも‘7人’の定期購読者がいる。 ラスンはエジプト民主化運動を見て「米国にもタフリール(解放)広場が必要だ」と考え、サンフランシスコとロンドンにいる知人らと連絡し‘ウォール街を占領せよ’、‘私たちは99%’というスローガンとアイデアなどを用意した。 そして昨年7月13日、Adbustersとネットワーキングされている全世界の9万人に「9月17日ウォールストリートを占領しよう」という電子メールを送り、ウォール街占領を触発させた。Adbustersがデザインしたウォール街を象徴する牡牛像の上に乗ったバレリーナのポスターは非暴力と‘優雅な抵抗’を象徴する。 Adbustersのプロジェクト マネジャーであるローレン ペルコビッチは「私たちはウェブサイトを作り、連絡して、緊急要求に応対するなど、こちらバンクーバーでニューヨークのズコティ公園デモ隊の支援本部のように動いた」としつつも「しかしウォール街デモはAdbustersではなくデモ隊のものであり、今後デモがどのように進むかもデモ隊が自ら決めるだろう」と話した。 バンクーバー/クォン・テホ特派員

原文: https://www.hani.co.kr/arti/international/america/513100.html 訳J.S