ドナルド・トランプ米大統領が23日(現地時間)、日本製鉄とUSスチールの「パートナーシップ」に言及し、韓国国内の鉄鋼業界の緊張も高まっている。トランプ大統領が日本製鉄によるUSスチール買収を最終的に許可した場合、米国市場をめぐって韓国と日本の激しい鉄鋼競争が繰り広げられる可能性があるためだ。日本製鉄は韓国の鉄鋼企業と類似した製品を作っているため、USスチールの買収で米国現地の生産拠点が大幅に増えれば、関税戦争で韓国より有利な位置に立つ可能性がある。
トランプ大統領はこの日、自身のSNS「トゥルース・ソーシャル」に「USスチールと日本製鉄の間で計画されたパートナーシップが結ばれるだろう」と明らかにした。これについて米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは「日本製鉄のUSスチール買収を条件付きで承認したもの」と分析した。買収条件はまだ具体的に知られていない。日本製鉄は100%持分の買収を望んでいるが、トランプ大統領はこれまで持分の50%以上は買収できないと釘を刺してきた。トランプ大統領は30日、USスチール本社があるピッツバーグで開かれる集会で細部内容を公開するものと予想される。
韓国の鉄鋼業界は状況を注視している。日本製鉄の技術力とUSスチールの米国現地の生産能力が合わさった場合、米国の鉄鋼市場内における日本製鉄の競争力が高まるためだ。特に、米国の関税対応策に支障が生じる可能性を懸念している。現代製鉄とポスコは現地生産を増やすため、米国内の製鉄所を共同で建設し、高付加価値用の自動車鋼板を作ることにしている。また、韓国企業は米国企業がうまく作れない鋼管や特殊鋼板などの高付加価値のある鉄鋼については、関税がかかっても競争力があるため輸出をさらに増やす戦略も慎重に検討している。
問題は日本製鉄と韓国の鉄鋼企業の製品群が類似している点だ。日本製鉄も中国の低価格鉄鋼攻勢に対応して製品の高級化を推進してきた。熱延・冷延鋼板などの汎用材だけでなく、自動車鋼板、鋼管などの高付加価値鉄鋼を生産しているということだ。日本製鉄がUSスチール買収により米国現地での高付加価値鉄鋼の生産量を大幅に増やすことになれば、物量と価格面で韓国企業よりさらに競争力のある位置を確保する可能性が生じる。
韓国政府関係者は25日、ハンギョレに「日本製鉄と韓国鉄鋼企業の製品群は似ている。米国市場で韓国と日本の競争が激化するだろう」と述べた。韓国貿易協会のハン・アルム首席研究員は「韓国企業が関税対応策として自動車鋼板、油井用鋼管など米国が輸入に依存している高付加価値鉄鋼の販売を増やす戦略を追及しているが、日本製鉄がこれらの製品を米国内で生産するとなると、韓国企業の打撃が予想される」と話した。
一方、世界鉄鋼協会の最近の統計を見ると、2023年基準で日本製鉄のUSスチール買収時の総年間粗鋼生産量は5941万トンで、世界4位から3位に上がる。