原文入力:2010-05-13午後08:19:41(3775字)
[ハンギョレ創刊22周年特集] 東アジア企業の進化
チェ・ウソン記者,イ・ウォンジェ記者
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■‘東アジア企業の進化’シリーズを始めるにあたり
<ハンギョレ>創刊22周年特別企画‘東アジア企業の進化’は韓国・中国・日本3ヶ国代表企業の現在を調べ未来を探ってみようとする意図から出発した。今回の企画は<ハンギョレ>紙面を通じ5月から6ヶ月余りの間 進行される予定だ。
14日付から始まった第1部‘東アジア時代がくる’編は、特別企画全体の総論的性格を帯びたもので、世界経済の主人公として背伸びしている韓国・中国・日本経済の地位を概略的に描いてみる内容で満たされる予定だ。引き続き2部‘列強の咆哮’、3部‘栄光よもう一度’、4部‘アジアを踏まえ世界へ’では各々中国と日本、韓国3ヶ国の主要産業および代表企業の現住所と座標を深層的に探ってみることになる。最後に第5部‘進化そして未来’では東アジア企業の未来ビジョンと課題を整理する予定だ。特に5部連載に続き、11月末にソウルではハンギョレ新聞社が主催、ハンギョレ経済研究所が主管して大統領直属未来企画委員会などが後援する‘2010アジア未来フォーラム’が2日間の日程で開かれ6ヶ月にわたる特別企画を整理する貴重な時間を設けることになる。
‘2010アジア未来フォーラム’は地域連合体の競争力が強調される世界的傾向に歩調をそろえ、東アジアの未来に焦点を置いた国際フォーラムだ。2010年フォーラムの主題は‘東アジア企業の進化’として、世界碩学らと政府機関、東アジア代表企業最高経営者、社会的企業など社会各界の人々が一堂に集まり東アジア企業の未来に対し額を突き合わせ熱を帯びた討論を行う、水準の高い知識の祭りの広場になると大きな期待を集めている。今回の特別企画を共同企画しアジア未来フォーラムの主管を引き受けたハンギョレ経済研究所は、2008年‘東アジア企業の社会責任経営’研究報告書を初めて発刊したのに続き、今年は精華大(中国),法政大(日本)研究チームと共に韓・中・日企業共同研究を進行している。
チェ・ウソン記者morgen@hani.co.kr
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韓国・中国・日本を含む東アジアが世界経済の新しい強者に浮上している。勤勉で正確な日本の自動車と電子製品が一番最初に米国市場を掌握すると、その次には速く根性のある韓国の半導体と携帯電話が市場を掌握していった。そして今や価格の安い中国製品が全世界の全ての売り場の陳列台を徐々に占領している。世界歴史を新しく創っていっている‘東アジア企業’は、果たしてどこからきてどこに‘進化’しているのだろうか? <ハンギョレ>が創刊22周年をむかえ、ハンギョレ経済研究所と共同企画した連載物‘東アジア企業の進化’はその生き生きした現場の中から答を探してみようとする試みだ。
経済的進化
適期生産・低マージン 攻略…
弱点から競争力を求め
高級化転換にも成功
“韓国、中国、日本での企業の姿は過去と比べ質的に進化した。そして未来にはより一層大きな変化を経ることになるだろう。”
先月27日、中国北京精華大学校。こちらで中国精華大研究陣、日本法政大研究陣、韓国ハンギョレ経済研究所研究陣が韓・中・日企業の社会責任経営を共に研究するために一堂に集まった。3ヶ国の専門家たちは、段階と規模は違うが3ヶ国共に企業が質的に‘進化’していると口をそろえた。
進化の原動力は一言で‘融合’だ。東洋の長年の伝統と西洋で整理された標準の融合、そして共同体的秩序と個人主義情緒の融合だ。進化の内容は経済的進化、社会的進化の2本の軸で形成されている。
‘逆革新’で成長した東アジア企業
東アジア企業の経済的進化は底辺から出発した革新から出てきた。英国の経済週刊誌<エコノミスト>は最近‘逆革新’(reverse innovation)という表現でこれを描写した。
逆革新の内容は2種類に要約することができる。一つは生産方式の革新だが、弱点から出発し競争力を発見することだ。例えば日本のトヨタ自動車が初めて導入し始めた適期生産方式(Lean生産方式・just-in-time)は元々、地価が高く在庫費用が多くかかる日本製造業の弱点を補完した方式だ。しかし以後、全世界の経営学界が‘大量生産方式の代案’と称賛する方式となった。
