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[ハンギョレ21 2010.12.17第840号]‘李明博道路’をごそんじですか?

[ズームイン]‘お兄さん’の息子が所有する農場とMB先祖の墓地がある京畿利川市、松葛里の車が滅多に通らない道を包装し経済性がないというICが開通する理由(3680字)

□チェ・ソンジン、キム・ジョンヒョ

全国各地に雪がたくさん降った去る12月8日午後、ボタン雪の降る京畿利川市、迎日鬱陵牧場前は工事車両で慌ただしかった。工事名は利川市、戸法面、安平~松葛間道路(市道11号線)拡舗装事業。安平里と松葛里を横切る狭苦しい田舎道に長さ5.5km往復2車線のアスファルト舗装道路を作る工事だった。
 "人も車もあまり通らないところなのに、そこにお金を注ぎ込みアスファルト道路を作る理由は明らかです。そのために取材しているようだが、それにしても‘李明博道路’のために噂が絶えません。"

道路の終点は‘迎日鬱陵牧場’にすぐに連結

←12月8日午後、京畿道、利川市、戸法面、安平~松葛間道路拡舗装工事現場。右側に屋根が見える所が李明博大統領の先祖の墓地がある迎日鬱陵牧場だ。ハンギョレ キム・ジョンヒョ記者

戸法面のある住民は安平~松葛間道路工事に対して尋ねるとすぐに‘李明博道路’と言って眉をひそめた。この住民は「安平や松葛里に住む人々は新しい舗装道路ができれば当然ないよりはあった方が良いが、最も恩恵を受ける人は何といっても李明博大統領」と話した。実際に<ハンギョレ21>が安平~松葛間道路を訪ねたこの日、該当道路を通る一般車両はほとんど眼につかなかった。 工事のためばかりとは思われなかった。

‘平凡な’地方道路工事一つに李明博大統領の名前が挙げられる理由は何か? 何よりも安平~松葛間道路の終点が上で言及した迎日鬱陵牧場入口に位置しているためだ(写真参照)。迎日鬱陵牧場がある戸法面松葛里586番地一帯の土地はイ大統領の甥であり、イ・サンドク前国会副議長の息子であるイ・ジヒョン氏の所有だ。現在、牧場はイ大統領の親戚であるイ・某氏が運営していると知られた。

←更に近づいて撮った様子。ハンギョレ キム・ジョンヒョ記者

迎日鬱陵(ウルルン)牧場の前道路舗装事業はイ大統領本人の利害関係とも関係がなくはない。牧場内にはイ大統領の先祖の墓地がある。イ大統領は2008年2月の就任以後、墓まいりなどのために毎年2~3回ずつ迎日鬱陵牧場を訪ねた。この間一部区間は大型車両一台がかろうじて通ることができる程に狭い道であったが、墓まいりに通わなければならなかったイ大統領にとって牧場入口まで往復2車線のアスファルト道が通るという知らせは喜ばざるを得ない。イ大統領は墓まいりに気楽に通うことができて良く、牧場一帯の土地を所有している大統領一家は道路拡張および舗装以後に地価上昇を期待できて良い。
問題は大統領ファミリーを除いては、京畿道と利川市が該当道路に莫大な予算を注ぎ込む理由を納得できる人が多くないという事実だ。利川のある不動産仲介業者は「該当地域住民たちから道路を拡張してくれという要求が提起されたことはある」としつつも「住民要求を別にして車両通行量や経済性を調べれば緊急な事業ではなかった」と話した。彼はまた「最近、事業承認が下りた南利川ICにも李明博大統領の影響が作用したのではないかという疑惑が提起されている」とし「個人的に南利川ICは絶対にできないと判断していた」と話した。

中部高速道路南利川IC事業は、中部高速道路西仁川ICから南に10.4km,一竹ICから北に12.2km地点の利川市、暮加面、於農里に新しく高速道路出入り口を設置する内容で、去る10月26日に国土海洋部と韓国道路公社から事業承認が下りた。事業を申請した利川市は南利川ICが中部高速道路の交通渋滞分散と物流費用節減、地域均衡発展のために必ず必要な事業という立場だ。

南利川ICができればイ大統領は迎日鬱陵牧場にある先祖の墓地を訪ねるためにやや離れた西仁川ICを利用する必要がなくなる。南利川IC予定地の於農里は迎日鬱陵牧場から中部高速道路側のすぐそばに位置している。その上、工事中の安平~松葛間道路が南利川ICにつながる予定だ。安平~松葛間道路が開通した上に南利川ICまでできる場合、イ大統領の墓参道はそれこそ坦坦大路になる。

このように利川で進行される主要道路工事と高速道路出入り口設置事業が全て李明博大統領一家の利害関係と絶妙に合致しており、地域では事業推進過程になんらかの形でイ大統領の影響が作用しているのではないかという疑惑が絶えない。

烏飛梨落? MB梨落?

