「死んだパンも生きかえる」というトースターがある。プレミアム家電ブランド「バルミューダ」が2015年に発売した「The Toaster」だ。「外はカリカリ、中はしっとり」の食感を出すスチーム技術にシンプルなデザインを備えた製品が、韓国の消費者の心をとらえた。2018年には同社は売り上げの27%を韓国市場から得た。しかし、その後の2年間、バルミューダの韓国での売り上げは急減し、半分になった。北欧スタイルのデザインを誇る同企業が、日本のブランドであることが知られたからだ。
バルミューダは2003年、東京で従業員1人の企業として設立された。扇風機、空気清浄器、電気ポットなどの小型家電を製造しており、高価格にふさわしく既存の家電と差別化された性能とデザインで、「日本家電業界のアップル」と呼ばれている。創業者兼最高経営責任者(CEO)の寺尾玄氏は1973年生まれで、高校を自主退学し、欧州を放浪して帰国、20代はロックバンドのギタリストとして活動した独特の経歴の持ち主だ。「家電製品ではなく体験を売る」というのが彼の経営哲学だ。家電業界では珍しく生産工場を保有しないファブレス企業で、昨年12月、東京証券取引所のマザーズに上場した。
韓国はバルミューダにとって最大の国外市場だ。20日の日本電子公告システム(EDINET)によると、2019年のバルミューダの総売上のうち、韓国市場の比率は22.76%(24億7000万円)で、昨年は13.06%(16億4400万円)だった。一方、韓国以外の残りの国の2019年と2020年の売り上げ比率は、それぞれ10.02%(10億8800万円)と10.69%(13億4600万円)にとどまっている。韓国で「ノージャパン」(日本製品不買)運動が起きた2019年より前の公示資料はないが、バルミューダコリア側が明らかにした2018年の韓国市場での売り上げ比率は27%だ。これを同年のバルミューダの売り上げ(111億9100万円)に適用すると、2018年の韓国での売り上げは30億2100万円と推算される。結論としては、バルミューダは日本製品不買運動の余波で、昨年まで韓国における売り上げに大きな打撃を受けたわけだ。
しかし、今年の状況は少し違うとみられる。ノージャパン運動が起きてから2年が過ぎ、韓国での売り上げが回復傾向に向きを変えたからだ。今年の3四半期(1~9月)のバルミューダの売り上げは110億8600万円だったが、このうち韓国での売上高は22億6800万円。総売上の20.45%であり、額を計算すると、すでに昨年の年間売り上げを超えた。今年の第4四半期(10~12月)の実績を加えると、2019年の水準も軽く超える可能性が高い。
一方、バルミューダは先月、初のスマートフォンを披露した。市場では6インチ以上の大きな画面が主流として定着しているが、「BALMUDA Phone」は4.9インチのこじんまりとした形が特徴だ。日本でのみ発売されたこの製品のデザインはバルミューダが担当し、2000年代初期に韓国のSKテレテックと「SKY」ブランドの携帯電話を共同で作った京セラが委託製造を引き受けた。しかし、10万円を超える高価(10万4800円)であるにもかかわらず、中低価格の製品で使われるスナップドラゴン765をアプリケーションプロセッサ(AP)に採択するなど低い性能のため、国内外の消費者から酷評を受けている。