中国消費者の低い所得は、中国企業が費用節減を通じた‘低マージン大量供給’戦略を採択するようにした。この戦略は、中国製品が全世界割引店の陳列台をさらう理由となった。
逆革新の2番目の内容は、マーケティングの革新だ。‘ピラミッドの一番下の段’に位置した低所得消費者層の直接的欲求に敏感な製品と価格を設計することなどが代表的だ。中国最大コンピュータ生産企業レノボは自身の革新方式をこのように説明した。“私たちは西欧企業のように抽象的な‘夢と希望’を掲げ、製品を高い贅沢材で包装する企業ではない。消費者に必ず必要な機能を必要なだけ可能な価格で提供する企業だ。”
社会的進化
社会責任経営 共同 協力
伝統・西欧 特性混ぜ合わせ
質的発展の原動力へ
上に走る車輪
とは言え、これら企業が底辺にだけ留まっているわけではない。割引店が初めは低価格に進入するが、後には必ず高級化の道を歩むことになるという、経営学の‘小売業の車輪’理論は東アジア企業にもそのまま適用される。
コロナに始まり小さく廉価な自動車だけ供給していたトヨタはレクサスの発売とともにポジショニングを変えることに成功した。価格の安いポニーで始めた現代自動車も同じ道を成功的に歩いている。低価格コンピュータ生産業者だったレノボはアイビーエム(IBM)PC部門引き受けの後、プレミアム ブランドイメージを得た。価格の安いテレビと汎用Dラムで始めた三星電子は高級ブランドに変身中だ。
東アジア企業で革新は驚くべき新アイディアの発掘というよりは、消費者の実用的欲求を満たす小さな改善の集まりに近い。こういう小さな改善が積もったところに研究開発を付け加え、より大きな革新が作られる。その結果、技術とブランドが凝縮されたプレミアム製品にまで地位が高まっているということだ。
企業社会責任(CSR),共同の秩序へ
社会責任経営(CSR)は現在、全世界企業の主要経営のキーワードだ。社会に及ぼす影響を考慮せずには生存することも成長することもできないというのが東洋と西洋にかかわらない合意点だ。
この内、西欧先進国の企業たちは先に成長した後、その副作用を後から面倒を見る形だ。西欧資本主義が円熟期を謳歌した20世紀 中後半まで西欧企業は高度成長一辺倒だった。成長の勢いが停滞した最近、はじめて経済と環境、社会を全て考えた企業を経営してこそ、企業も社会も持続可能だという信頼を説明している。
これに反し東アジアの企業は成長をする渦中で環境と社会を取りまとめる姿だ。日本企業は経済成長が真っ最中だった1970年代にすでに環境経営に目を開き始めた。中国企業は高度成長が真っ最中だった2000年代初期から社会責任経営ドライブをかけ始めた。韓国企業も1997年の国際通貨基金(IMF)救済金融以後から透明性と社会的責任の重要性をますます強化する傾向だ。
これだけではない。東アジアでは社会責任経営が地域内協力の重要な媒介輪に位置する可能性も伺える。昨年11月、ソウルでは初めて国連グローバルコンパクト韓・中・日ラウンドテーブルが開かれた。3ヶ国企業が社会責任経営を共に推進するという意志を示したわけだ。日本,法政大 江橋崇教授は「交流がますます増加している東アジア地域の国家間に共同の秩序が必要な時点であり、社会責任経営は重要な共通規則になりうる」と話した。
ハイブリッドが競争力
東アジア3ヶ国の企業は共通して根の深い社会文化的伝統を大事に守りながらも、西欧市場経済も積極的に受け入れ、2種類の特性が入り乱れた‘ハイブリッド’モデルを作りつつある。これは社会全体の進化過程と一脈相通じる。ハン・サンジン ソウル大名誉教授(社会学)は「東アジア3国の社会には、文化的潜在力に対する自信があり、西欧個人主義を受け入れながらも伝統的共同体意識を損傷させず伝統を維持するという特徴がある」と話した。
国際通貨基金が孔子に出会い、自由貿易協定が毛沢東と会い、京都と開城の商人精神が半導体と自動車に発現する。それが東アジア企業だ。彼らは今、恐ろしい速度と力で進化している。
北京/イ・ウォンジェ ハンギョレ経済研究所長 timelast@hani.co.kr
原文: https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/420752.html 訳J.S