今年上半期、ソウルのマンション価格が江南圏を中心に急上昇し、中国人が江南の不動産を買って住宅価格を引き上げているという懸念がオンラインなどを中心に提起された。特に最近は、6月27日に政府が発表した住宅担保ローン規制の対象から外国人が除外されたとし、逆差別を憂慮する声も大きい。だが、実際に外国人の不動産取得現況を調べると、ソウルのマンション価格上昇を先導している江南圏の不動産購入の割合が高いのは米国人であることが分かった。専門家たちは、外国人の購入傾向が市場に及ぼす影響は制限的だとの見通しを示した。
14日、裁判所の「登記情報広場」の統計によると、今年1~7月の外国人による韓国国内の集合建物(マンション・オフィステル・多世帯住宅・連立住宅など)の購入は合計8054件で、このうち中国人が占める割合は66.5%(5355件)で最も多かった。取引量全体の中で中国人の取得比重が高いのは事実であるわけだ。
これは韓国国内に居住する外国人の多数が中国人である状況を反映する自然な現象とみることができる。今年6月現在、韓国に長期滞在している外国人のうち、韓国系中国人(中国同胞)が29%(64万2119人)、中国人が10%(22万946人)で、全体の39%にのぼる。「境界人の声と役割研究所」のパク・ドンチャン所長は「1990年代に入ってきた中国同胞が生計基盤を構築し、実居住が目的のマイホーム購入に至ったとみられる」と話した。
実際、中国人が主に取引した地域を見れば「投機」とは多少距離があった。今年1~7月、中国人が最も多く住居を購入した地域は仁川市富平区(382件)、京畿道始興市(298件)、富川市遠美区(283件)、安山市檀園区(283件)の順だった。ソウル地域は基礎自治体別の件数で10位圏内にも入っていない。ソウル市内で中国人が主に住宅を購入した地域は、ソウル市九老区(99件)、衿川区(73件)、永登浦区(53件)だった。この期間ソウル市内の取引全体506件の45%ほどが、「チャイナタウン」の位置する3つの自治区に集中したわけだ。一方、江南3区(江南・瑞草・松坡区)の取引は7カ月間で19件に過ぎず、「麻浦・龍山・城東区」でも26件にとどまった。
むしろ、江南3区と麻浦・龍山・城東区エリアの住宅を大量購入したのは米国人だった。今年1~7月、米国人によるソウル市内の集合建物の取引は計345件だが、このうち江南3区が121件、麻浦・龍山・城東区が83件で取引量全体の60%に肉迫した。今年のソウル市内の取引件数が100件であるカナダ人の購入も米国人と同じような様相だった。ソウル市江南区のある公認仲介士は「江南圏でマンションを買う米国人はほとんどが韓国系米国人」だとし「海外同胞ではない外国人取引は受けたことがない」と語った。
韓国の外国人住民の割合は5.17%で、経済協力開発機構(OECD)の多文化社会基準の5%を超えている。昨年、外国人家主は前年比13.3%増加したが、国別ではベトナム(52.9%)、オーストラリア(30.2%)、ニュージーランド(16.1%)が大きく増え、中国(12.5%)はカナダ(12.2%)、米国(11.9%)、台湾(10.3%)などと並んでいた。ここ5年間で中国人の集合建物購入の増加率が外国人の平均増加率を超えた年は2023年が唯一だった。
新韓銀行プレミアパスファインダーに所属のウ・ビョンタク専門委員は「外国人は6・27規制から除外されていても、そもそも韓国の銀行では融資を受けるのは内国人よりもさらに難しく、自国で調達した金銭であれば国内に外貨が入ってくることであり、防ぐ理由がない」として「外国人取引が全体的な住居価格に影響を与えるほどではない」と話した。続けて「外国人の投機性売買が懸念されるのであれば、居住計画を立証できない外国人の住宅売買の場合には取得税をさらに賦課するというような形で、国籍でなく居住性を基準とした規制を作ることが望ましいだろう」と提案した。