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新世界副会長の「滅共」発言、消費者も分断…不買・購入運動が広がる

登録:2022-01-12 02:57 修正:2022-01-12 07:08
北朝鮮のミサイル写真をアップ、2時間後に削除 
新世界「滅共発言はこれ以上しないという意志」 
 
「新世界不買」vs「ヨンジン兄貴応援」…消費者が対立 
流通業界「企業経営者として異常な行動」
新世界グループのチョン・ヨンジン副会長が11日午前、インスタグラムに「チョン・ヨンジン不買運動」のポスターと北朝鮮のミサイルの写真を投稿した=インスタグラムより//ハンギョレ新聞社

 連日の「滅共」(共産主義勢力を滅ぼす)発言で波紋を呼んでいる新世界グループのチョン・ヨンジン副会長が11日、滅共に関する一部の投稿を削除して事態収拾に乗り出した。しかしチョン副会長が口火を切った滅共問題は、消費者の間では「新世界不買運動」と「滅共購入運動」に二分され、時代遅れの理念対立へと発展している。

 チョン副会長は11日午前、インスタグラムに「ボイコット・チョン・ヨンジン、行きません。買いません」と書かれた不買運動のポスターを投稿した。ポスターには「業務の参考にしてください」という文が添えられた。同氏は直後に、北朝鮮が東海(トンヘ)上に弾道ミサイルを発射したという記事を投稿し、「OO」と添えた。最近の批判を意識して「滅共」という単語ではなく「OO」を使ったのではないかとの解釈が示されている。前日に最側近幹部に対し、会社の状況を考慮して「滅共発言はしない」と語ってからわずか数時間後に投稿されたものであることから、さらに物議を醸した。

 これについてチョン副会長は、北朝鮮ミサイル記事関連の投稿を約2時間後に削除し、不買運動ポスターの投稿に添えた文は「誰かが業務の参考にしろと言っている」に変更した。新世界グループの関係者は「滅共問題が不買運動に発展しうるという外部の雰囲気を午前に(チョン副会長に)説明しつつ送ったポスターをアップしたもので、これ以上は滅共発言をしないという意味で、誤解を受ける文句を修正したうえで、ミサイルの投稿も削除した」と説明した。滅共に対する批判にもかかわらず「ノーバック(退かない)」投稿を連日アップする態度から一歩後退したことになる。

新世界グループのチョン・ヨンジン副会長=新世界提供//ハンギョレ新聞社

 グループ内では、チョン副会長の「口」のせいで不安が高まっている。当初は、最高経営責任者(CEO)のSNSを用いた積極的なコミュニケーションは企業のブランドイメージ向上に役立つと考えていたが、連日の発言に対する批判によってグループの系列会社まで烙印を押される恐れがあるとの懸念が高まっているのだ。

 系列会社のある幹部は「チョン副会長は、個人空間であるSNSでは自由に話せるという考えが強いため、周辺も直言しにくいところがあったはず」とし「オンライン分野に多くの投資をした新世界は、特にオンライン上の世論が重要なため、今回の波紋にはそれだけ緊張している」と述べた。

 チョン副会長の「滅共」発言を巡り、オンライン上では賛否の対立が激しい。反対意見としては「新世界不買運動」、賛成意見は「購入運動」を展開しようという声があがっている。実際に一部のネットユーザーは、イーマートやスターバックス、ノーブランド、SSGなどの新世界の系列会社の不買運動リストを掲載しているほか、ライバル会社から品物を購入したことを示す写真をアップしている。一方、一部のウェブサイトでは「ヨンジン兄貴を応援します」というキャッチコピーを掲げているほか、新世界の系列会社での消費を奨励する雰囲気も生じている。

 流通業界では、チョン副会長の行動は異常だとの意見が支配的だ。大手流通会社のある幹部は「大企業のトップは自分の一言がグループ全体に及ぼす影響を考慮し、言葉を最大限つつしむのが一般的だが、チョン副会長は自分で波紋を広げている」とし「経営哲学についての信念の表明でもなく、時代遅れの滅共発言で話題になるのはグループイメージに悪い影響ばかりを及ぼすだろう」と述べた。財界の関係者は「SNSへの自分の投稿が多くの反応を得ると、その反応がすべてであるかのように錯覚する傾向が生じうる」とし「今回のことをきっかけとして、チョン副会長は自分がインフルエンサーなのか企業の最高経営責任者なのか、真剣に考えるべきだろう」と述べた。

オク・キウォン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/economy/consumer/1026885.html韓国語原文入力:2022-01-11 17:02
訳D.K

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