“まさにそう、烏飛梨落です。ちょうど道路が牧場の前を通るので話が好きな人々がそう言うけれど、利川市を取材してみれば分かるが、牧場とは全く関係なく進行された事業です。”去る12月8日午後、<ハンギョレ21>と会った迎日鬱陵牧場管理人イ氏の実弟は‘烏飛梨落’と表現した。‘カラスが飛んで梨が落ちる’ということわざで、偶然に利害関係が合致しただけで、イ大統領の意志や特恵とは関係ないという意味だ。

京畿道と利川市もやはりイ大統領と全く関係がない事業という事実を強調した。ノ・ヨンウ利川市道路施設チーム長は「安平~松葛間道路拡舗装事業は戸法面、安平里にできた広域資源回収施設(ゴミ焼却場)に対する住民支援事業の一つで、かなり以前から進行が確定していた」とし「(道路が)迎日鬱陵牧場前を通るので(イ大統領が)便利になるのはその通りだが、元々予定されていた工事を進行しているだけ」と説明した。

一部はその通りだ。京畿道と利川市は2004年に住民忌避施設である広域資源回収施設を戸法面に設置する代価として、利川住民のために計1300億ウォンをかけ道路開設など住民支援事業を進行することを約束した。安平~松葛(5.5km),酉山~梅谷(7.5km),東山~梅谷(4km),東山~珠美(3km)等、4ヶ道路の建設が核心だった。予算は京畿道と利川市が半々で負担することにした。

ところが4ヶ道路建設事業の中で現在、きちんと進んでいる事業は安平~松葛道路だけだ。総事業費100億ウォン規模の安平~松葛道路拡舗装事業は2008年7月に着工した。12月現在、工事は70%程度進行されており、2011年7月30日には完工する予定だ。反面、安平~松葛道路より遅く始めた酉山~梅谷間道路は工事進捗度が40%にも至らず苦しい進行状況を見せている。戸法面関係者は「工事区間が難しいうえに、一部区間の土地補償がまだ終わっておらず相対的に遅れただけ」と説明したが、該当地域の住民の立場ではこれもまた不満だ。

南利川IC, 数十回拒否して突然承認

それでも酉山~梅谷区間は始まったのでマシな方だ。東山~梅谷、東山~珠美道路はまだ工事が始まってもいない。パク・ヨンウン戸法面里長団協議会長は「東山~梅谷、東山~珠美道路は当初約束した通り、2車線道路が駄目なら幅6m道路にでもして欲しいというのが私たちの要求なのに、市では予算不足と担当者人事異動などを口実に先送りしている」として怒りをぶちまけた。‘迎日鬱陵牧場へ行く道’の場合、イ大統領の就任直後に着手し、すでに仕上げ段階にあることと対照的な内容だ。

国土海洋部と韓国道路公社が去る10月、突然 南利川ICの設置を許可した過程も釈然としない。利川市は南利川IC設置がハンナラ党所属チョ・ビョンドン現市長の選挙公約であったという点を上げ、正当性を強調している。チョ市長の公約ではなくても利川市が2003年から数十回にかけ政府に南利川IC設置を建議していたのも事実だ。

だが、その度に政府は利川市の要求に首を横に振った。インターチェンジ間の間隔(西仁川ICと10.4km,一竹ICと12.22km)がそれほど遠くなく、交通量が少なく経済性が劣るという理由だった。だが、今回は同じ地点に同じ事業をするといった利川市の要求をそのまま受け入れた。事業承認の背景に疑問が提起されるほかはない。

これに対してチョン・ジュンテ韓国道路公社道路調査チーム次長は「利川市で数年前から南利川ICの設置を要求しており経済性評価を几帳面にした」として「この間、経済性が低いと出てきたが、この前 再度してみたら妥当性があると出てきた」と話した。だが‘過去調査と比較する時、経済性評価が変わって出てくるほどの事情変更があったのか’という質問には、具体的な返答はできなかった。「周辺地域の発展程度と将来の開発計画を評価した」ということが返答の全てであった。

利川=文 チェ・ソンジン記者 csj@hani.co.kr・写真キム・ジョンヒョ記者 hyopd@hani.co.kr

原文: http://h21.hani.co.kr/arti/politics/politics_general/28663.html 訳J.S