原文入力:2011/11/23 23:01(2596字)
キム・ヒョンデ記者
農業予算削ってFTAと関係ない事業の被害補填‘挿入’
直接支払金を除き、大部分が農家宿願事業を盛り込み
FTA対策費を22兆ウォンに合わせるために支援額膨らまし
予算比重は2007年6.5%から来年5.5%へ
(※直接支払金=政府が農家のコメ所得補填のために直接支払う金)
←FTAを阻めず申し訳ありません。23日午前、国会本館ローテンダーホールで開かれた‘韓-米自由貿易協定(FTA)闇討ち暴挙 MB政府糾弾大会’でソン・ハクキュ代表とキム・ジンピョ院内代表、チョン・ドンヨン、チョン・セギュン最高委員など民主党議員がひざまずき謝罪している。カン・チャングァン記者 chang@hani.co.kr
早ければ来年1月1日から韓国経済は韓-米自由貿易協定(FTA)という巨大な暴風のまん中に入る。米国は我が国より経済規模が15倍も大きい。米国という市場を得る代わりに、9061種類の関税を撤廃するなど国内経済のかんぬきも完全に解かなければならない。産業分野によっては途方もない被害が避けられない展望だ。韓-米自由貿易協定の‘得失’を主要分野別に点検してみる。
ハンナラ党が韓-米自由貿易協定(FTA)批准案を闇討ち処理する以前に、野党側と交渉しながら暫定合意した農漁業被害追加対策には、被害補填直接支払金の発動要件緩和、親環境直接支払金50%引き上げなど13種類があった。だが、被害補填直接支払金要件緩和の他はこの間、農業界で粘り強く要求してきた念願事項らであり、韓-米自由貿易協定にともなう被害補填対策とは距離が遠いものだ。
政府はいわゆる‘FTA環境の農漁業競争力強化対策’として、2007年から2018年まで計22兆1000億ウォンの予算を投じていると明らかにしている。
しかし政府総予算に農食品部門が占める比重は下降曲線を描いている。天文学的な支援資金を投じ始めたという2007年にも6.5%に落ち、今年は5.7%へ座り込み、来年は5.5%まで下り坂を歩んでいる。2004年の7.0%と比べれば‘農業放棄’という指摘を受けるに値する。その上、来年の農食品予算案18兆1157億ウォンの中には貯水池堤防嵩上げのような4大河川事業性予算が1兆5860億ウォンに及ぶ。農食品予算が事実上‘削減’される間に農家所得は2010年都市労働者所得の66.8%まで下がった。
←農業生産額に占める農業補助金比重
FTA対策の実状をもう少し詳細に覗いて見よう。今年、畜産分野で最も多い予算が策定された事業としてはブランド経営体組合支援(1320億ウォン),畜舎施設現代化(1147億ウォン),屠殺加工メーカー支援(1100億ウォン),粗飼料(干し草・藁など繊維質飼料)生産基盤拡充(1100億ウォン)等が挙げられる。問題はこれら事業がFTAとは関係なく農食品部が進めてきたことや当然にしなければならない事業だということだ。
飼料産業総合支援(600億ウォン),原油需給安定(596億ウォン),家畜改良事業(428億ウォン)等、一目でFTAと全く関係がなく見える項目が多く含まれている。殺処分補償金(500億ウォン)と市・道家畜防疫(415億ウォン)のような予算まで含まれており、子牛生産安定、牛肉履歴制、自然循環農業活性化、家畜衛生防疫本部予算なども全てFTA対策として挿入された。既存の農食品部予算を抑制しておき、その中で22兆ウォン台のFTA対策事業を膨らませ消化しようとすれば、「数字遊びによるモラルハザードが起きる」という指摘が出ている。
その上、低金利で融資したり利子差額だけを補填する方式が多く、事業規模や効果が実際より数倍~数十倍に‘ふくらませた’という批判が出ている。現金性補助金も主に施設を作る用途で支援され、必ずしも必要でない施設を作っては利益は業者が持っていく事例も多い。忠清(チュンチョン)地域のある養豚農民は 「補助金を受けて誰も彼もが糞尿処理施設を作ったが、ばく大な量の糞尿を発効させる土地がなくて施設をまともに稼動できず無用の長物になってしまった」として「結局、業者だけが良い目を見た」と嘆いた。
慶北義城(ウィソン)でリンゴ栽培をしているキム・サンジュン(46)氏は「多くの農民が‘品目更新’補助金を受けて既存のリンゴの木を掘り出し生産量が多いリンゴの木を植えている」として「今でも物量があふれているのに品目更新で物量がさらに増えて米国産リンゴまで輸入されれば供給過剰にともなう価格暴落は火を見るより明らかだ」と怒りを爆発させた。
農業分野の民間シンクタンクであるGS&Jインスティテュートのイ・ジョンファン理事長は「22兆ウォン台の対策全体の中で実質的なFTA被害対策は被害補填直接支払金だけしかない」とし「残りは農業競争力強化のために常時的に執行する投・融資予算の性格」と指摘した。
←国家予算に農林水産部門が占める比重(※イメージをクリックすれば大きく見ることができます)
被害補填直接支払金はFTA以後、輸入物量過多により特定品目の価格が下がる時、農家所得を直接現金で補填する装置だ。だが、発動要件が過度に難しく韓-チリ FTA以後、一銭も支給されたことがない。今は基準年度の85%以下に価格が下がった時、価格下落分の90%に当たる支援金を支給することになっているが、「価格が少しでも下がれば直ちに発動するよう要件を大幅に緩和してこそ効果があるだろう」とイ理事長は話した。
チョン・チャニク農協経済研究所農業政策研究室長は「我が国の農業補助金は農業生産額の5.6%水準であり、ヨーロッパ連合の21.8%や米国の9.0%よりはるかに低い」として「特に小規模家族農が農村共同体の構成員であり伝統文化・環境を守るなど色々な機能を遂行する重要な主体という点を認識し、政策的支援を強化しなければならない」と主張した。 キム・ヒョンデ先任記者 koala5@hani.co.kr
原文: https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/506893.html 訳J.S